(2003年度入学会計専修)
博士後期課程に進学した動機を教えてください
博士後期課程に進学しようと思った動機には、大きく分けて2つあります。まず1つ目は、自分の専攻分野である会計学の研究をより深く掘り下げて研究してみたかったということです。このことに関連して、早稲田大学の会計学の先生方は学界でもトップクラスの先生方ばかりで、幸運にもその先生方から会計学を教われる環境にあったということも影響しているのかもしれません。
博士後期課程に進学したもう1つの動機には、大学教育に携わりたいという思いがありました。少子高齢化社会の到来に伴い、大学教育のあり方も問われる今だからこそ、大学の教壇に立ってみたいと強く思うようになりました。ちなみに、高等学校の教員免許を修士課程の2年間で取得しました。学部のときに教職を断念してしまった方も、努力次第で修士課程の2年間で教員免許を取得できますので是非チャレンジしてほしいと思います。
研究分野について教えてください
先ほども申しましたが、私は会計学、なかでも主に財務会計(FinancialAccounting)の分野の研究をしています。これまでに取り上げてきたテーマには、偶発事象会計、負債会計、排出権取引会計、資本会計があります。私の研究テーマは、伝統的な会計理論からここ数年新たに登場したものに至るまで幅広いものとなっています。もっとも、いずれのテーマにしても、理論的背景、時代背景、文化的背景を考慮してあるべき方向性を打ち出そうとする研究スタンスに相違はありません。
博士後期課程に進学してよかったと思うことは何ですか?
博士後期課程に進学してよかったといいますか、一番うれしかったことは、自分が書いた論文が論文集(商学研究科発行のものでいえば『紀要』や『商経論集』)に掲載されたことですね。自分でテーマを見つけ出してきて、図書館で先行研究を調べてきて(早稲田大学図書館にないものは他大学図書館に行って調べもします)、それをもとに論文で自分なりの見解を提示するという一連のプロセスを通じてできあがった論文が形になっていくのはとてもうれしかったですね。
それから、他大学で非常勤講師のお話を頂きまして、大学で授業ができたことも印象的です。博士後期課程に進学する動機となったものが徐々に実現されつつあるのをみると、博士後期課程に進学してよかったなと思います。
博士後期課程の学生生活はどのような感じですか?
博士後期課程の学生生活といいますと、朝から晩まで机に向かって勉強しているかと思われるかもしれませんが、そうでもないですよ。研究のプロセスによってはずっと机に向かうこともありますが、行き詰まったら時にはお酒を交えて先生方や先輩方にアドバイスを頂いたりもします。また、これは自分だけかもしれませんが、ぼーっとしていたり、道を歩いていたりするときにいきなりいいアイデアが思い浮かんだりします。そんなときには、忘れないように携帯にメモを入れるようにしています。
あとは、自分の研究ばかりではなく、後輩の研究の相談に乗ったりもします。後輩の相談に乗るときは、同じ目線でディスカッションすることによって、お互いに得るものがあるように心がけています。
最後にメッセージをお願いします
大学院生、なかでも博士後期課程というと、外からはなかなか分かりづらい側面が多いかと思いますが、問題点を発見してきて、それを解決できないにしても一定の方向性を打ち出すプロセスは、大変魅力にあふれたものであると思います。もっとも、大学院生は、社会人と比べて時間的余裕が多いです。ですから、タイムマネジメントを含めた自己管理がしっかりできないと、貴重な2年間ないし3年間を無駄にしてしまう恐れがあることに注意しなければならないと思います。
また、自分を含めた大学から社会に出ることなく大学院に進学したものにとっては、商学という実学をその研究対象とする以上、実務との接点に乏しいというのが弱みであるということは否定できない事実です。この点に鑑みれば、社会人の再教育の場としての大学院の魅力は非常に大きいと考えます。学生の方も、社会人の方も、明確な目的意識をもって積極的にチャレンジして頂ければと思います。