カタール大学と本学との学術交流協定に基づく共同事業「カタールチェア」の発足記念イベント
2021年5月31日(月)、カタール大学と本学との学術交流協定に基づく共同事業「カタールチェア」の発足記念イベントが行われました。本事業は、両大学が有する専門性の共有、ならびにイスラーム文明に関する言語・文化・宗教・歴史・政治・経済・国際関係等の学際的分野における研究活動の支援を通じ、イスラーム地域やその地域の人々や遺産に関する理解や知見の深化に寄与することを目指すものです。
オンラインで行われた式典には、Hassan Al Derhamカタール大学学長、田中愛治早稲田大学総長の他、Hassan bin Mohammed Rafi Al Emadi駐日カタール大使ならびに須永和男駐カタール日本国大使のご列席いただきました。
式典はカタール大学国際事務局長Cesar Wazen氏の開会挨拶と、本学桜井啓子国際学術院教授による「カタールチェア」発足の背景と本事業の立ち上げにご協力下さった方々への謝辞から始まりました。
カタール大学Derham学長と田中総長によるご挨拶に続き、Al Emadi駐日カタール大使ならびに須永駐カタール日本国大使より「カタールチェア」発足へのお祝いと期待のお言葉の他、アラビア語による大稔哲也文学学術院教授のご挨拶が行われました。
その後、本事業のカタールチェアに就任したAbdullah Baabood訪問教授により本事業の目的と抱負が示されました。追って、本事業に参加するAlexander Mallett国際学術院准教授、沈雨香国際学術院助教、Matthew Gray国際学術院教授、佐藤尚平文学学術院准教授より、各自の研究に関する紹介がありました。式典は、本学国際部長のMaji Christine Rhee国際学術院教授による閉会の辞によって締めくくられました。
発足記念式典に次ぐ、アカデミックセミナー「Gulf-Asia Relations within the Changing Global Order」では、近年、世界経済のなかで急速に存在感を増しているアジアと湾岸地域の関係に着目し、日本、中国、韓国、インドのアジア4カ国と湾岸地域の関係について、政治、経済、エネルギーなどの多角的な視点から検討が加えられました。
カタール大学湾岸地域研究センター長Mahjoob Zweiri教授とカタールチェアAbdullah Baabood訪問教授の司会進行のもと、初めにイギリスDurham University のAnoush Ehteshami教授より、アジア・湾岸地域関係の全体像が提示されました。それに続き、日本と湾岸諸国の関係について日本エネルギー経済研究所理事長豊田正和氏、中国と湾岸諸国の関係については中国北京大学のカタールチェアBingbing Wu教授、韓国と湾岸諸国の関係については韓国檀国大学校GCC国家研究所のKangsuk Kim研究員、最後にインドと湾岸諸国との関係についてはインドSymbiosis International UniversityのTalmiz Ahmad教授兼前駐サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦大使より、報告と問題提起がありました。
その後は、Matthew Gray国際学術院教授による総括と問題提起、それに対する報告者からの返答や討論が予定時刻を大幅に経過するほど活発に続けられました。今後のアジア・湾岸関係ついてその可能性や方向など更なる議論と検討が不可欠であることが再確認された有意義な時間となりました。