第3回-2003年度 授賞作品

第3回(2003年度)石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 授賞作品

公共奉仕部門 大賞

  • 作品名:「鉄路 信楽列車事故」の長期連載を中心とした鉄道の安全を考える一連の報道
  • 受賞者氏名:鈴木哲法(すずき・てつのり)
  • 発表媒体名:京都新聞
  • 発表年月日(期間):2002年7月16日~8月9日(第9章)、2003年5月1日~5月13日(エピローグ)
  • 授賞理由:事故報道は、どんな大惨事であれ、一過性のニュースで終わってしまうことがほとんどである。その「常識」を破り、事故の十年後からスタートし、三年余りの断続的連載を経て完結をみたこの記事には、同じレール上の正面衝突という信じられない鉄道事故を二度と起こしてはならない、風化させてはならないという記者の執念がにじみでている。事故直後、現場に入りレポートした者として、裁判に通い、遺族に会って、事故の全貌をこれほど実りある記録として歴史にとどめた記者魂を高く評価したい。

 

  • 授賞作品名:一連の「C型肝炎シリーズ」及びその特別番組
  • 受賞者氏名:C型肝炎取材班 代表・熱田充克(あつた・みつよし)
  • 発表媒体名:フジテレビ「ニュースJAPAN」及び特別番組
  • 発表年月日(期間):2002年10月16日、2003年6月27日
  • 授賞理由:フジテレビのC型肝炎シリーズと特別番組は、わずかに一人の医者の手に残っていた血液製剤フィブリノゲンの貴重な発見、入手とそのDNA分析によって因果関係をつきとめた。薬品類と病気の因果関係は、メーカーや厚生省当局から否定されるのが定型となっている中で、ここまで追求した取材グループの真実への意欲と取材力を高く評価したい。特に特別番組は画期的スクープとして称揚されてよい内容だが、今後も引き続き、医療問題の監視にテレビの力を発揮して欲しい。

草の根民主主義部門 大賞

該当作なし

文化貢献部門 大賞

  • 作品名:「生きる者の記録」
  • 受賞者氏名:佐藤健(故人)、生きる者の記録取材班 代表・萩尾信也(はぎお・しんや)
  • 発表媒体名:毎日新聞
  • 発表年月日(期間):2002年12月3日〜2003年1月22日
  • 授賞理由:末期ガン闘病記はとくに珍しいものではない。現役の新聞記者が自分自身の病いを題材にして同時進行ルポを書くという企画に疑問がないでもない。しかし、これが単なる感傷的な読物に終わらなかったのは、当人をサポートする取材班の客観的な視点と多くの読者からの反響と後押しであった。読者をも巻きこんで死生観について考えてみるという双方向的な紙面作りは、新聞の新しい可能性を探ったものといえる。一人の死が生へのエネルギーをも揺り動かすということでこの企画は充分に意味を持った。

草の根民主主義部門 奨励賞

  • 作品名:「ずく出して、自治―参加そして主役へ」
  • 受賞者氏名:「ずく出して、自治」取材班 代表・畑谷広治(はたや・こうじ)
  • 発表媒体名:信濃毎日新聞
  • 発表年月日(期間):2003年1月5日〜2004年6月30日
  • 授賞理由:「地方の時代」といわれながらも、逆に地域の統合と中央集権化がすすめられている。その中で、住民を主体とした、住民自治の試行錯誤がはじまっている。すでにそれは、「実験」の段階を越えて「実践」の段階になってきた。住民投票などの直接民主主義による議会政治の補完の動きなど、全国的な胎動のルポルタージュとなっている。

文化貢献部門 奨励賞

  • 作品名:「さんばと12人の仲間―親沢の人形三番叟の一年」
  • 受賞者氏名:塚田正彦(つかだ・まさひこ)
  • 発表媒体名:長野放送
  • 発表年月日(期間):2003年4月28日
  • 授賞理由:山村の解体がすすんでいる。それでも、人々は集落を維持して暮らしているところも多い。その中心に祭りが据えられ、若者たちが生活の場で伝承芸能を積極的に担っている。 先輩から後輩へと伝えられる人形遣いの伝統が、地域の解体を防ぐやわらかなコミュニケーションになっていることを納得させる。いまだ滅びざる地域のネットワークの一例である。
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