計算材料科学連続セミナー 化学材料第1シリーズ 第2回「第一原理計算/蓄電池・触媒の界面化学・イオニクス」を開催いたしました。
講師は、物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 副拠点長の館山佳尚氏が務めました。セミナー初日は、まず二次電池、電極触媒の電気化学の基本原理や全反応・半反応の見方を説明し、何を計算するのか伏線を張ったのちに、密度汎関数理論(DFT)の基礎および全エネルギー・Kohn-Sham軌道エネルギーの2つの計算量の違いを強調されました。さらに電池・触媒の第一原理計算(DFT計算)を実行する際に考慮しなければならない様々なコツやどのような物性が計算できるのかを説明されたのちに、実際にスーパーコンピュータ「富岳」を使用した第一原理計算デモを行いました。セミナー2日目はまず電気化学の重要な尺度である酸化還元電位(自由エネルギー)のより正確なDFT計算手法やよく用いられるHOMO-LUMO議論が近似であることを示されました。続いて実際の二次電池・電極触媒の様々な物性に対する第一原理計算研究事例を館山講師の研究例も含めながら多数紹介されました。その中で、2つの反応の見方とDFTが導き出す2種類のエネルギーの関係を明示し伏線を回収されました。従来の教科書には載っていない電気化学とDFT計算の関わりを示す斬新な解説が展開されました。
今回が化学材料第1シリーズの第2回目でしたが、前回に引き続き、企業・大学・研究機関等から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第2回「第一原理計算/蓄電池・触媒の界面化学・イオニクス」
館山 佳尚 (物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 副拠点長)
日時:2022年5月25日(水)16:00~18:30、5月26日(木)16:00~18:30
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:83名
〔内訳〕学内18、学外62(企業等38、大学22、研究機関2)、講師他3