イェール大学教授、「早稲田」を語る。

第二世紀へのメッセージ

早稲田大学にゆかりのある方に、早稲田の魅力や目指すべき姿を語っていただきます。

今回は、早稲田大学 理事に就任されたフランシス ローゼンブルース教授(イェール大学)に早稲田大学との関わりや、今後の抱負についてお聞きしました。

大きな目標へ向かう早稲田大学の挑戦を助けたい

フランシス ローゼンブルース
早稲田大学 理事[国際(欧米)担当]
イェール大学教授

大好きな日本を研究対象とすること


日本との関わりについてお聞かせください。

ローゼンブルース理事

両親の仕事の関係で、大阪で生まれ5歳まで岐阜に住んでいました。日本を離れた後も、夏季休暇には長野県の野尻湖国際村を訪れ、たくさんの友人を作りました。大学時代には関西外国語大学に半年間留学しましたし、大学院でも東京大学に留学しました。現在は米国在住ですが、日本は今でも、ふと帰りたくなるほど大好きな国です。

主な研究分野をお聞かせください。

2015年7月、本学のスーパーグローバル大学創成支援事業、実証政治経済学主催のワークショップにて講演した

ローゼンブルース理事

台湾に在住していた頃、中国と台湾をめぐる米国の姿勢について疑問に思ったことをきっかけに、国と国との関係性に注目して国際政治を学んでいました。ただ、学ぶうちに「国内の政策決定過程がわかっていなければ、国際政治もわからない」と考えるようになり、大学院からは幼い頃から親しみを持っていた日本の政治について研究を始めました。中世から近現代まで、日本の政治に関することなら全てに関心を持っています。博士論文のテーマは「日本の金融規制緩和における政治経済」でした。

早稲田と私をつなげた3人の人物


早稲田大学との出会いや印象をお聞かせください。

ローゼンブルース理事

私は早稲田大学と、3人の人物を通してつながっています。1人目は、河野勝教授(政治経済学術院)。私と同様に日本の政治を研究しており、共同研究し共著を出版しています。2人目は朝河貫一先生で、1873年に二本松(現在の福島県)に生まれ、東京専門学校で学び1895年に首席で卒業後、直ちに渡米し、1899年ダートマス大学を卒業、1902年にイェール大学大学院を修了し歴史学の博士号(Ph.D.)を取得しました。その後、1937年にはイェール大学で日本人初の教授に就任しました。そして3人目が、東京大学に留学していた頃に学会で出会い、今も密に連絡を取り続けている田中愛治総長です。田中総長は世界政治学会(IPSA)の会長を経験されるほどの政治学の権威ですから、出会った当初から研究者として尊敬していました。

ローゼンブルース理事

各界の最前線で活躍されている教授陣だけでなく、学生も素晴らしいと感じています。イェール大学は早稲田からの留学生を受け入れていますが、私が学内で見かける留学生は在学生に交じり、専門的な授業を受けて、英語で積極的に発言していました。今回、理事就任のオファーを受ける前から、早稲田大学の素晴らしさは理解していました。

早稲田大学理事に就任された経緯や、これからどんなことに取り組まれるのか教えてください。

ローゼンブルース理事

田中総長から総長就任前にお電話をいただき、理事へのオファーを受けました。田中総長は、ご自身の国際性を活かし、早稲田大学を今よりさらに国際的でオープンな大学にしようという強い思いを持っています。また、これまで学内に教育研究センターをいくつか創設するなど、大学の経営に携わってきた実績も十分です。早稲田大学は「Waseda Vision150」という大きな目標に向かう希望ある大学ですし、イェール大学とも良い関係を築いてきましたから、すぐに応援したいと思いました。

ローゼンブルース理事

早稲田大学は日本で最も有名な大学のひとつですが、世界においてはまだ伸びしろが大いにあると思っています。私の仕事は、早稲田が世界中で高い評価を受けられるように、情報発信の手伝いをすることです。毎月来日して、大学をより良くするために議論する他、教職員の皆さんが米国を訪ねてこられたときには、米国の関係者と引き合わせるなど、できる範囲で早稲田の皆さんをサポートするつもりです。

機械が取って代われない深い知識を身に付ける


学生へ向けたメッセージをお願いします。

ローゼンブルース理事

知識を身に付けるには、3つの深さの段階があります。まずは「調べる」こと。次に、なぜ目の前の現象が起こったのか「分析」すること。そして最も深いのが、さまざまな視点の情報を基に「判断」することです。機械や情報技術が発達している今、「調べる」ことで得られる知識だけでは機械に追い越されてしまいます。学生の皆さんには大学で、洗練された「判断」をすることで知識を身に付けてほしいと思います。またその過程で、さまざまな人と出会って意見を交わし、異なる意見を取り入れて新しいアイデアを生みましょう。人と交わり、「判断」することで得た知識は、機械が取って代われないものとなるはずです。

早稲田大学に期待することをお聞かせください。

ローゼンブルース理事

早稲田大学は、文学、社会科学、理工学など幅広い分野を学べる総合大学であり、その全ての分野で世界に貢献している大学です。このキャンパスの内外で人間関係を築き、深い知識を身に付ければ、世界で活躍する人材が育つはずです。早稲田大学には、これからも優秀な人材を輩出し続ける大学であってほしいと願っています。


Profile
フランシス ローゼンブルース 教授(イェール大学)

イェール大学教授。バージニア大学政治外交学専攻卒業、1988年、コロンビア大学大学院政治学研究科博士課程修了、Ph.D.(政治学)取得。アメリカ芸術科学アカデミー カウンシルメンバー、イェール大学副学長(教務・FD・ダイバーシティ担当)などを経て、2018年より早稲田大学理事に就任。

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