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matawa×早稲田小劇場どらま館 「エンゲキを“構想“する」03

第3回インタビュー「ぶんかこうそう…?」

文化構想学部に所属する4年生3人によって結成された演劇ユニット”matawa”とどらま館制作部がコラボしてお届けするインタビュー連載企画「エンゲキを構想する」。

3回では、matawa3人がぶんかこうそうという学部を初対面の人への説明の仕方や先日発表を終えたKYOTO Design Lab主催のオンラインワークショップ「(Re)generating Japan」に参加して得た知見などを訊いていく。

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マツモトタクロウ(写真左)

19981028日生まれ/文化構想学部、文芸・ジャーナリズム論系/劇団木霊65/研究内容映画批評・創作

高嶋友行(写真中央)

1998528日生まれ/文化構想学部、文芸・ジャーナリズム論系/劇団木霊65/研究内容文芸批評・創作

渡辺大成(写真右)

199884日生まれ/文化構想学部、現代人間論系/劇団木霊65/研究内容メディアアート・社会学・身体心理

 

見えないものを見える形に

どらま館

それではまず、第2回のインタビューでもお話ししたKYOTO Design Lab主催のオンラインワークショップ「(Re)generating Japan」(9月29日にオンライン展覧会を終え、全プログラムが終了)に参加して気づいたこと、今後の作品創作を見据えて考えたことなどをお聞きしていきたいと思います。

高嶋

やはり、京都工芸繊維大学や他の大学の学生さんの話を聞けたのが良かったです。普段の生活で議論を交わすことが出来ない相手ですが、趣向としてはよく似ていることに気付きました。また、「見えないものを見える形にしていく」ような作品が多く、僕たちは社会制度に切り込む形で作品にしましたが、「あったらいいな」というSF的なデバイスを作っているグループが多かったです。

どらま館

例えばどのようなデバイスが作成されていたのでしょうか?

高嶋

マップ上に利用者が投稿した言葉や詩などを記録していく地図アプリを考案しているグループがありました。場所ごとに違う”雰囲気”という感覚的なものをアイデア・テクノロジー・クリエイティビティで可視化していました。そして、「見えないものを見えるようにする」というアプローチは演劇や他のあらゆる創作に通ずることです。今回それを再認識出来ました。

どらま館

なるほど。演劇で3人がやってきた「見えないものを顕在化させる営み」を今回、他のグループが全く違うアプローチで取り組んでいたということでしょうか?

高嶋

そうですね。そのスタンスは一緒だなと思います。

KYOTO Design Lab主催のオンラインワークショップ「(Re)generating Japan」にてmatawaが製作した作品

根拠ある「妄想」

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ありがとうございます。続いて、マツモトさんはいかがでしょうか?

マツモト

自分が面白いと思ったのは「妄想」というワークショップの根幹にあった概念です。例えば、社会上の課題で解決のために何をすべきか、どんなテクノロジーがあったらいいかはよく考えることです。普段、僕はその段階で終わっていました。しかし、このワークショップでは、「そのテクノロジーがあったらどんな世界だろうか」という部分まで考えました。これは、演劇を作る上で重要なことだと思っています。短絡的に「AがBをした」という行為だけでなく、その裏にある事象を「妄想」する。これが有るのと無いのとでは作品の深みがだいぶ変わってきます。さらに、今回はこの「妄想」に根拠を求められました。参考として講師の方々が提示して下さった論文や作品など含めてリサーチしてきた上で「妄想」に取り組みました。これは僕がやってこなかったことですし、2月の公演(どらま館で上演予定)の稽古でも取り入れたい思考法です。

渡辺

マツモトの話を受けて、今回のワークショップでは「考え」で終わっていたものを何かしらの形にして出すというゴールが決められていました。だからこそ、その背景で起こる問題を含めて具体的な手法が要求されました。僕らは近未来的なパラレルワールドをもとに考えていったのですが、考えれは考えるほど、本当にあらゆる要素が複雑な絡み合い方をしていることに気がついて、そこをひたすら検証していくことが必要でした。その具現化が一番面白かったですし、大変でした。印象的だったのが、(他グループの作品に対して)講師の方から自分と全く異なる視点で質問をもらったことです。彼らの裏にあるリソースの量が違うということを認識し、改めて2月の公演に向けてリサーチの大切さに気付かされました。

どらま館

では、matawaの3人が触れている演劇と今回のワークショップで妄想した内容の決定的な違いは何だと思いますか?

渡辺

演劇の場合、「世界が閉じている」と思います。ファンタジーでもSFでも、”そういう世界の話”として、観客も作り手もお話という前提を共有していると思います。今回のワークショップでは、表題が「新しい新しい生活様式を考える」ということで、今の現実から予測される未来について、既に出でいるデータをもとに考える。というようなかなり現実に基づいた形になっています。

どらま館

つまり、アウトプットとしては同じようなものも生まれる可能性があるが、作り手や受け手の前提が大きく違うということでしょうか。

渡辺

そうですね、作る道筋や辿るプロセスが異なります。もちろん、演劇でも現実を軸においた作品もあると思いますが。

どらま館

なるほど。ワークショップでの手法と演劇の手法は完全に分けられるものではなくて、お互いの手法を輸入し合うことも可能であるように感じました。

広く浅く、狭く深く

どらま館

それでは次に、”文化構想学部”に焦点を当てた話題に移りたいと思います。皆さんはワークショップでの交流の場や就職活動で「文化構想学部の〜」と自己紹介をされると思いますが、その際、一見変わった名前のこの学部をどのように説明されますか?

高嶋

求められてる答えと少し違うかもしれないのですが、自分の専攻内容を最初に答えるようにしています。つまり、哲学・文学・宗教学・芸術を包括的に勉強していると言うようにしています。

どらま館

なるほど。あえて意地の悪い質問をしますと、「文学部と何が違うの?」と聞かれたら何て答えますか?

高嶋

研究というよりかは実践に寄っているのではないかと言うと思います。カリキュラムもそのように組み立てられていると認識です。

 2021年度文化構想学部・文学部パンフレット20207月発行)の表紙。

どらま館

では、マツモトさんはいかがでしょうか?

マツモト

大人には、昔の第一文学部と第二文学部のうちの第二文学部が文化構想学部になったと説明しています。実際学んでいる内容としては、文学部が”過去のものを学ぶ”のに対して、文化構想学部はその既存ものから”未だないものを考える”のではないでしょうか。もちろん例外はあると思いますが。

どらま館

ありがとうございます。最後に渡辺さんいかがでしょうか?

渡辺

僕は「文化を構想しているよ」と言っています(笑)。文学部は狭く深く、文化構想学部は広く浅く学べると思っていて。僕も興味の範囲が広く、気が散りやすいので、文化構想学部を選びました。身体心理学から社会学、メディア論など、自分の興味が向いたものとその周辺を勉強しています。現代人間論系のゼミに所属しながら、社会学などの視点で人間関係がどのように生まれるか考えたり、自分自身の知覚のために心理学を学んだり。

マツモト

渡辺の話に関連して、「専攻は何?」と聞かれても僕は答えられないんですが、それが許されるのが文化構想学部だと思います。文学部は専門性・独立性の高い学問を扱います。例えば日本文化、アジア史、演劇映像など。それに対して文化構想学部は文芸・ジャーナリズム論、表象・メディア論など。そこでは何でもありだと思うんです。だから、専攻を決めなくても色んな興味範囲から卒論を組み立てることが出来ます。

どらま館

なるほど。これは、渡辺さんが話されていた”広く浅く”という話にも密接している話ですね。文化構想学部3年生の自分にとっても、非常の有意義なことを聞けました。ありがとうございます。

記念碑を建てる

どらま館

それでは最後に、10月22日に開催される(インタビューは10/17に実施)イベントについての意気込みや紹介をお願いします。

(Design : Watanabe Taisei)

『feat.MATAWA』…「既知に別解を」というテーマの基結成された演劇ユニット matawa が、様々なフォーマットやジャンルを横断す るという構造を再提示するべくホストを務めるコンセプトパーティー。 各分野でフレッシュな活動を展開するパフォーマーを招来し「最も原始的かつ新しい空間」の構築を目指す。 詳細はこちら

高嶋

はい。僕は最近「学問って素敵だな」と卒業を控えて改めて思っていまして。みんなアプローチは違うけど”真理”に到達しようとしているスタンスは同じだと感じるようになりました。それは芸術、音楽、ファッションを生業にしている友達を見ていても感じていることです。昔は区別の無かった演劇や音楽が恣意的に分断されていている中、細分化され過ぎて逆にジャンルが希薄になっています。そのような流れがあるからこそ、それを分かりやすく形にして再提示するような場があったらいいなと思って今回のイベントを開催しようと思いました。そうゆう時代があったということを記念碑的に残したいという動機があります。そして、このようなイベントはたくさんの人たちを巻き込むことに意味があるので、その記念碑を建てる瞬間をたくさんの人と共有出来ればと思っています。

どらま館

“真理に到達しようとしているスタンス”は文化構想学部での浅くて広いアプローチとも重なっていると感じました。ありがとうございました。

4回インタビュー記事は1130()公開予定。

取材・編集 重村眞輝(どらま館制作部)

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