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フェンシングも、法学も、「考え抜く力」が武器になる 日本一に輝いた法学部生・山﨑妃奈乃さんが語る、競技と学び
Thu 25 Jun 26
Thu 25 Jun 26
- INTRODUCTION
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2025年度早稲田大学体育名誉賞を受賞した、法学部4年の山﨑妃奈乃さん。早稲田大学フェンシング部に所属し、女子サーブルの選手として第6回日本学生フェンシング・カップで優勝しました。フェンシング部も団体で体育名誉賞を受賞しています。
自らを「思考型の選手」と表現する山﨑さん。相手の動きを読み、最適な一手を考えるフェンシングと法学部での学びには、共通する部分があるといいます。競技を始めたきっかけ、日本一までの歩み、法学部を選んだ理由、競技と学業を両立する日々について語ってもらいました。
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個人でも、チームでもつかんだ体育名誉賞
体育名誉賞をいただけたことは、率直に嬉しかったです。 早稲田の体育会は、競技だけではなく、勉強にもしっかり取り組むことが求められる環境です。学業も部活動も頑張ってきた中で得た日本一という結果を評価していただけたことが、すごく嬉しかったですね。今回は個人だけでなく、フェンシング部としても受賞することができました。高校時代は個人を中心に活動していて、本格的に団体戦を経験したのは大学に入ってからです。個人と団体の両方で評価していただけたことには、特別な思いがあります。
フェンシングの団体戦は、一人だけが強くても勝てません。全員が強くても、団結力がなければ勝てないと思っています。 私は1年生の頃から、チームを引っ張る立場を任せていただきました。ただ、なかなか勝てない時期もありました。だからこそ、チームでつかんだ日本一を評価していただき、これまでの過程が報われたように感じました。
ダイナミックなサーブルと「思考型」のプレースタイル
フェンシングを始めたのは、小学5年生の秋頃です。母に勧められ、早稲田大学フェンシング部の卒業生が主に指導している「ワセダクラブフェンシングスクール」で始めました。最初に練習した場所も、早稲田キャンパスの17号館でした。それまでは、5歳頃から器械体操を続けていました。小さい頃から負けず嫌いで、鉄棒の逆上がりができるようになるまで、泣きながら練習したこともあります。できなかったことができるようになる楽しさは、その頃から感じていたと思います。
サーブルは、見た目にはすごくダイナミックで、スピード感のある競技です。でも、その動きとは裏腹に、実際にはとても緻密で、高度な駆け引きがあります。 自分がどう動けば、相手がどう反応するのかを考える。自分の動きで相手を動かし、試合を組み立てていくところに魅力を感じて、一気に引き込まれました。
自分のプレースタイルを一言で表すなら、「思考型」かなと思います。サーブルには、身体能力や運動神経がすごく高い選手が多くいます。その中で自分はどこで勝負できるのかと考えたときに、思考力や相手を分析する力を武器にしようと思いました。相手が何をしたいのか、この流れなら次に何をしてくるのか、自分がどう動いたら相手は嫌なのか。それをひたすら考えて、自分のフィールドに持ち込んで戦うのが、自分の強みだと思っています。「こうしたら相手は嫌だろうな」と考えるので、少し性格が悪いように聞こえるかもしれませんが(笑)、自分の思ったとおりに相手を動かして、技が決まったときは本当に気持ちがいいです。
優勝した大会では、ベスト4進出をかけた試合が特に苦しかったです。相手はジュニア時代からトップを争ってきた選手で、お互いのことをよく知っているライバルでした。一つの判断や動きで流れが変わるような接戦でしたが、その試合を勝ち切れたことが、優勝につながる大きな一歩になったと思います。
フェンシングと法学に共通する「構造的に考える力」
フェンシングと法学には、「構造的に考える」という点で、すごく通じる部分があると思います。法学では、ある事実や問題があって、それを法律や決められた枠組みの中で考え、適切な結論を導いていきます。 フェンシングも同じで、試合の状況やルールの中で、相手の動きを読み、自分が選ぶべき最適な動きを考えます。フェンシングをしていたから法学ができる、あるいは法学を学んだから競技が強くなるということではなくて、もともと思考のパターンに似ている部分があるのかなと思います。だから、法学にもあまり抵抗なく入っていけましたし、純粋に楽しく学べています。
競技で身についた集中力も学業に生きていますが、それ以上に、一つ一つ粘り強く取り組み、積み重ねていく力が大きいと思います。法学は、結論だけを覚えればよいものではありません。条文や事実関係を確認し、それを一つずつ積み重ねて結論にたどり着きます。その過程は、競技で日々練習を重ねることとも似ています。
入学前は、法学に対して少し堅いイメージがありました。実際に堅い部分ももちろんありますが、学んでみると、法律は社会の変化とすごく深くつながっていることが分かりました。例えば、法律が改正されたというニュースを見たときにも、「社会にこういう動きがあるから、この法律が変わったのかな」「これまでの法律は、当時の社会がこうだったから作られたのかな」と、その背景まで考えるようになりました。今まで漠然と見ていたニュースの裏側や、社会が動く理由が少しずつ分かるようになる。法律を通して社会を俯瞰できるところが、すごく面白いです。
競技を続けながら学びを深められる法学部
私は、もともと早稲田大学に行きたいという気持ちが、根本にありました。小学生の頃にワセダクラブでフェンシングを始め、そこで指導してくださった早稲田大学の卒業生の方々に憧れたことが大きかったです。部の雰囲気も、人柄もすごくよくて、「この人たちのようになりたい」と思いました。その気持ちがずっとあり、高校でも「早稲田に行きたい」と言い続けていました。
その中で法学部を選んだ理由の一つは、競技を続けながら、自分に合った形で学びを深められると感じたことです。私は競技生活がかなり忙しかったので、大学に入ってからも、競技と学びをどう両立するかは大きな問題でした。法学部では、ゼミに入るかどうかを含めて、自分の状況や関心に応じて学び方を選ぶことができます。ゼミに入らない場合でも、法律主専攻や副専攻のさまざまな授業を通して専門的な学びを深めることができるなど、選択肢をたくさん持てるところに魅力を感じました。
競技を続けるから学びを浅くするのではなく、自分の生活に合わせて学び方を選びながら、しっかり深めていける。そこは、法学部を選ぶ上で大きかったと思います。また、法学部には、法曹や研究者を目指す人もいれば、一般企業への就職を考えている人もいます。同じ問題についても、将来の目標や関心によって、見方がそれぞれ違います。いろいろな人が、いろいろな視点から同じ問題を考える。そこから生まれる会話や刺激が、法学部の魅力かなと思っています。
先端科学技術と法コースの授業も印象に残っています。新しい技術によって起きる問題は、今ある法律だけでは簡単に解決できないこともあります。現在の法律の枠組みを大切にしながら、これからの法律を考えていくところにワクワクします。演習では、学生同士で議論する機会もあります。「こういう考え方もあるんだ」と気づくこともあれば、「この人はすごいことを考えているな。自分ももっとやらなければ」と刺激を受けることもあります。留学生から海外の制度や考え方を聞き、それを日本の場合と比べて考えられることも、とても有意義です。
法律は社会の根幹や基盤になるものだと思っています。その知識を持っていることは、競技者として、いつか自分が社会に何かを返していくときにも、ベースになるはずです。アスリートだから競技だけをしていればいい、という時代ではないと思います。勉強や当たり前のことにも粘り強く取り組むことは、一人の競技者としても大切なことだと考えています。
競技と学業を両立する、忙しくも充実した毎日
入学前は、法学部の試験は大変だと聞いていたので、不安はありました。でも、学習について相談できる場所や、先輩を頼れる環境もあると聞いていました。最終的には「なせばなる」という気持ちで、本気で取り組めば何とかなるんじゃないかと思って入学しました。実際に入ってから大切にしているのは、まず授業には必ず出ることです。その上で、やるときはしっかりやるというメリハリを意識しています。
部活動がある日は、午前から午後の早い時間まで授業を受け、夕方から夜まで練習します。帰宅は21時半頃で、そこから課題に取り組みます。24時頃に眠れればベスト、というような日もあります。 両立のためには、「今日はここまで終わらせる」とノルマを決めています。電車の移動中や練習の合間など、隙間時間も使います。 試験前は部活動が休みになるので、1、2週間前からは勉強に集中します。部活動に使っている力を、その期間は全部勉強に使うような感覚です。
一方で、試験が終われば友人と思い切り遊びます。塾で小学生に教えるアルバイトも週に1回ほどしていますし、部活動以外の友人もいます。語学のクラスや、授業で同じグループになったことをきっかけに仲良くなることもあります。忙しくはありますが、競技だけの大学生活ではなく、ほかの学生と同じように大学生活を楽しんでいます。
世界で勝てる選手、そして世界で活躍する人へ
競技者としては、まず大学の主要大会で四冠を達成することが目標です。長期的には、ナショナルチームの一員として、世界の舞台で勝てる選手になりたいと思っています。 競技以外の点では、世界で活躍できるビジネスパーソンになりたいです。法律の知識はビジネスの世界で「矛」や「盾」にもなりますし、自分の土台にもなると思います。 演習で身につけている、建設的な議論をする力や、論理的に自分の考えを伝える力も、将来社会で活躍する上で生かしていきたいです。
私自身、入学前は、競技を続けながら法学部で学べるのか不安でした。でも、実際には体育会の学生も多く、みんなそれぞれ両立しています。スポーツにしっかり取り組める人は、ほかのことにも粘り強く取り組む力を持っていると思います。両立することには、すごく価値があります。競技を続けたいからという理由で学びを諦めたり、学びたいからという理由で好きなことを諦めたりしてほしくありません。
法学部に対して「堅苦しい」というイメージを持っている人もいると思います。でも、そのイメージだけで選択肢から外してしまうのは、すごくもったいないです。 法学部は、社会を見る力や考える力を身につけ、自分の可能性を広げられる場所です。自分がやりたいことを大切にしながら、まずは挑戦してみてほしいと思います。
- OUTRODUCTION
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一瞬の判断で勝負が決まるフェンシング。その中で山﨑さんが磨いてきた観察力、分析力、決断力は、法学部で求められる、事実を捉え、枠組みの中で答えを考える力と重なっています。
競技に本気で向き合いながら、自分に合った学び方を選び、法律を通して社会への視野を広げる山﨑さん。日本一という結果の裏側には、競技か学業かのどちらかを選ぶのではなく、両方に粘り強く取り組み続ける姿がありました。
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