「法学部教育奨学金」は2006年度から支給が開始された、法学部独自の奨学金です。校友や、法学学術院専任教員および退職教員からの寄付等に支えられ、支給実績は延べ120名以上。校友・教員の熱い思いをつなぐ法学部教育奨学資金について、受給学生の声をお届けします。
「法学部教育奨学金」は、1年生時に奨学課の奨学金登録を行なった法学部正規生(自宅外通学者のみ対象)から、学業成績と人物の評価等により受給者が決定されます。年額40万円が3年間継続して給付される、学内奨学金の中では最も条件の良い奨学金の一つと言えます。
奨学金で留学への道が拓け、ゼミの活動にも打ち込むことができた
井上 千帆里
2022年3月卒業予定
(愛知県出身)
奨学金を申請したきっかけ
私の家庭は兄も私立大学に在学しており、両親には2人分の学費・生活費を負担してもらっていました。入学当初から留学に憧れていましたが、これ以上の援助は頼めず、留学費用の捻出に苦労していました。そこで、「Challenge(早稲田大学の奨学金情報冊子)」等を参考に申請できる奨学金について調べて、奨学金の申請を決めました。
在学中は、早稲田の他の学内奨学金(給付)も受給していました。
奨学金の使い道
奨学金は主に7か月間のアイルランドへの留学と3週間のオンライン留学の費用として使わせていただきました。法学部教育奨学金は3年間継続支給していただけたため、コロナ禍も安心して学業、ゼミ活動に打ち込むことができました。
留学の準備
1~2年生の時に住んでいた早稲田大学の国際学生寮WISHで留学に向けた準備講座に参加し、また、留学センターの学生留学アドバイザーの先輩に具体的なことを聞いて、事前に科目履修計画を立てました。2年の春学期のうちに法律系の必修科目を全部履修して、帰国後の3年の春学期にも計画的に科目履修できたので、法学部のカリキュラムをこなしながら支障なく留学できました。
オンラインを含めた2回の留学で、多角的視点を培いながら、英語で物怖じせずコミュニケーションできるように

ダブリンで有名なバーの外観

ダブリン城
2年生の9月から3月まで、留学センターのCS-Lプログラムでアイルランドに留学しました。アイルランドを選択したのは、留学した先輩から色々な国籍の学生が留学してきていると聞いたからです。
留学を通じて多角的な視点を得られました。国が違えば文化が違い、同じ事柄に対しても考え方や捉え方が違います。例えば、思い出すのは「ありがとう」についてです。私はよく友達に「ありがとう」と伝えていたのですが、ある国の学生から「ありがとう、と言わないでいいよ。言われたくてやっているわけではないから」と言われたことがありました。相手の行為に感謝して素直に伝えていたのですが、文化や慣習によって様々な解釈があるのだな、と思いました。こういった経験の積み重ねから、自分の中の「正しさ」や「当たり前」という意識から一歩引いて、相手の言葉だけではなく考え方や背景をくみ取るように心がけるようになりました。就職活動でもこの留学の経験が生きて、グループディスカッションで円滑な議論を進めることができたと感じます。
アイルランドから帰国後、もう1回留学したいけれど費用をどう捻出しようか…と考えていたところ、留学センターでオンライン留学のプログラムができたので3週間の語学プログラムに参加しました。アメリカの大学の先生によるクラスで、世界中の学生とともに英語でディスカッションを行いました。アイルランドに行く前は、英語を話すことが恐かったのですが、現地での経験の後では、オンラインでも物怖じせずに議論ができました。
ディベートゼミで鍛えた論理的思考力
帰国後、3年生からは上野 達弘先生の知的財産法のゼミに所属しました。上野先生のゼミでは、定期的にディベートゼミを行なっています。ゼミ内でいくつかチームを組み、実際の例を使って、原告側・被告側に分かれて議論します。30人くらいのゼミで、毎回トーナメントで勝ち抜き戦を行います。議論を行なうディベーター(参加チーム)以外の学生はジャッジに回って、議論について評価します。ミニ模擬裁判のような形で進めるのでヒートアップすることもありますが、ディベーターだけヒートアップしてしまうと、ジャッジは議論に付いて来られなくなります。そこで、ディベーターとジャッジの知識量に差があることを念頭に置いて、相手チームに尋問する際は前提となる条件を確認してから尋問すること、ジャッジの反応も気にかけながら主張を述べ、分かりにくいと思われる箇所は再度述べることなどを意識しました。ジャッジが聞き取れるように早口にならないことも大切です。このように工夫をしながら、冷静に、かつ熱く議論を戦わせるのは楽しかったです。議論の過程で先輩がうまくリードしてくださって準優勝できたときは、議論の楽しさに加えて、チームで戦う充実感も感じました。
早稲田法学部の良さ
法の道に進もうという人はもちろん、法を学びながらサークルやインターンシップに取り組んでいる人、起業している人もいます。幅広く活動している皆を見ていると、自分も頑張ろうと思わせてくれるのが良いところだと思います。
今後の進路・将来の展望
2022年4月より、地元の電力系の企業に就職します。大学のディベートゼミで学んだ論理的思考力、留学を通して身に着けた多角的視点を活かし、活躍できる人材へと成長したいと思っています。
また、奨学金を通して学びの機会を与えてくださった方々への感謝の気持ちを忘れず、社会に貢献していきたいと思います。
法学部在学生や、受験生へのメッセージを是非お願いします。
早稲田大学には法学部教育奨学金をはじめ多くの奨学金制度があります。金銭的事情により学びの機会を諦めてしまう前に、ぜひ一度調べていただきたいです。
(2022年1月インタビュー)