SPECIAL INTERVIEW 是枝監督

HIROKAZU
KOREEDA

是枝裕和さん

狭くてもいい。突き抜けるために、深く掘る

2018年、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督。海外から高い評価を得る作品を作り続ける是枝監督が映画の道を志したのは、早稲田大学在学中のことだったという。

「そもそもは物書きになりたくて早稲田大学の文学部を選んだんです。でも、入学してすぐに、『ここにいるだけで物書きになれるわけではないんだな』と気づきました」

通学時間が長かったこともあり、次第に授業を欠席しがちになったという是枝監督。高田馬場まで来たものの、授業に間に合わなかったときに向かったのが、映画館だった。

「当時はACTミニ・シアターをはじめ、高田馬場には映画館がたくさんあったんです。1限に間に合わなかった日は、10時頃から映画館をはしごして、一日中映画を観ていました。そんな日々の中で、『僕がやりたいのは映画を作ることかも』と思ったんです。数々の映画を観る内に興味を持ったフェデリコ・フェリーニ監督について調べたところ、彼の自伝の翻訳者が早稲田で映画史を担当している岩本憲児先生だと知り、その授業に出席するようになりました」

夢中になれるものを見つけた是枝監督は、卒業後、ドキュメンタリー番組の演出を経て映画監督に。デビュー作の『幻の光』以来、一つの家族の姿を通して社会にある違和感を描く作品を数多く手がけてきた。日本のある家族というパーソナルなテーマを扱いながらも、世界中の人々の共感を得る是枝監督作品。しかし、自身ではグローバルを特別意識して作品を作ることはないと語る。

「グローバルなテーマを意識した作品が世界中に伝わるかといえば、必ずしもそうではない。逆に、ローカルでパーソナルだからといって、閉鎖的に見えるわけでもない。例えば、『歩いても歩いても』(2008年公開)という作品では極めてパーソナルな家族の姿を描きましたが、世界各国に『自分の話のようだ』と愛してくれる人がいます。大事なのは、自分にとってモチーフが切実かどうか。その強度がもろいと、おそらく思いは届かない。狭くてもいいから、深く掘ろうと。それだけを今は意識しています」

現在、是枝監督は早稲田大学で教壇にも立っている。授業で学生の作品に触れる中で、発見も多いそうだ。

「授業の中で、作り手の愛情があふれる作品がポンと出てくることがあるんです。稚拙だけど、結果的にそういう作品が強い。ずっと撮り続けていると、自分の中に作品作りの決まりができて、大きなミスをしなくなります。でも、ミスがない=魅力的な映画かというと、そうではない。学生と触れ合う中で、改めて考えさせられています」

誰よりも作品のことを長く、深く、じっくりと考える。是枝監督の作品作りは続く。

PROFILE

1962年東京都生まれ。87年早稲田大学第一文学部文学科文芸専修卒業後、テレビマンユニオンに参加。95年『幻の光』で映画監督デビュー。2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。同年より理工学術院教授。18年『万引き家族』がカンヌ国際映画祭で、パルム・ドール受賞。2019年秋に『La Vérité(原題)』が公開予定。

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