乙黒 亮教授の共著「形態論の諸相:6つの現象と2つの理論」が2024年10月に(株)くろしお出版で刊行されました。
【著者】 乙黒 亮、田川 拓海
【出版社】 くろしお出版
【出版年月】 2024年10月
【ISBN】 978-4-87424-990-1 C3080
*出版社のリンク:「形態論の諸相 6つの現象と2つの理論|くろしお出版WEB
乙黒 亮教授による紹介文
「形態論」とは英語でmorphologyを訳した用語で、ギリシャ語由来のmorph-「形」と-logy「研究」という2つの要素を組み合わせたものです。言語学では語の形を研究する領域を指します。語の研究というと地味なイメージを抱くかもしれませんが、中々奥深く、実に難しい研究対象です(そもそも「語」とは何か、定義できるでしょうか?)。
この本は、私が2015年くらいから研究会などを開催しながら、取り組んできた研究内容をまとめたものです。取り扱っている言語は30にのぼり、アニュアク語、ウドムルト語、ハユ語など、おそらく皆さんが耳にしたことすらない言語のデータもあります。しかし、どの言語もその使用者はヒトです。ヒトが言語を使うとき、使用言語に関わらず、脳内で働いている語を作り出すメカニズムがあります。みなさんが言葉を話している最中も、意識はしていなくても頭の中でその語形成を司るシステムがフル回転しています。この本では、そのシステムの中身を関数を用いて数理的に明らかにしようとしています。
何やら難しそうと思われるかもしれませんが、この本は教科書としても使えるようになっていて、練習問題もついています。言語学を勉強したことがない人でも、最先端の形態論について手を動かしながら学べるようになっていますので、ぜひ手にとって、パラパラと眺めてみてください。