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matawa×早稲田小劇場どらま館 「エンゲキを“構想“する」02

第2回インタビュー「文構1年生は何を学ぶのか」

文化構想学部に所属する4年生3人によって結成された演劇ユニット”matawa”とどらま館制作部がコラボしてお届けするインタビュー連載企画「エンゲキを構想する」。

第2回では、matawa3人の文化構想学部1年生の時の様子や参加中のKYOTO Design Lab主催のオンラインワークショップ「(Re)generating Japan」の進捗、今後の活動について訊いていく。

▷マツモトタクロウ(写真右)
1998年10月28日生まれ/文化構想学部、文芸・ジャーナリズム論系/劇団木霊65期/研究内容…映画批評・創作

▷高嶋友行(写真左)
1998年5月28日生まれ/文化構想学部、文芸・ジャーナリズム論系/劇団木霊65/研究内容…文芸批評・創作

▷渡辺大成(写真中央)
1998年8月4日生まれ/文化構想学部、現代人間論系/劇団木霊65期/研究内容…メディアアート・社会学・身体心理学

彼らが1年生のとき

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第1回インタビューではmatawaの団体コンセプトや3人が作品を構想する上で大切にしたいことについて教えていただきました。そんな御三方が文化構想学部1年生の時、どんなことに興味があり、どんな授業を受けていたのか教えて下さい。

マツモト

高校卒業してとりあえず「社会のこと・世界のこと」を知りたいと思い、宗教や政治の授業をよく取っていました。特にキリスト教についての授業は、好きな映画監督の園子温さんが自身の映画の主題によく取り入れていたこともあり、熱心に受講していた気がします。具体的に取っていた授業は「政治学原論」「キリスト教概説」「宗教思想」などです。

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松本さんが現在所属している文芸・ジャーナリズム論系の授業と必ずしも一致はしていなかったのでしょうか?

マツモト

そうですね、大教室で行われるようなミーハーな授業を受けたくなかったという少し尖った側面もありました(笑)。

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なるほど、わかります。それでは続いて渡辺さんいかがでしょうか?

渡辺

まず、文化構想学部に入った理由が「早稲田大学の社会科学部よりも広い範囲の、社会学っぽいこと」を勉強したかったから、ということもあり、社会学の授業を中心に受けていた記憶があります。社会学に惹かれた理由は、「自分の感じていた小さな気持ちやよくある現象など全てに名前がついていること」に面白さを感じていたからです。また、時代によって人の価値観が変動していたり、逆に現代にも通じる社会の見方があったりと、自分の今の常識を俯瞰的に気づかせてくれる点も面白さの一つです。

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当たり前になっている物事の関係のありようをあらためて捉え直すような視点が自分を見つめ直すことにもなるというのは興味深いです。

渡辺

1年生のころは、近代化の流れを中心に、メディアアートについても興味があったので、「社会学の考え方」や「モダニティとポスト・モダニティの社会論」、「身体論1・2」を取っていました。2・3年生では現代社会の考え方やその構造から考えるメディアアート、個人の身体から社会を考えるような分野を勉強したので、その基礎固めとなったかもしれません。また、4年生で取っている授業が自然と1年生の時と似た範囲になり、自分の興味が大学4年間で一周回って戻ってきたような感じです。そう考えると、大学での4年間は社会学を軸として幅広く履修していた気がしますね。

▶文化構想学部の論系紹介(公式HPより)

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ありがとうございます。最後に高嶋さんお願いします。

高嶋

僕は文学を中心とした授業が多かったです。「文芸批評理論」や「イメージと批評」などです。

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高校生の時から文学的なことを学ぶ意思があったのでしょうか?

高嶋

実は高校生の時、小説家になりたかったんです。それで、文学部ではなく文化構想学部を選んだのは、文構の論系の一つである文芸・ジャーナリズム論系では”書く”ことが出来ると聞いたからです。また、高校までにはしないような”批評”という読み方も学びました。

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小説家になりたかった高校の時、演劇との結びつきはあったのでしょうか?

高嶋

演劇を始めたきっかけ自体が小説を書く足しになると思ったことです。つまり、劇団で脚本を書きたかったという訳ではなく、役者の視点を獲得して、自分の書き物に昇華しようと考えていました。

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今現在、小説家になることの気持ちの変化はあるのでしょうか?

高嶋

小説家にはならないかなと思います。ただ、自分の思索や映画や本で得たものを文字でアウトプ ットにすることは昔から好きです。 もちろん、口語で人と語るのもいいですが、自分の考え方を後から見返すには良いメディアだと思います。


Animal Lives Matter

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なるほど。ありがとうございます。それでは続いて、第 1 回のインタビューでも触れていた KYOTO Design Lab 主催のオンライン・ワ ークショップ「(Re)generating Japan コロナウィルス後の新しい「新しい生活様式」を思索する」の進捗について教えてい ただきたいです。

マツモト

前回インタビュー時から大きく変更していて、まずは「演劇」という要素をどう扱うか検討しました。 元々は演劇自体をプロジェクトの中に絡めようとしていましたが、コンセプト=未来のこと+アウト プット(映像作品)=”演劇”にしようという方向性になりました。また、「ブロックチェーン婚」の要素と「イルカとキスをする」要素は残しつつも、後者を掘り下げて 「動物性愛」について詳しく調べてみました。そこで、『聖なるズー』(濱野ちひろ,集英社,2019.11.26)という動物性愛について書かれた本を読み、僕たちは動物との恋愛を空想で考え過ぎていたと思いました。

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動物性愛に関する考え方は今回のワークショップのアウトプットにはどう繋がっていったのでしょうか?

渡辺

動物性愛のリサーチを経て、人間と動物がブロックチェーン婚をあげて、主体性を認めることが社会的にどのような意味があるのか。人間と動物の平等性についてや未来における動物の権利を 考えるきっかけになりました。ただ、動物性愛を作品に絡めると「マイノリティの性」の側面に寄りすぎて、僕たちの主題から少しズレた内容になってしまいます。そこで、そこからは一旦離れて、動物の権利ひいては人権・性的 趣向などあらゆる場面に存在する「ボーダー」の部分に焦点をを当てようと思いました。

▶ワークショップ最終提出物の制作途中画面

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なるほど。それでは、今現在のアウトプットの最終形はどのようなものになっているのでしょうか?

マツモト

ブロックチェーン上で動物と結婚する人が出てくるという未来において、動物性愛者というセクシュ アルマイノリティが顕在化し、同時にそれに対する様々な意見も顕在化していきます。僕はこの議論を前にして初めて、「動物と本質的なコミュニケーションを取るとはどういうことだろうか」と真剣に考えました。 動物性愛が顕在化した時、みんながこれについて考える必要があります。つまり、Black Lives Matter 運動で人権差別について考えたように、人間と動物の関係性につい て考え始めるのではないか。そして、その運動が流行するのではないかと妄想しました。そして、未来に流行している課題に取り組む”未来の人”として、普段コミュニケーションを取ろうとしない相手と交流を図るとはどういうことかを考える人達を matawa の 3 人で演じようと思っています。

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先ほどの”人工物”とは何でしょうか?

渡辺

このワークショップでは来るべき新しい「新しい生活様式」の世界で「人工物」を妄想することが課 題の一つで、最終発表ではそれを登場させることが条件となっています。ここでの「人工物」とは、人が作り出したプロダクトや概念として定義されています。「流行は人が作るもの」という考えに立った時に、僕たちの妄想した「人工物」は「”Animal lives matter”というムーブメント」だと結論づけて、制作を進めています。

演劇と音楽の境目

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それでは最後にワークショップ以外の今後の活動についても教えていただきたいです。

高嶋

直近では matawa 主催でクラブを使ったイベントを予定しています。 前回のインタビューで「クラブのグルーヴを劇場へ持ち込む」という話をしたと思うのですが、そこには可逆性があると考えています。 つまり、劇場のスタンスをクラブへ持ち込むことも可能だと考え、クラブでのイベントを企画しています。個人的に DJ をやっているということもあり、その筋の知り合いやスペースを貸してる人へコンタクトも取れたため、開催してみようと思いました。

(Design : Watanabe Taisei)

『feat.MATAWA』…「既知に別解を」というテーマの基結成された演劇ユニット matawa が、様々なフォーマットやジャンルを横断す るという構造を再提示するべくホストを務めるコンセプトパーティー。 各分野でフレッシュな活動を展開するパフォーマーを招来し「最も原始的かつ新しい空間」の構築を目指す。 詳細はこちら

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ここで言う”劇場のスタンス”とはどのようなものだとお考えでしょうか?

高嶋

表層的で申し訳ないのですが、クラブでパフォーマンスをするイベントがあってもいいなと思ってい まして。パフォーマンスがあるクラブのイベントもあると言えばありますが、DJ 前でダンサーが踊る ような形態が多いです。それをもっとコンセプチュアルに再提示できないかと考えています。昔は、演劇と音楽には境目無く人々の中にありましたが、いつしか畑が分かれて細分化していて、 ある種の分断が行われるようになっています。僕たちがその原始の時代まで遡らせた空間を意図的に提示出来ないかと考えました。そこでは、 DJ とパフォーマンスの時間を設けて、どちらの畑のお客さんも呼ぶことが大切です。そして僕たち の希望としては、畑違いの人々の接着点=ハブになることです。それが matawa の存在意義の一 つでもあります。また、今回とは逆に音楽シーンからの視線を集めながら演劇を実施することにも意義があると思 っています。

第 3 回記事は 10 月 31 日(土)公開予定

取材・編集 重村眞輝(どらま館制作部)

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