2021年4月10日(土)に国際シンポジウム「Solve Climate by 2030 in Wasedaー2030年までに温暖化問題解決の道筋を!ー」が開催し、200名を超える学生・生徒が参加しました。本シンポジウムは本学が加盟する国際コンソーシアムAPRUと連携関係のあるOpen Society University Networkによる事業(SolveClimate by 2030)で、各大学の専門家がそれぞれの知見を、未来を担う高校生・大学生を対象にWEBレクチャーし、2030年までに温暖化問題解決への道筋をつけるべく、共に考えていくものです。世界で合計10万人の生徒・学生の参加を目指し、カナダのブリティッシュコロンビア大学や、オーストラリアのシドニー大学、ニュージーランドのオークランド大学、シンガポールのシンガポール国立大学等の大学も参加しています。本学で行われたイベントは、早稲田大学先 端 社 会 科 学 研 究 所 (IASS)、早稲田大学・環境経済・経営研究所(RIEEM)、早 稲 田 大 学高 等 研 究 所 (WIAS)の3機関の共催により実施され、4つの講演及び質疑応答が行われました。
講演に先立ち、早稲田大学弦間理事は開会挨拶で「カーボン・ニュートラル達成に向けた大学等の貢献に係る学長等サミット」で採択された「カーボン・ニュートラル達成に向けた大学等の貢献に係る宣言」を紹介。その中で早稲田大学が「化石資源からの脱却」「脱炭素に向けた革新的な技術開発」「カーボンリサイクルの促進」「人と社会の意識改革」の4つを軸として、カーボンニュートラル2050に向けて全学で取り組んでいる内容を紹介すると共に、「2030年までに温暖化解決の道筋を見つけるには、大学生・高校生の活躍が重要」と述べました。
自然エネルギー財団大林ミカ事業局長は、「脱炭素を進めるエネルギー転換」をテーマに講演。日本は世界と比べ自然エネルギーのコストが高いという事や、ヨーロッパと比べ自然エネルギーへの転換が遅い事実を紹介。自然エネルギーの割合を増やすことと、CO2の排出を削減することが重要であると強調しました。
続いて、エシカル協会末吉里花代表理事は、「気候変動対策としてのエシカル消費」をテーマに講演。エシカルの考え方を紹介し、「環境に配慮されたものを消費者が購入することで、CO2の排出量をコントロールできる」と、消費者が具体的に出来ることを示しました。また、「問題の一部ではなく、解決の一部になりましょう。一人の百歩より、百人の一歩が重要」と強調し、参加者への問題解決への参加を期待しました。
東京都環境局地球環境エネルギー部神山一次世代エネルギー推進課長は「脱炭素に向けた水素エネルギー普及のための東京都の取組」について紹介。水素エネルギーの活用の仕方を紹介し、「それらの社会実装は時間がかかるが、解決のために早く行動を起こすことが必要」と述べると共に、「脱炭素はすべての人の協力が必要で、社会人として何ができるかを考えてほしい」と、行政の取組だけ解決できる事ではないと強調しました。
最後に講演した早稲田大学高等研究所有村俊秀所長(政治経済学術院・教授)は、「カーボンプライシングで脱炭素」と題し講演。「これまで環境問題は”市場の外”にあったので解決に向かわなかった。これを”市場の内部”に取り込むことで解決が見えてくる。」とこれまでの状況を紹介。そして、そのための施策としてのカーボンプライシングを紹介しました。カーボンプライシングは低費用で導入でき、かつ合理的な考え方であるが、世界と比較して日本では導入が進まない現状があることも紹介しました。
質疑応答では、国内外の参加者から多くの質問が寄せられ、それぞれの質問に対し 登 壇 者 が 回 答 し 理 解 を 深 め ま し た 。
なお、講演会はYouTubeでもご覧いただく事が可能となっております。