From the Dean

学部長挨拶

学部長からのメッセージ

Message from the Dean

早稲田大学国際教養学部長

ドゥテ シルヴァン

英語を教育言語とする先駆的な学部として2004年に国際教養学部(SILS)が創設されて以来、当学部は多くの点において独自性を備え、常に日本の高等教育をけん引する存在であり続けてきました。1882年に、後に内閣総理大臣を務める大隈重信によって創設された早稲田大学の確固たる伝統、国際的な評価、そして広範な人的ネットワークと、研究・教育の両面で世界的に高く評価される多様な研究者・教育者たちの活力とが、国際教養学部において結びついています。 

日本と世界、過去と現在をつなぐこの学際的な融合は、大きな成果をもたらしてきました。約20年にわたり、国際教養学部の卒業生たちは、国際金融、医療、法曹、学術研究、情報技術、メディア、起業、行政など、多岐にわたる分野で、また世界各国で、それぞれの人生とキャリアを切り拓き、国際教養学部での学びを礎として目覚ましい歩みを続けています。当初、教育的挑戦として出発した国際教養学部は、今や日本国内のみならず海外においても高い評価を受ける教育機関へと成長しました。 

国際教養学部では、人文主義の伝統に根ざした「全人教育」とも呼ぶべき学びを提供しています。芸術と科学、言語運用能力とコミュニケーション能力、批判的思考力、文化的教養、知的倫理と誠実さ、さらに歴史・社会・政治・経済が織りなす複雑な世界を質的・量的の両面から理解する力を涵養します。この教育は、学生一人ひとりの関心や将来設計に応じた主体的な選択と、現実社会の複雑な課題に対応し得る専門性を段階的に身につけるための体系的な教育設計との両立によって形づくられています。 

国際教養学部の学生は、7つのクラスターにまたがる多様な学問分野を基盤として、コンセントレーションや演習制度を通じて専門性を深めていきます。同時に、英語、日本語、さらにはその他の言語を用いて、異なる言語的・文化的背景を持つ人々と対話できる多言語能力を養います。 

国際教養学部には世界各地から教員・学生が集い、多様で国際的な学修環境が形成されています。約50か国から集う国際教養学部の正規学生に加え、世界800の協定校から毎年約300人の交換留学生が本学部を訪れます。また、留学を通じて日本国外でも多様な文化や価値観に触れる機会を得ることができます。このような環境は、「日本で最も国際的な大学」を標榜する早稲田大学ならではの特色と言えるでしょう。 

必修科目である統計学、データサイエンス、英語、日本語、外国語教育に加え、早稲田大学の他学部が提供する科目を履修する機会や、海外の名門大学とのダブル・ディグリーおよびデュアル・ディグリープログラムなどを通じて、国際教養学部の学生は、自らが望む将来の進路やキャリアを主体的に切り拓く力を高めていきます。その過程では、アカデミック・アドバイザーやキャリアセンターによる支援も受けることができます。 

その意味で、国際教養学部は、学生一人ひとりが「なりたい自分」になり、「行きたい場所」へと進むための、学術的な跳躍台であると言えるでしょう。学生たちは、インターンシップ、人的ネットワーク形成、課外活動、学生団体や卒業生組織などの多様な機会を通じて、将来の選択肢を広げながら自らの多様な可能性を探究していきます。 

世界が急速に変化し続ける中にあっても、国際教養学部の教育理念は揺らぐことがありません。それは、伝統的な学問分野における確かな素養と、国境を越えて進展する技術革新や社会的・心理的変化に対する現代的な理解とを結びつけることです。それによって、学生たちが課題や不確実性に直面したときにも、物事を明晰に見極め、自らの判断で主体的に決断し、行動できる力を身につけることを目指しています。 

国際教養学部が提供するのは、日本を拠点としながら、知的な厳密さと人文主義的な視座とを兼ね備えた国際教育です。それを通じて、学生一人ひとりが世界の中で自らの居場所を見いだすことを支援します。 

私たちは、学生たちが世界をより良い方向へと導く存在となることを願っています。そのためには、正しさと誤りの関係が持つ複雑さを理解し、一つの問題の解決が新たな問題を生み出すことのないよう、深く思考する知性を身につけることが重要だと考えています。 

だからこそ、国際教養学部は、古代ローマの詩人ホラティウスからイマヌエル・カントへと受け継がれた、知識と理性に根ざす個人と社会の啓蒙を促す言葉を、そのモットーとして掲げています。 

Sapere aude. 

知る勇気を持て。賢明である勇気を持て。