計算材料科学連続セミナー 化学材料第1シリーズ 第3回「分子動力学計算/高分子材料が示す諸特性とその分子機構」を開催いたしました。
講師は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻の岡崎 進特任教授が務めました。セミナー初日は、まず分子動力学(MD)計算の原理と実際について概要を解説した後、先生のグループで開発してきた「京」、「富岳」上で高効率に作動する高並列汎用全原子MDシミュレーションソフトMODYLASの紹介がありました。その上で、「京」、「富岳」を用いた幅広い高分子研究の紹介がありました。まず、日常生活にも身近な高分子材料が示す脆性、延性の分子機構を明らかにし、セミナー2日目には、高分子多孔質分離膜の製造プロセスの基盤である非溶媒誘起相分離過程において重要な高分子溶液の混合の自由エネルギー、界面過剰自由エネルギー、相互拡散係数を評価する計算について解説がありました。さらに、話題はモンテカルロ(MC)法に移り、確率過程に基づいたシミュレーションが持つ動力学的意味を明らかにし、MD計算では不可能な高分子電解質膜中での燃料電池活物質の輸送の長時間計算を、MC計算原理に基づいて行った結果について紹介がありました。
今回が化学材料第1シリーズの第3回目でしたが、前回に引き続き、企業・大学・研究機関等から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第3回「分子動力学計算/高分子材料が示す諸特性とその分子機構」
岡崎 進 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 特任教授)
日時:2022年6月15日(水)16:00~18:30、6月16日(木)16:00~18:30
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:70名
〔内訳〕学内15、学外51(企業等34、大学16、研究機関1)、講師他4