未来のコンピューターが作る、その先の未来とは? 「戦略的コンピューティングイニシアティブ」を開催

「戦略的コンピューティングイニシアティブ」を開催

精度の高い心臓シミュレーションによる心臓の治療やメカニズムを理解することで健康長寿を実現、気象衛星や新しいレーダーで得られるビッグデータをリアルタイムで取り込んで豪雨の襲来を予測、自動運転によって自宅から近くのコーヒーショップへ無事にたどりつくことができる、そんな未来はどのようなものになるのでしょうか? ハイパフォーマンスコンピューターやビッグデータシステムを駆使することで、このような事が実現する日もそう遠くはないかもしれません。

Source: https://www.slideshare.net/NVIDIAJapan/nvidia-deep-learning-institute-2017

ハイパフォーマンス・コンピューターやビッグデータエコシステムは、コンピューティング・エコシステム及びその設計やマーケットといった大きな枠組みでは非常に密接な関係にあります。しかし、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)とビッグデータエコシステム(プログラミングモデル、ソフトウェアスタックのシステム、ソフトウェアツールなど)の分野は、ここ十数年で大きく分岐してしつつありました。この分岐はコンピューティング・アーキテクチャーやハードウェアエコシステムの分野に新たな課題を生み出してしまいました。このような状況が続く事は、いずれの分野にとっても好ましい状況ではないと、多くの研究者も懸念を抱いています。特に、HPCとビッグデータエコシステムはAIや計算的機械学習メソッド(computational machine learning method)の革新的な進歩による課題に直面している状況です。

このような問題を解決するためには、HPCとビッグデータエコシステム両方でみられる研究・開発関連の課題点をオープンに共有する場の作成が必要に迫られています。

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早稲田大学スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU) ICT・ロボット工学拠点では、その需要に応えるべく、国際ワークショップ「戦略コンピューティグ・イニシアティブ」が開催しました。ワークショップでは、米国・ヨーロッパ・アジアから集まった技術・政策のリーダーたちが、高性能コンピューティング(HPC)・ビッグデータ・AI技術を統合する戦略的コンピューティングイニシアティブにおけるシステムとアプリケーションの最先端技術の今後を共有・議論しました。「アーキテクチャーとアプリケーション」、「システムソフトウェアとアプリケーション」、「extreme scaleとその先」、そして「HPC・ビッグデータ・AIの統合」と四つのテーマに分けて行われたワークショップには、学生や東芝・富士通等を含む企業からの参加者を含め、130名以上が集まりました。

早稲田大学橋本周司副総長のSGU拠点紹介に続き、理工学術院の笠原博徳教授と米国デラウェア大学のGuang A. Gao教授によって開会あいさつが行われました。Gao教授は「このようなイベントを東洋と西洋の架け橋となる国である日本、特に伝統と歴史のある早稲田大学で行うことは素晴らしい」とコメントしました。

本ワークショップでは「ベオウルフコンピュータークラスターの父」として有名な米国インディアナ大学のトーマス・スターリング(Thomas Sterling)教授が、ダイナミックグラフプロセッシングのためのランタイムシステムアーキテクチャーについて講演しました。ベオウルフコンピュータークラスターとはパーソナルコンピューターのクラスター(一つのシステムのようにまとめられ機能する統合された複合のコンピューター)によってHPCを実現する方法です。また、スターリング教授はThe Center for Research in Extreme Scale Technologies (CREST) の所長でもあります。

公演中、スターリング教授はコンピューターによる計算への課題、最新のランタイムシステム・ソフトウェアHPX-5を使った事例や実験、そしてexscale runtime-assistedビッグデータ計算、ハードウェアアーキテクチャの方向性について語り、「ランタイムシステムは大事だが、全体のシステムヒエラルキーのすべてではなく、execution lawはレイヤーを含めたコードデザイン及び相互に関連するレイヤーと内部の関係性についてあきらかにし、それはこのようなシステムの複雑で不規則、かつ時間変動する課題をさらに効率よく取り組むことを可能にしました。ハードウェアアーキテクチャを有効にすることは、HPC、ビッグデータに関する問題を解決するのに重要だ」と示唆しました。

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Sterling教授

最後に、「私はこの研究が、コンピュータアーキテクチャーの分野において、正直どのように貢献していくかは分からない。しかし、使い物になるのか分からないかといってこの研究に意味がないとは思わない。システムソフトウェアレベルにおいてランタイムシステム自体は私や似た分野の研究者たちにとってはすでに価値があることは間違いありません」と、コメントしました。

ワークショップの各セッションでは、ゲストスピーカーも含めたパネルディスカッションで締めくくられました。ワークショップに参加した笠原研究室所属の学生は「公演中、スタンフォード大学のウィリアムJ.ダリー(William J. Dally)教授が話していたディープニューラルネットワーク(deep neural network)は、今の研究に直結しており、このような著名な方々が集まることは大変貴重」と話しました。Dally先生がチーフサイエンティストとして勤めるNVIDIA社は現在、自動運転自動車用のディープラーニングを用いたプロセッサ作成でも世界の注目を集めています。

これからも早稲田大学はICT・ロボット工学研究の発展を通して、システムとアプリケーションの最先端技術が社会に貢献できることを期待しています。

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