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法学部4年間で培った法的論理的思考力は国際社会における共通語
Mon 18 Mar 24
Mon 18 Mar 24
「法学部教育奨学金」は2006年度から給付が開始された、法学部独自の奨学金(返還不要)です。校友や、法学学術院専任教員および退職教員など300名以上の方々の寄付等に支えられ、支給実績は延べ120名以上。
1年次に奨学課の奨学金登録を行った法学部正規生(自宅外通学者のみ対象)から、学業成績と人物の評価等により受給者が決定されます。年額40万円が3年間継続して給付される、入学後に申請する学内奨学金の中では最も条件の良い奨学金の一つと言えます。
校友・教員の熱い思いをつなぐ法学部教育奨学金について、受給学生の声をお届けします。
西澤まりなさん(2024年3月卒業・愛知県出身)
奨学金に申請したきっかけ・使い道
一年次に大隈記念奨学金を受給した際に初めて法学部教育奨学金の存在を知りました。早稲田大学として多くの奨学金制度があることはもちろん、法学部が独自で用意しているものもあり驚いたことを覚えています。
奨学金は、主に教材費や外国語の検定費、公務員試験対策費用に充てさせていただきました。特に、外交官を目指していた私はIELTS(英語能力検定)の検定料やオンライン英会話等、将来の夢を実現させるために奨学金を使用させていただきました。
法学部教育奨学金は継続支給ということで、アルバイトを適度に抑えて授業や試験勉強に集中して取り組むことができました。現在は4年生ですが、アルバイトはせず、秋学期はキャリアに生かせる語学科目や英語開講科目など21単位を履修し、新たな友人たちと充実した学生生活を送れています。
外交官の道へ
私は、外交官を目指していたため、国際法や憲法など試験科目で大いに助かりました。しかし、大学入学当初からこの明白な夢があったわけではなく、1~2年次で法学部の教養科目や必修科目を履修する中で、法を基盤とした国内社会についての理解が深まり、社会の安定に興味を持つようになりました。この頃は、まだ法学の初学者でしたが、新聞を読むのが面白くなるなど、その意義を実感していました。学年が上がるにつれて自分の興味・関心のある授業を履修できるようになり、徐々に法の支配の下の安定的な国際社会の構築に貢献したいという思いが芽生えるようになりました。そして、「国際法特論(安全保障)」、「国際法特論(国際⽴法論)」、「国際法と外交」など、元駐米大使の先生や外務省職員の方による日本の外交政策に関する授業を履修し、将来の進路がより具体的・鮮明になっていきました。自分の関心分野である国際関連科目が充実しているのは大変有難かったです。また、副専攻(フランス語圏地域研究)の科目でも見識を広げることができました。私の進路選択は、早稲田大学法学部なしには実現しなかったと思います。

コロナ禍での学生生活
コロナ禍で2年次の春まで愛知の実家で授業を受けていました。1年次のうちはオンライン授業で友人作りも厳しく、心細くて、こんな大学生活のはずではなかったと挫けそうになりましたが、学生の本分は勉強だ!と気持ちを切り替えて、勉強に全力で取り組みました。語学などリアルタイムのオンライン科目や、週に1回アップロードされるオンデマンド科目が私にとっての早稲田大学の全てになっていたくらいでした。努力の結果、大隈奨学金に続いて法学部教育奨学金もいただくことができました。
その後、2年次の春に1年遅れの入学式でようやく早稲田キャンパスに来られたのですが、初めて先生方をお見掛けして「本当に生きてる!」とアイドルを見たように感動しました(笑)。
2年次の秋からはゼミが始まり、キャンパスでの対面授業を本格的に履修し始めました。ゼミは河野真理子先生の国際関係法のゼミに入りました。グループごとにテーマを決めて発表して意見交換する形式です。テーマ設定は自由で、難民、投資紛争、海洋法など様々です。基本的に学生が自主的に進めていて、議論のなかで自分だったら気づかない点を指摘しているゼミ仲間から刺激を受けています。
法学を学ぶと世界が変わる
私は、1年次のときから割と法学を身近に感じることができました。というのは、先ほども少しお話しましたが、愛敬浩二先生の憲法の授業を通じて、まず、新聞を読むのが楽しくなったのです。「この記事って、授業で先生が言っていた人権の話かな」とか。逆に、その頃起こっていたBlack Lives Matterについて先生が授業で取り上げてくださったこともありました。愛敬先生の「憲法」はパワーポイントも凝っていて、お話も面白く、コロナ禍でオンデマンド実施だったにもかかわらずライブ感がありました。法学という観点から新しい世界の見方を教えていただけて、法学部に入ってよかったと感じました。
将来の展望
春から外務省で働きます。どのようなキャリアプランを描きたいかは未定ですが、法学部4年間で培った法的論理的思考力は国際社会における共通語だと私は信じています。
外交においては国際法というルールがベースになってはいるものの、近年、ウクライナ侵攻やガザ地区での衝突など法の支配が崩れかけている現状があります。複雑に絡み合った厳しい現実に直面しながらも、国際法を勉強した自分はどうやって国際社会の秩序の維持に貢献できるのか、国際法についての知識と法学部で培った法的論理的思考力という強みを活かして存分に活躍したいと考えています。
受験生と寄付者の方々へのメッセージ
早稲田大学には多くの給付型奨学金制度があります。ぜひ活用して、大学における学びを充実させてください。
奨学金を受けた学生として、ご支援が本当に有難く、支援してくださる方々がいるから厳しい勉強も頑張ろうと思えました。感謝の気持ちで一杯です。また、支援いただいた分、自分も社会貢献して返していきたいです。

(2023年12月インタビュー)