計算材料科学連続セミナー 電子材料第2シリーズ 第1回「物質・材料シミュレーションの今とこれから」を開催いたしました。
講師は、東京大学 大学院理学系研究科の常行真司教授が務めました。セミナーでは、まず日本の物質・材料シミュレーションのアプリがスーパーコンピュータ「京」、「富岳」の開発プロジェクトや元素戦略プロジェクトの中でどのように行われてきたか、またそれはどのようなインパクトがあったかが簡単に紹介されました。続いてこれまで開発してきた格子熱物性のシミュレーション手法についての紹介がありました。格子振動の非調和効果を第一原理から精密に評価することで、格子熱伝導率、熱膨張率、テラヘルツ領域の複素誘電率が定量的に評価できて、熱電材料や誘電体材料の開発に役立つことが示されました。最後にMDX(Material Digital Transformation)に期待する方向性の一つとして、実験と計算とデータ科学を組み合わせるデータ同化手法の紹介がありました。実験で得られた粉末X線回折実験データは、例えそれだけでは構造決定に不十分であったとしても、ベイズの条件付き確率を通してシミュレーションに取り込むと、結晶構造やアモルファス構造を決定する上で役立つことが紹介されました。
今回は電子材料第2シリーズの初回でしたが、企業・大学・研究機関等から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第1回「物質・材料シミュレーションの今とこれから」
常行 真司(東京大学 大学院理学系研究科 教授)
日時:2022年10月25日(火)14:00~17:15
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:52名
〔内訳〕学内4、学外43(大学24、企業等15、研究機関4)、講師他5