文化推進部長 首藤佐智子(法学学術院教授)
早稲田大学は、建学以来、積み重ねてきた歴史と伝統を通して、日本社会とその文化に貢献してきました。その蓄積は、しばしば早稲田らしさ、あるいは「早稲田文化」と称され、在学生、教職員、卒業生を含め広く早稲田関係者の誇りを醸成してきました。
文化推進部は「早稲田文化」の発信の中心的な役割を担うとともに、学生・校友・地域へと、広く開かれた連携による「知」の共創と創出を図りながら社会に貢献することを目指し、2007年に設置されました。従来から独自に展開してきた坪内博士記念演劇博物館(1928年開館)、會津八一記念博物館(1998年開館)、大学史資料センター(1998年改組)の三機関に、文化推進部直属の事務組織として文化企画課を加え、それぞれが独自の役割を担いつつも、それらが早稲田における「文化の束」として一体となって活動しています。
早稲田大学では、国宝2件、重要文化財7件、重要美術品8件を含む美術品、書画、博物資料、図書資料、映像資料など、500万点以上を所蔵していますが、これらは早稲田文化の核をなす貴重な文化資産です。文化推進部では、これらの資源の公開と活用にも積極的に取り組んでいます。
2018年3月には既存の坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館に加え、3つ目のミュージアム「早稲田大学歴史館」を開館。本学の歴史(過去・現在・未来)に関する資料や情報を、単なる通史の平板な陳列ではなく、来館者がそれぞれの関心に応じて新たな発見ができるよう、多様な切り口で提示しています。さらに、2019年3月には戸山キャンパスに竣工した本学の新たなシンボル「早稲田アリーナ」内に4つ目のミュージアム「早稲田スポーツミュージアム」も開設しました。長い歴史を彩る栄光のシーンや象徴的なエピソード等を通じて、常に時代の先頭を走るパイオニアとして大きな注目を集めてきた「早稲田スポーツ」の持つ、比類なき個性や魅力を感じていただくことができます。また、埼玉県本庄市と早稲田大学は、大久保山、浅見山丘陵の恵まれた自然環境と多様な遺跡や文化財に囲まれた一帯を「本庄早稲田文化の杜」とし、地域文化の拠点と位置付けています。2020年10月には「本庄早稲田の杜ミュージアム」を共同で開設し、本庄市と本学が所蔵する豊富な資料を活用し、地域の歴史をグローバルな視点でとらえる展示を行っています。
2021年10月には、早稲田キャンパスに「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」を開館し、校友の村上春樹氏から寄託・寄贈される貴重な資料に基づく村上春樹研究を行うと同時に、国際的な日本文学・翻訳文学の研究拠点をめざしています。開館以来、村上氏や数多くの作家や研究者をお招きして、研究会、文化交流イベントを開催しています。また、2022年4月には、歴史館と大学史資料センターを再編・統合し、両者が持つ機能を融合させた新たな「早稲田大学歴史館」として、知的・文化的情報発信の拠点とすることをめざしていきます。
早稲田大学では、2032年の創立150周年に向けて中長期計画「Waseda Vision 150」を策定し、理想の大学像を打ち立てるための各種プロジェクトを検討・実施しており、文化推進部でも「早稲田らしさと誇りの醸成をめざして-早稲田文化の推進」を核心戦略の一つに掲げています。
早稲田文化を早稲田の内外、特に外から見たとき、それは「早稲田らしさ」と結びつきます。早稲田らしさが語られるとき、早稲田の関係者は、早稲田への帰属意識と誇りをあらためて感じることになります。「早稲田らしさと誇りの醸成をめざして-早稲田文化の推進」の目的は、1. 早稲田文化とは何かをあらためて確認するとともに、その充実と展開のプロセスを明らかにすること、2. 早稲田文化を早稲田らしさの評価につなげ、その評価を高めること、3. 早稲田の誇りの一層の醸成、にあり、各目的の実現を通して新たな文化の創成に寄与することを目指しています。この目的の実現のために8つのプロジェクトを立ち上げ、独創的な事業に取り組んでいます(①文化・芸術の推進とキャンパスからの文化発信プロジェクト、②地域との連携による文化発信と施設の有効活用プロジェクト、③バーチャルミュージアム-文化資源データベース公開の強化・拡充プロジェクト、④早稲田大学百五十年史編纂プロジェクト、⑤早稲田スポーツの新たな展開プロジェクト、⑥早稲田らしさと誇りの探求プロジェクト、⑦ワセダ演劇の発信力強化プロジェクト、⑧国際文学館開設プロジェクト)。
社会における大学の存在意義は、何よりもまず教育・研究にあるのはもちろんですが、そこから生成される「文化」の力を発信することにより、大学と社会の結びつきをより強め、ひいては社会の豊かさに貢献する、そこに文化推進部の真にして無二の役割がある、と確信しています。東西古今の「文化の潮」が渦巻く早稲田からの力強い文化発信と、早稲田の文化を未来の世代へ承け継ぐことが私たちの大切な使命であると考えています。
「早稲田文化」はスポーツや科学などの分野をも含み、学生、卒業生の活動・活躍も早稲田文化の重要な構成要素です。また、本学の校友だけではなく、広く社会一般の方々にも理解、共感を得て、早稲田文化を拡げて行きたいと考えています。今後とも本学の文化事業へのご理解とご支援を心からお願い申し上げます。
部長 | 2007.4~2008.11 | 西本 武彦 |
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2008.12~2010.11 | 瀬戸 直彦 | |
2010.11~2018.11 | 十重田 裕一 | |
2018.11~2020.6 | 渡邉 義浩 | |
2020.7~ | 首藤 佐智子 | |
副部長 | 2007.4~2008.11 | 瀬戸 直彦 |
2008.12~2010.11 | 十重田 裕一 | |
2010.11~2015.3 | 石見 清裕 | |
2015.4〜2016.3 | 宗像 和重 | |
2016.4~2018.11 | 石見 清裕 | |
2018.11~2019.3 | 塚原 史 | |
2018.11~2021.3 | 大日方 純夫 | |
2018.11~2023.3 | 岡室 美奈子 | |
2019.4~ | 肥田 路美 | |
2023.4~ | 児玉 竜一 |
早稲田文化サイトは、本学の文化的資源・文化情報の発信基地として、文化推進部が運営しています。