School of Humanities and Social Sciences早稲田大学 文学部

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「方法論に則った調査研究を通じ“格差”をめぐる問題に迫る」 (津田 好美 文学部准教授)

 

ご専門の分野について教えてください

社会学は、社会のあらゆる現象を俎上にのせる学問です。「ディズニーランドの社会学」も存在するため、“何でもあり”で専門性の低い学問だと勘違いされるかもしれません。研究対象が多岐にわたる一方、研究方法については、体系的な理論や技法が存在します。社会学コースに進んだ学生は、こうした社会学の理論や技法を身につけた上で、社会の構造や変容を分析・探究していきます。個別の事象としてではなく、より広範な社会的背景や歴史の中で対象を相対化し、深く考察することで浮かび上がる、人間や社会の真理があります。その面白さをぜひ味わってほしいと思います。

私自身はこれまで「社会階層」や「格差」をめぐる問題に関心を向け研究してきました。経済面でも心身の健康面でも、人々の間にある格差は高齢になるにつれ蓄積され、拡大していきます。そうした格差を是正するには何ができるのか多様な観点から考察し、発言することも研究者の役割だと考えています。担当する社会学演習では、既存の調査データをもとに、国内外を問わず格差や貧困の問題に迫ります。また、東京近郊のまちが抱える問題を、社会階層論の視点から読み解くフィールドワークも実施します。自分の足で歩き回り、五感を使ってまちのありようを観察することで、課題を発見し分析する力が磨かれていきます。

津田先生にとって学生時代のターニングポイントは?

社会階層というものに最初に興味を持ったのは、大学時代の学習塾でのアルバイトがきっかけでした。そこはおもに中学受験を目指す小学生対象の有名進学塾で、保護者や生徒、塾スタッフとのやり取りから、学生アルバイト講師だった私にも、成績上位クラスと下位クラスでは、保護者の社会経済的地位に差があることが何となく伝わってきました。とはいえ、当時の小学生の大半は公立中学校に進むため、私がアルバイトをしていた進学塾に通う生徒の保護者は、基本的に教育熱心で経済的に豊かな方が多いのです。今回の取材のために、卒論執筆時にアルバイトをしていた塾の保護者を対象に取らせてもらったアンケート結果を再度見直すと、「補習学習費(塾、家庭教師など。習い事は除く)」の平均は、4年生で34,000円、5年生で50,000円、6年生で72,000円にのぼっていました。。当時は「進学塾に通う子と通わない子」の差に気づくことはできませんでしたが、保護者の社会経済的地位や家庭の雰囲気によって教育格差が生じている現実に初めて気づかされ、その後、研究者として格差の問題に向き合っていく最初の一歩になりました。

ゼミ生・履修学生のコメント

ゼミでは社会階層や格差をめぐる問題について、文献資料やマクロデータの分析、フィールドワークを通じて理解を深め、ゼミ論集を作成します。学年の垣根を超えたゼミでの活動はとても楽しく、かつ勉強になります。

(文学部 社会学コース3年 高萩悠太さん)

 

日本史専攻ですが、社会学にも関心があり津田先生の授業を履修しました。各種データを駆使する社会学は、史料を丹念に読み込む歴史学とは違った魅力があり、先生の関西弁トークにも引き込まれました。専攻以外の科目を履修すると、新たな発見が多く学びがいがあります。

(文学部 日本史コース3年 鈴木丈治さん)

 

地方創生を研究する中で、高齢者の位置づけについて理解を深めようと、ブリッジ科目である文学部の授業を履修しました。社会の仕組みという、身近かつ将来に直結するテーマを扱うため、深く考察することができました。

(文化構想学部 社会構築論系3年 徳田七海さん)

 

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