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研究科長挨拶

研究科長挨拶

商学研究科長   大鹿 智基  

 早稲田大学大学院商学研究科(Graduate School of Commerce: GSC)は、新制大学院として1951年に創設された、わが国においても最も歴史ある大学院の一つです。歴史が長いだけではなく、修士課程および博士後期課程の両課程を通じ、多くの優秀な修了生を学界(研究者)および実務界(高度専門職業人)に輩出してきました。その意味において、規模・質ともにわが国有数の社会科学系大学院といえます。

このような人材輩出が可能になる理由は、学生・教員・カリキュラムが三位一体として機能しているからに他なりません。大学院は研究の場ですので、「すでに答えがある問題」に関する知識のインプットだけではなく、「未だ答えが見つかっていない問題」に対する探究のアウトプット・プロセスが大きな意味を持ちます。各学生に対し、自らも研究に取り組む現役の研究者を指導教員とする個別の指導体制と、修士課程における講義科目を通じた体系的な学習システムを提供することで、入学した学生のポテンシャルを最大限引き出す仕組みを構築しています。さらに、経営、マーケティング・国際ビジネス、金融・保険、会計、理論・計量、公共政策・経済史、という6つの専修を設けるものの、講義科目の履修において緩やかな制約しか課していないことは、商学全般を幅広く学んだうえで自身の専門を深く追求できる学生の養成を可能にしています。

大学院における「新しい発見」——答えのない問いを自ら探究するプロセス——の意義は、生成AIの存在感が高まる中、一段と重要性を増しています。多くの生成AI、特に大規模言語モデルをベースとする生成AIは、膨大なデータから次につながりそうな文章を推測する方法で回答を作成します。結果として、未知の問題に対する回答作成は得意ではありません。自分自身で課題を発見し、その課題に対する解決策を模索し、最終的に新たな回答を得る、という研究のプロセスを経験することは、今後の生成AIの時代を生き抜くための必須の能力を修得することにつながります。

商学研究科では、理論と実務をバランスよく結合させることを通じ、机上の空論にとどまらず、他方で、表面的な実務対応のみでもない、普遍的かつ実用的な解決策を導ける有為な研究者および高度専門職業人の育成に努めてまいります。さらに、留学生も多く受け入れ、多様な価値観・文化が研究科内で融合することで、グローバル化するビジネス社会において、広く世界で活躍できる人材を送り出します。これらを通じ、わが国においてのみならず、世界における商学研究の拠点を構築できるものと確信しています。