アウン・サン・スー・チー氏と鎌田総長が懇談

11月2日、ミャンマー国家顧問のアウン・サン・スー・チー氏がリーガロイヤルホテルに来訪し、早稲田大学のミャンマー人学生約16名を含むミャンマー人の方々を前に講演を行いました。鎌田総長と森田国際担当理事はスー・チー氏をお出迎えし、在籍するミャンマー人学生が母国の為に熱心に研究に打ち込んでいる様子を報告しました。

早稲田大学では、優秀な研究者や、国の指導者となりうる人材の育成を目指す事を目的として、2014年9月の大学院入学者から、ミャンマー出身者のみを対象とした「奨学金連動型入試」を実施しています。この制度を利用して入学している学生を含め、早稲田大学では16名のミャンマー人学生が学んでいます。また、ヤンゴン大学、ヤンゴン工科大学と大学間協定を結び、関係を深めています。

ミャンマー連邦共和国限定 特別奨学金AO入学試験
(博士後期課程もしくは修士課程+博士後期課程) 

アウン・サン・スー・チー氏の来日にあわせ、本学に在籍するミャンマーからの3名の留学生に、日本での生活や、研究内容、将来の夢などお話を聞きました。

第1回では、ミャンマーの奨学生に早稲田を選んだ理由と最近の勉強についてご紹介します。

“タンさん:日本とは特別なつながりが”

タンさんは早稲田のミャンマー奨学入試第1期の学生で2014年に入学し、現在は川岸令和教授のもとで憲法学、政治思想と政治史を勉強しています。11歳のとき、国際理解・相互理解を促すアジア太平洋こども会議(APCC)にこども大使として45か国の児童代表と一緒に初来日。18歳ではピース大使として、また2012年にはキズナプロジェクトで東北へ3か月間復興ボランティアとして、更に2013年にはAPCCのOBOGからなるブリッジクラブの会長として度々訪れています。「個人として日本とは特別なつながりを感じます。日本人と日本文化が大好きでずっと留学しようと思っていました。日本は第2の故郷です」。

留学先に早稲田を選んだのは、奨学金の他に、本当に情熱を傾けられる学問が選べる柔軟性が決め手で、「多くのミャンマー人は政治とは距離があります。私も政治学を勉強したかったのですが、その学問分野がミャンマーの大学になかったので、医学部に進学しました。政治と社会科学への未練が残っていたところ、留学フェアで早稲田と出会い、学部の専門とは別の分野での進学が可能としていることがわかりました。他の大学ではそういった研究科の選択が出来ないことが多いのですが、早稲田の制度では学びたい学生の要望に応える柔軟なものでした。ミャンマー固有の事情に配慮された素晴らしい制度だと思います」と、学生に寄り添う早稲田大学の修学・奨学金システムを評価しています。

ダイバーシティな環境

ゼミや早稲田での様子について、「クラスのディスカッションが気に入っています。留学生もたくさんいるしグローバルな視点で90分間のインタラクティブディスカッションができる。ゼミではイラク出身で政治学専攻という学生や、中国とミャンマーの国同士の摩擦はありますが、中国人の友人もできました。授業以外でも、早稲田を出たシンガポール人の国連職員の友人が出来たり、読書したり考えたりできる刺激的な環境です」と、早稲田大学のダイバーシティな空気を満喫しているようです。

“カインさん:早稲田への進学は人生最高の決断だった”

カインさんは日本の大学を卒業して2016年4月に政治学の修士課程に入学し、母国の政治の変化を理解するために、民主化の比較研究をしています。日本留学の動機について、「ミャンマーでは日本語を勉強していましたが、日本留学経験者の先輩から、教育の概念の違いからミャンマーにはない政治や社会科学の勉強ができるからと留学を勧められました。日本語以外の勉強もしたかったので、奨学金に合格したときはとてもうれしかったですし、日本での出会いで人生が変わりました」と話します。

IMG_0022大学院進学の理由について、次のように語ります。「早稲田に行きたかった。4年生のときにミャンマーとバングラデッシュのロヒンジャ難民問題についてミャンマーや国連の対応を国際関係学の視点から勉強しましたが、『なぜ国連は動かないのか、私に何ができるのか』と悩みました。大学院に進みミャンマーを研究しようと決めた時に、先輩から早稲田の入試制度があることを聞きました。研究したい分野のレベルも高く、早稲田が第一志望でした。早稲田にはまだ7ヶ月しかいませんが、たくさんのチャンスがありますし、優れた学問と卒業生があるので、早稲田を選ぶのが人生最高の決断だったと思っています。」

静かな日本人学生

真柄秀子教授と久保慶一教授2人の教授のゼミに所属し、それぞれのゼミの違いについて「全然違う。真柄ゼミは留学生が多く、イタリア、モンゴル、イギリス、フランスからの学生が民主主義の研究をしています。毎日英語で話して学び合っています。彼らとの間は何も障害を感じません。久保ゼミでは日本人が多いです。日本人の学生は静かですが、知識と研究方法の基礎がしっかりしていますので、日本人の学生とは努力して話すようにしています。学ぶことは大きいです」と評価します。

“チョーさん:ミャンマーの海岸工学を日本で研究”

9月に来たばかりのチョーさんは創造理工学研究科の柴山知也教授のもとで海岸工学を学んでいます。早稲田大学のことは父親とミャンマーの先生から聞いていたそうです。「父はミャンマーの官僚でJICAの研修に来日し3か月間滞在。日本はきちんと組織された社会であり、日本人はとてもマナーがよいと言っていました。ミャンマーでの恩師は日本で博士をとっており、ミャンマーと同じ海に囲まれた日本で勉強するように勧められたので、日本で先進的な海岸工学と水工学を学ぼうと思いました。幸いにも早稲田の奨学金入試を見つけた事、柴山先生がミャンマーの海岸工学に深いかかわりを持っていた事等が早稲田を選ぶ理由となりました。母国のケースを研究する事は先生から応援してもらっています。」

IMG_0002チョーさんの研究分野は波と防波堤等の海岸の構造物で、現在はミャンマー海岸部の波候を分析研究する最先端のツールを学んでいます。柴山教授は自然災害を専門にしており、チョーさんは過去にミャンマーを襲った巨大サイクローンも数値シミュレーションプログラムを駆使して研究しています。留学生に親切な柴山教授について「研究室内のみでなく、様々なアプローチで研究についての指導をしてくれます。少し前に研究室の学生と一緒に東北の災害復興状況を調査しに連れて行ってくれました。今まで本でしか知らなかった海岸設備を実際に勉強できた素晴らしい経験でした。また教授が日本人学生にも研究報告を英語で行うように指導しているため、彼らの研究テーマがわかるしその研究内容も知ることができます。他の学生とのディスカッションによって自分の知識が増えるので、とても有益です」と静かに語ります。

グローバルで進取の精神に則り、早稲田大学は留学生に充実した教育の場を提供します。留学生と共に学ぶ場は日本人学生にとっても、刺激ある環境となっています。

第2回では、日本での生活や将来の夢について3人にお聞きします。

ミャンマー人奨学生インタビュー 第2回

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