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「美濃加茂に贈る、あたしとぼくの、ヒーローのショー」出演学生インタビュー(Vol.3 主宰編)

早稲田大学は2007年4月に岐阜県美濃加茂市と文化交流協定を締結し、2008年より10年連続で美濃加茂市にて本学学生による演劇公演を行っています。(詳細はこちらをご覧ください。)

学生は岐阜県美濃加茂市のミュージアムで約1週間合宿しながら稽古と公演をします。この企画の大きな魅力は、都会ではなかなかできない野外での公演が可能なことです。2017年度、10回目の記念すべき公演「美濃加茂に贈る、あたしとぼくの、ヒーローのショー」に出演した学生さんに3回にわたりインタビューを行いました。今回は、最終回のVol.3 主宰編。(Vol.1 ヒーロー編Vol.2 悪者編

主宰・台本演出・役者を担当し、「何でVol.1がボクじゃないんですか?」と少しご立腹の川口航さん(文学部3年)にお話を伺いました。

この公演ではどんなことを目標にしていたのですか?

今回は主宰として、多くのお客様と、加えて座組のみんなにとって、「夏の思い出」となるような公演を目標としました。それは、去年もこの事業に参加した際(2016 年は役者・演出助手として参加)、お客様のほとんどが初めて演劇を観る方だったように見受けられたのが一つの理由です。

印象深かったのが、支援してくださっている美濃加茂市の坪内逍遙博士顕彰会の方に直接、「難しくて、よくわからんわ。」と言われたこと。観客全員を十分に楽しませるのは、表現である以上、不可能に近いですが、やはりこの言葉は悔しかったです。楽しんでいたお客様も多くいましたが、しかし、それと同じくらい首を捻っているお客様もいたのです。演劇然した演劇をしっかりとつくるのも重要だと思いますが、1 年に1 回というイベント性の高いこの事業においては、もっと純粋に楽しく、お祭りのような華々しさが必要だと思い、「夏の思い出」という言葉を掲げ、そう言ってもらえるような作品を目指しました。

またこの事業が、お客様だけでなく、参加してくれる座組のみんなにとっての「夏の思い出」になることも目指しました。かなり私的な目標であると思われるかもしれず、それは否めません。当然、面白いと思ってもらえる舞台を提供するのが一番重要だと認識してはいましたが、大学生の夏休みであるということを忘れてはいけないとも思ったんです。夏休みは、楽しいものです。演劇を理由に、忘れてはいけないことです。しかし、なぜ、この事業でわざわざ「夏休みの思い出」をつくりたかったかというと、美濃加茂公演が、知らない土地での上演、“主催”が自分たちの劇団ではないこと、などと普段よりも舞台を披露する上で新しいストレスが多い環境でも、演劇は楽しいものだという自信が自分の中で欲しかったからでもあります。つまり、みんなにとっての「夏の思い出」を目指しながら、それを達成することで演劇の、普段感じられない純粋な楽しさを感じたかったんです。

公演を「夏の思い出」にするために、一番力入れたことは、みのかも文化の森という土地を最大限利用することです。お客様にとっては慣れ親しんだ場所を、演出によって、改めて魅力的に観させることを試みました。「日常」を劇的なものにみせるという力を、上演場所を意識する形で、もっと根本的なところから使おうしました。具体的には、移動型演劇という形態を実践し、お客様自らに移動していただき、みのかも文化の森の各所にいる俳優による芝居を観ていただくというものです。

なぜ、この形態を採用したかというと、慣れ親しんだ場所を、新鮮で魅力ある場所にみせるという狙いと、とても相性がいいと思ったからです。普段何気なく通りすぎたり、見たりしている場所で芝居を行う。つまり、日常的な空間を劇的なものに見せる。そうすることで、生活の中にも、劇が存在していることを伝えられるのではないかと考えました。「劇」というと堅苦しい響きになってしまいますが、単純にわくわくすることは、自分が思っているよりもたくさんあるぞということを伝えたかったんです。そうすることで、この劇が「夏の思い出」になるだけで終わらずに、劇を観た方の、これからのひとりひとり異なる思い出作りの、わずかばかりの支えになるのではないかと、いささか調子のいいことを考えていました。

なぜヒーローショーという設定にしたのですか?

心がけていたことは、ストーリーをいたって単純にするということです。「難しくてわからなかった」という感想だけは聞きたくなかったし、難しいことが、「夏の思い出」にもなりづらいだろうとも思っていました。ただ、難しい、わかりやすいはあくまで主観的なもので、わかりやすい作品をつくろうとはせず、「なんだか、演劇って楽しい」という時間と空間を感じられるような作品づくりを目指しました。だから、「なんだか、よくわからなかった」という感想が出てくるのは怖がらず、その言葉の後に「でも、楽しかった。気がする。」と言ってもらえるよう座組全員で努めました。

ヒーローショーという設定にしたのも、見た目は子どもたちに受け、内容次第では大人の人たちにも楽しんでもらえるのではないかと思ったからです。内容としては、「どんな人にも、自分にとってのヒーローがいますよね。」というありきたりなものでしたが、ヒーローショーという設定によってそのありきたりなものを大げさと言われるほどに、劇的に伝えられました。移動型演劇における、日常を劇的なものにみせるという演出とうまく重なっていたようにも思います。

結果的に、シュールすぎるヒーローショーという得体の知れないお芝居が出来上がりましたが、役者はもちろん、スタッフ全員が全力で楽しんで舞台をつくりあげ、その自分たちの興奮がお客様にも伝わっていたように感じました。子供たちは最後一緒にハイタッチをしてくれ、60 代男性の方はアンケートに「自分のヒーローを見つけたい」と書いてくれました。

早稲田大学が美濃加茂市で演劇公演を行う意義についてはどう思われますか?

公演と同じ日に、朗読会が開催されていましたが、少し見ただけでも大変な盛況ぶりでした。ご年配の方が多く参加していたようでしたが、本当にどなたも楽しそうな面持ちでした。そして、みのかも文化の森には音楽や落語のポスターが多く貼ってあったことから、それらが人気だということもうかがえました。

そこにきて演劇は、自分たちと早稲田のOB 公演のチラシしかありませんでした。おそらく、演劇は人気がない。そう思うと交流事業として演劇公演を行うのはいいことのように思います。「演劇って、面白いのか!」と知っていただける範囲が、非常に広いからです。今回で言えば、美濃加茂という地域の皆様に、演劇が、どの程度かはわからないが最低でも「暇をつぶせる」くらいのものとして認識いただけたでしょう。

早稲田大学としても、「私たちがあまり知らない、面白いことをやっている大学」と思われるいい機会に違いないです。

どのような効果があるかは、わからない。しかしやはり、演劇はメジャーではない。だからこそ大きな可能性があることは確かです。

現在、第11回演劇公演の出演者を募集中です。応募をするか迷っている学生にメッセージがあればお願いします。

小さい子が途中でどこかに行ってしまうヒーローショーは過去に事例が無い気がする。反省すると同時に、誇りにも思いたい。そんな体験を是非、美濃加茂で!

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