Notice大切なお知らせ

第12回-2012年度 授賞作品

第12回(2012年度)石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 授賞作品

公共奉仕部門 大賞

  • 受賞者氏名:「プロメテウスの罠」 取材チーム 代表 朝日新聞東京本社報道局特別報道部次長 宮﨑知己
  • 受賞作品名:連載「プロメテウスの罠」
  • 発表媒体名:朝日新聞
  • 発表年月日(期間):2011年10月3日~継続中
  • 受賞理由:個性的な記者たちの連作として、連載中から評判の高い企画であった。「客観報道の罠」を脱し、自分でテーマを決めた、独自な視点からの取材対象への果敢なアプローチは、調査報道の奥行きを深めさせた。
    最近冷たくなった新聞記事を、人間的な記事に復権させ、報道の可能性をひらき、原発報道を豊かなものにした。この記事が社内、社外記者に与えた影響と読者に原発への批判の視点を与えた功績は大きい。
    公共奉仕部門の受賞作にふさわしい、優れた作品である。(鎌田慧)
  • 受賞者コメント:孤高を恐れないジャーナリストであり政治家であったと評される、石橋湛山氏の名を冠する栄えある賞をいただき、喜びにたえません。原発をどうするか、電力会社をどうするか、放射能被害の問題をどうするか、国はまったく無策です。書かなければならないことが山のようにあります。「プロメテウスの罠」はこの先もずっと続きます。

草の根民主主義部門 大賞

  • 受賞者氏名:渡辺一史
  • 受賞作品名:『北の無人駅から』
  • 発表媒体名:書籍(北海道新聞社刊)
  • 発表年月日(期間):2011年10月31日発行
  • 受賞理由:かつて大自然を求めバイクに寝袋とテントを積んで北海道内をまわった著者が、印象に残った無人駅を改めて取材して見たものは何だったか。駅前から消え失せた賑わい、ニシン漁場の夢の跡の遊郭、便利さから隔絶された限界集落、無人駅を取り巻くのは大自然に憧れる人々の甘さを打ち砕く厳しい人間ドラマだった。タンチョウは守りエゾ鹿は殺せという自然保護の矛盾、温暖化で失われつつある観光目玉の流氷、日本一の米どころに育て上げた開拓農民を裏切る米価下落、平成大合併を巡る住民たちの駆け引き。過酷な環境の中で必ずしもきれいごとでは生きられない人間の営みの現実を、十余年にわたってそれぞれの土地に幾度も足を運び人々の話を根気よく取材し掘り起したこの北からの報告は、地方に共通する難題の根源を鮮やかに摘出する。出版ジャーナリズムの面目をここにみた。(新井信)
  • 受賞者コメント:北海道には、今の日本の「地方」が抱える問題の最前線ともいえるテーマがゴロゴロしている。にもかかわらず、私も含め、北海道に住む人間が、それらと真正面から向き合うことを、これまでしなさすぎたのではないか、との自責の念が強かった。と同時に、「北海道」というローカルな地域にとことんこだわった本書が、全国的にどこまで通用するのだろうとも思っていた。このたび、「地方からの発信」をこのような形で評価していただき、心より感謝いたします。

文化貢献部門 大賞

  • 受賞者氏名:NHKプラネット九州 制作部 エグゼクティブ・ディレクター 吉崎健
  • 受賞作品名:ETV特集「花を奉る 石牟礼道子の世界」
  • 発表媒体名:NHK Eテレ
  • 発表年月日(期間):2012年2月26日
  • 受賞理由:2012年7月、政府は水俣病特別措置法に基づく被害者の救済受付をついに打ち切った。だが、近代の病、文明の病としての水俣病問題は終わったわけではない。この番組はそのことを、パーキンソン病に冒されながらも童女の「こころ」をいまなお持ち続ける石牟礼道子という作家の「からだ」で訴えている。彼女が、不知火海の美しい風景の中で育った少女時代を振り返って、「私は狐になりたかったんですが、いくらそう思っても尻尾は生えてこないんですね」と語る言葉は、比類なく美しい。近代化が日本列島にどれだけ業病の爪痕を残したか。福島原発事故が起きてしまったいま、この番組が静かに語りかけてくることの意味をもう一度考えてほしい。(佐野眞一)
  • 受賞者コメント:大変名誉な賞を頂き、ありがとうございます。まずは、取材させて頂いた水俣病の患者さん達、作家の石牟礼道子さん、そして今年6月に他界された医師の原田正純さんに感謝し、心よりお礼申し上げます。半世紀に渡り水俣病に向き合う石牟礼さんの言葉は、震災後の今、一層大きな意味を持って私達に問いかけていると思います。

草の根民主主義部門 奨励賞

  • 受賞者氏名:三陸河北新報社 石巻かほく編集局 代表 桂直之
  • 受賞作品名:連載企画「私の3.11」
  • 発表媒体名:石巻かほく
  • 発表年月日(期間):2011年6月11日~2012年3月9日
  • 受賞理由:一人ひとりの3.11の実体験を積み重ねていく圧倒的な手法。これでもかこれでもか、と100人を下らない。この記事を読む人は、誰もが「あの時私も同じだった」あるいは「あの時私は何をしていたか」と自分を重ね合せて考えるだろう。犠牲者が5700人を超える最大の被災地、石巻地方に焦点を合せ、人々の体験を証言という形で残し、地域で共有することが今後の災害の備えになるという取材者と地方に密着した石巻かほくの姿勢に、心から敬意を表したい。(下重暁子)
  • 受賞者コメント:東日本大震災の被災地は、今も未曾有の災害と向き合っています。被災者100人の克明な証言を集めた連載は津波の恐ろしさを記録するとともに、体験を風化させず、今後の備えに生かしたいという思いを込めました。受賞は、地域紙の使命として震災報道を続けることへの激励であり、復興に一歩一歩進む被災地へのエールだと受け止めています。

文化貢献部門 奨励賞

  • 受賞者氏名:「阿蘇草原再生」 取材班 代表 熊本日日新聞社 編集局地方部次長 花立剛
  • 受賞作品名:連載企画「草原が危ない」と阿蘇草原再生キャンペーン
  • 発表媒体名:熊本日日新聞
  • 発表年月日(期間):2010年10月~2012年6月
  • 受賞理由:「艸千里浜」の存在を知ったのは数十年前に学校の教科書で習った三好達治の詩、「大阿蘇」だった。達治が描いた阿蘇はゆったり広がる悠久の時間の中にあった。その阿蘇の草原は営々と続く「野焼き」によって守られてきた。しかし、近年になって一部の草原が放棄され始めた。畜産の低迷、過疎高齢化で地元の集落の担い手が不足し、草原の維持ができなくなったためだ。「草原が危ない」は、この危機克服のため若い記者たちが立ち上がった1年9カ月にわたる長期連載だ。今年の7月には阿蘇で大規模な豪雨災害が起きた。草原消滅の危機は目の前にある。「ふるさとを愛し、ふるさとの宝を守る」という記者の言葉は普遍的な意味を持つ。(後藤謙次)
  • 受賞者コメント:ふるさとの宝を守り、未来を担う子どもたちに引き継ぎたい。記者たちのそんなシンプルな思いから始めた連載企画でした。日々の暮らしの中で草原を守っている地元の人々や、ボランティアの方々のひたむきな姿を伝えたからこその受賞だと受け止めています。受賞を励みに、今後も地方の視点に立った報道を積み重ねます。
Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/top/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる