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matawa×早稲田小劇場どらま館 「エンゲキを“構想“する」04

第4回インタビュー「文化構想を卒業する」

文化構想学部に所属する4年生3人によって結成された演劇ユニット”matawa”とどらま館制作部がコラボしてお届けするインタビュー連載企画「エンゲキを構想する」。

4回では、matawa3人が取り組む卒業論文/卒業制作のテーマや20212月の公演に向けた具体的な取り組みについて訊いていく。

▷20201022日に頭バー(http://www.zubar.jp/)にて開催されたクラブイベント『feat.matawa』よりパフォーマンスの様子。(Photo: Yukinao Hirai @sanyuhi )

 

マツモトタクロウ

19981028日生まれ/文化構想学部、文芸・ジャーナリズム論系/劇団木霊65/研究内容映画批評・創作/instagram @t_qro28

高嶋友行

1998528日生まれ/文化構想学部、文芸・ジャーナリズム論系/劇団木霊65/研究内容文芸批評・創作/instagram @tm_johann

渡辺大成

199884日生まれ/文化構想学部、現代人間論系/劇団木霊65/研究内容メディアアート・社会学・身体心理/instagram @dinary_works

 

ビデオ通話の辛さ

どらま館

今回はまず初めに、公演準備と並行して進めている文化構想学部での卒業論文/卒業制作についてお聞きしたいと思います。それぞれがどんなテーマに取り組んでいて、それが4年間携わってきた演劇にどう関わっているかまたは関わっていないかも教えていただきたいです。では、渡辺さんからお願いします。

渡辺

僕がテーマとしているのは、ビデオ通話のメディア特性についてです。書いたきっかけは、卒論のテーマを決める時期にちょうどこういう状況(コロナ禍)が始まり、オンラインでの就活も相まってビデオ通話がとても辛いと感じるようになったことです。また、(文化構想学部の)現代人間論系で「人との関係性や距離」を考えてきたということもあり、自分が直面しているこの状況について言葉にしてみようと思いました。

どらま館

ご自身の中で演劇に関係していると思う点はありますか?

渡辺

3人の中で演劇との距離が一番遠いテーマだと思うのですが、僕がこれまで演劇をする時に注視していたのが「会話」です。ずっと「自然な会話を再現する」ということに興味があり、それについて考えてきました。しかし「会話」自体がこの状況下で激変したこともあり、テーマを「会話」という観点から選びました。結果的に興味の対象は演劇にもつながるもので、そういう意味では演劇と地続きになっている部分もあるかと思います。

“オリジナル”は無い

どらま館

なるほど。それでは続いて、マツモトさんいかがでしょうか?

マツモト

僕は戯曲を卒業制作として提出するので、まさに演劇ですね。

どらま館

どんなテーマのもと書き進めているのでしょうか?

マツモト

大学に入って何度か戯曲を書いたんですが、その中で”オリジナル”ってなんだろう、ってすごく考えました。何か作品を創るってなった時にどうしても過去に影響を受けた作品がチラついてしまう、というかどうしても入り込んでしまうんです。でも、それならもうそれに振り切ってしまえってなって、自分がこれまで影響を受けてきた作家や作品をとことんオマージュしてやろう、となりました。で、それをコラージュする。そういうわけで、僕に影響を与えてくれた映画、演劇、美術、音楽など色々な物をサンプリングした作品を制作しています。

どらま館

僕自身演劇に身を置いて大学生活を歩んでいるので、戯曲などの創作物を卒業制作として提出できることを聞いたことがあったのですが、通常の文系学部では珍しいことだと思います。卒制提出に向けた先生とのやりとりなど詳しいことについてお聞きしたいです。

マツモト

卒制担当の先生はとても寛大で、去年(2019年)の11月に仮計画書に基づいた面談を行った時に「来年(2020年)の12月まで作品だけ出せば一度も会わなくてもいいよ」と言われたこともあり、内容的には自由に取り組ませてもらっています。また、戯曲とは別に考察等も書こうと思ったのですが、自分で自分の作品を考察するのも野暮かなと思い戯曲のみを卒制とすることにしました。

フィクションでありつつ、ルポルタージュ

どらま館

ありがとうございました。では最後に高嶋さんお願いします。

高嶋

僕は小説創作や批評を行うゼミに入っていまして、短編小説を卒業制作として提出します。それを元に3月までゼミ内で合評会をする予定です。実は既に書き終えていて、現在校了中になります。その小説は夏休み明けに雛形を提出し、秋学期以降は先生とのオンライン面談でブラッシュアップしていきました。

どらま館

高嶋さんのゼミでは全員が卒業制作として短編小説を書くのでしょうか?

高嶋

詩を連作としてまとめる学生もいますが、題目としては短編小説をゼミ生全員が提出します。

どらま館

なるほど。高嶋さんはどのようなジャンルの小説に取り組んだのしょうか?

高嶋

演劇とは全然関係ないのですが、僕は歌舞伎町で夏からアルバイトしていまして。そこで見たこと聞いたことを私小説風に書いています。フィクションでありつつ、ルポルタージュのような生々しさを持たせながら、歌舞伎町を描写していく記録映像的な作品になっています。

サロンであるために

どらま館

続いて、10月22日に渋谷の頭バーにて開催したイベント『feat.matawa』を終えての感想をお聞きしたいと思います。まず、マツモトさんいかがだったでしょうか?

マツモト

元々サロン的な役割を果たしたいという想いがあったのですが、その第一歩としてはまずまずだったのではないかと思います。かなりマニアックなイベントではありましたが、マニアックであったからこそ、趣味嗜好に共通点がある人が集まり、初めて会った人同士でもそこそこ盛り上がっていたのではないかという印象です。

渡辺

10月は第1回目ということで試験的に開催したのですが、僕はまだサロンとしての役割は十分に果たしきれていなかったのではないかと考えています。演劇関係や音楽関係の別々のコミュニティ同士の結びつきとしてはまだ弱かった印象です。ただ、12月に第2回が決まったということで、継続していくことによって目標としているサロンのような場所へと近づくのではないかと思っています。また、僕自身クラブに行くのは初めてで、その初めてのクラブにてパフォーマンスをするという特殊な状況だったのですが、とても楽しめました。第2回以降も楽しみです。

(Photo: Yukinao Hirai(@sanyuhi )

どらま館

演劇関係と音楽関係を中心に、友達の友達が集う空間になると素敵ですね。先程の話にもあったように12月に同じ会場で第2回の開催が決まったということで、前回とは違う取り組み等は考えていますか?

高嶋

12月は僕が中心で動いていて、第1回目で実現できなかった音の作り込みをしたいと思っています。具体的には民族音楽に紐づけられたダンスミュージックを志向します。その民族音楽を再解釈した現代のDJとインド舞踊のパフォーマーを呼ぶ予定です。つまり、前回はDJとパフォーマーが別軸で進んでいましたが、次回は最初からその両者をコンセプチュアルに進めていきたいと考えています。

空間共有と他人との関わり

どらま館

ありがとうございます。それでは続きまして、いよいよ来年2021年2月に上演予定の演劇作品について詳しくお聞きしていきたいと思います。まず、脚本を担当している高嶋さんにその題材に取り組んだきっかけからお伺いしていきたいです。

高嶋

紋切り型になってしまうのですが、2020年は社会制度やメディアの在り方が大きく変わりました。それと同時に先程の渡辺の卒論の話にも通じるのですが、オンライン上でのコミュニケーションで他人との関わり方について改めて考えるようになりました。そんな時に演劇は時間と場所を指定してその空間を共有することが大前提で、そこに意義があると思っています。観客の動員については未だ不透明なので、配信での方法についても同時並行的に検討していますが、空間の共有と他人との関わり方が今回の演劇の主題として確実にのしかかってきます。

高嶋

具体的な話をすると、複数の男女が登場して愛の在り方やそれが社会的な”大きな物語”に影響を受ける様子を観客とともに空間を共有して観測していく作品になります。

どらま館

なるほど。高嶋さん自身が持つ「空間の共有や他人との関わり方」についてのイデオロギーは存在するのでしょうか?

高嶋

題材にしている時代や国はまだ通信技術が発達しておらず、ぱっと知り合った人と別れる時は今生の別れになってしまいます。イデオロギーというよりかは趣向になるのですが、僕自身もその時代感で友達付き合いや恋愛をしています。これ(オンラインでのインタビュー)で事務的なやり取りには事欠かないとは思うのですが、お互いの信頼を獲得することには空間の共有が必要不可欠になっていくのではないかと思っています。

▷2021年2月どらま館にて開催予定の公演に向けたフライヤー製作過程(提供:渡辺大成)

彼がやりたいことを実現していく

どらま館

演劇という表現方法自体が空間共有を大切にしていると同時に取り組む作品自体も空間の共有を考えさせられるということで、二重の意味でテーマが存在しているような印象を受けました。ちなみにこの題材に取り組むにあたって、マツモトさんと渡辺さん2人はどのように話し合いに参加し、決定したのでしょうか?

マツモト

彼がやりたいと思ったことを実現していくのが僕らの役割なので、基本的に作品に関しては高嶋に任せています。ただ、当然何度か議論もしました。元々は、既知に別解を示すユニットとして有名な古典戯曲を上演する予定でしたが、先ほど話した2020の状況も鑑みて色々話し合い、題材変更を決めました。

どらま館

それだけ3人にとっても重大なテーマとして意義のあるものなんですね。それでは最後に公演に向けて現在どのような取り組みを行なっているのか、テクニカル的な分野を担当している渡辺さんにお聞きしていきたいと思います。

渡辺

今は最重要課題としてフライヤー製作に取り組んでいます。また、最近パフォーマンスのワークインプログレスの参加で考えた「人の感情の発露や内側の生々しさ」を通して、舞台美術におけるアプローチや知見を得られたので、舞台美術の案出しにも取り組んでいます。一番ネックなのが配信の方法で、映像としてもどのようにすれば面白くなるか検討中です。

どらま館

配信も併せて楽しみです。それでは今回はここでインタビューを終わらせていただきます。ありがとうございました。

取材・編集 重村眞輝(どらま館制作部スタッフ)

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