School of International Liberal Studies早稲田大学 国際教養学部

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【卒業生インタビュー】渡邉 裕人(WATANABE, Yuto)さん:北海道大学大学院で現象学を極める

  • 駒場東邦高等学校 2018年3月卒業
  • 早稲田大学国際教養学部 2022年3月卒業
  • 北海道大学大学院文学院 2022年4月入学

在学中は、長坂真澄先生のゼミ(演習)で現象学をまなび、大学院に進学した渡邉さん。進学を決意した経緯や、SILSでの学びが研究生活にどのように活きているか、お伺いしました!

 ― SILSを卒業後、現在の進学先での様子を教えてください。

北海道大学大学院で現象学を研究しており、芸術、特に音楽に関する現象学を研究しています。人間はどういうものを音楽として捉えるのか、同じ曲でも感動する人と感動しない人がいる違いはどういうところから生じるのか、などのテーマを研究しています。大学院の授業では、基本的に現象学の文献を読んでいますが、一から基礎を学ぶ授業もあります。大学院での履修講義だけでなく、学会やワークショップなどにも多く参加しており、知識を広げたり、同じテーマを扱っている大学院生のフィードバックをもらったりして、大学院生活を送っています。講義中心の生活は学部時代と変わりませんが、単位とは関係ないところでも講義や学会を聴講することが増えたのが大学院ならではだと思っています。

 ― 現在の進路はどのように決めたのですか。

留学に行く前から大学院進学は少しずつ考えていたのですが、テーマは決まっていませんでした。在学中はカナダのカルガリー大学に留学し、言語学を学びました。帰国後、就活をしていく中で、もう一度自分の人生の優先順位を考えるようになり、有力な会社に就職してたくさん稼ぐよりも、自分が興味のあることを続けたいと思うようになりました。

家族が音楽大学出身で、自然と音楽に興味を持って育ってきたのですが、「クラシック音楽が至高」という価値観に違和感を持ち、音楽の中に優劣はないのではないか、と思い始めたのが、音楽をテーマにする一つのきっかけでした。音楽の優劣は正当化できるのか、どのようにしてこの考え方が生まれるのか…こうした疑問についてもっと知りたいという思いが、哲学的な視点から音楽について研究することにつながりました。

高校時代から哲学に興味はあったのですが、学部一年生の時に履修した哲学の授業で本格的にこの学術分野に興味を持つようになりました。その授業は時間論についての授業でしたが、そこから色々な哲学系の授業を学部内外で履修するようになり、興味が具体化されていきました。学部3年生の時、長坂教授の上級演習をとり、初めて現象学に触れました。演習で扱うテーマの一つに、芸術に関するものがあり、それを選んだのが現在の大学院での研究につながりました。長坂教授に、さらに現象学を学びたいと相談したところ、北海道大学大学院をすすめられて、進学を決めました。大学院入試では、筆記試験と面接があり、基本的に大学の授業がその対策になりました。文学部の哲学史の授業も、筆記試験の対策になりました。また、ドイツ語は、SILSで一年生の時から履修しており、四年生からは他学部提供のドイツ語ディスカッションの授業も履修して、独和訳の対策を行いました。

 ― 今の進路に進んで、やりがいを感じていることは何でしょうか。

日々講義で得る知識や、授業外の学会やワークショップで得る知識が増えていくのが楽しいです。現象学を扱っている同期は少ないですが、少ないからこそ積極的にアドバイスし合い、相乗効果を出せる関係の人々と出会うのも楽しい。このような環境で少しずつわかっていくことが増えていくことを実感しており、同時にやりがいも感じています。

 ― SILSでの学びは、現在どのように役立っていますか。

SILSでの上級演習が、研究テーマの決定や院への進学に大きく影響を与えました。上級演習のスケジュールの構成も、計画的に卒業論文を進める助けになりました。また、長坂教授が毎週行う読書会で、フッサールの原文を読む機会もあり、大学院での研究とほとんど同じことを学部時代に経験できました。ドイツ語に関しては、SILS提供の初級から上級までの幅広いドイツ語講義が役に立ちました。

 ― 今振り返ってみて思う、SILSの魅力や強みはありますか。

英語力が飛躍的に伸びることが大きな強みだと思います。学部内の授業はもちろん、留学中に1年間完全に英語で授業を受けたことで自分の英語力にかなり自信を持てるようになりました。英語力が身につくと、英語文献の論文を参考にできます。特に情報が常に更新される分野だと、訳が出るのを待たずにいち早く論文を読めます。大学院でも英語の授業は増えますし、論文の著者に学会などで実際に会ったときに質問することもできます。英語が理解できるだけで、自分が経験できる機会の幅が広がる―これは、大学院での研究においても、就職においても同じことが言えるのではないでしょうか。

 ― 最後に、SILSを目指す受験生の皆さんへのメッセージをお願いします!

SILSでは予想よりも多分野の世界が広がっており、自分が重視すること次第では本当になんでも学べます。興味を模索する点では理想的な環境だと思います。この環境下で英語で色々なことを学ぶ経験は、自分の強みになるはずです。

掲載情報は、取材時点のものになります。

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