第16回 (2016年度) 石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞 授賞作品決定

10月26日、第16回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」最終選考会を行い、下記の通り授賞作品を決定しました。後日贈呈式を開催します。

本学は、建学以来多くの優れた人材を言論、ジャーナリズムの世界に送り出してきました。先人たちの伝統を受け継ぎ、この時代の大きな転換期に自由な言論の環境を作り出すこと、言論の場で高い理想を掲げて公正な論戦を展開する人材を輩出することは、時代を超えた本学の使命であり、責務でもあります。

「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」は、このような背景のもと、社会的使命・責任を自覚した言論人の育成と、自由かつ開かれた環境の形成への寄与を目的として2000年に創設され、翌2001年より毎年、広く社会文化と公共の利益に貢献したジャーナリスト個人の活動を発掘、顕彰してきたものです。

大賞受賞者には正賞(賞状)と副賞(記念メダル)および賞金50万円が、奨励賞受賞者には正賞(賞状)と副賞(記念メダル)および賞金10万円が贈られます。また受賞者には、ジャーナリストを志す本学学生のための記念講座『報道が社会を変える──取材過程論──』に出講いただく予定です。

第16回(2016年度)

公共奉仕部門 大賞

受賞者名

日本テレビ報道局取材班 代表 清水 潔(日本テレビ 報道局 特別報道班)

受賞作品名

NNNドキュメント’15「南京事件 兵士たちの遺言」

発表媒体名

日本テレビ

発表年月日(期間)

2015年10月4日

授賞理由

昨年の戦後70年に際し、あの戦争に関する多くの企画記事や番組があった。携わった記者や制作者の善意は疑わないが、「大変だった」「辛かった」という生存者の体験と見聞に依拠するだけでは、時代の意味は捉えられない。そのなかで、南京事件というポレミックな出来事に果敢に挑戦した制作者の意気込みを買いたい。彼らの背中を押したのは、南京事件の現場にいた兵士らの日記など、第一次資料を地道に集めつづけた民間研究者だったろう。その色褪せたページに、当時の日本のおぞましい加害者性が刻印されている。それを誇大に言い、あるいは過小に言って政治宣伝に利用する向きはいまだに後を絶たないが、その研究者の志を引き継ぎ、映像化したスタッフの冷静さは特筆される。(吉岡忍)

受賞者コメント

何も足さない。何も引かない。ただ事実と信ずるものだけを淡々と伝える。そんな気持ちで制作しました。77年前の事件を直接見聞することは不可能。だからこそ「一次史料」と現場にいた人の「証言」にこだわりました。事実を伝え、残すこと。それこそがジャーナリズムの根幹と信じて。ご評価御礼申し上げます。

草の根民主主義部門 大賞

受賞者氏名

「語り継ぐハンセン病 ~瀬戸内3園から~」取材班 阿部 光希、平田 桂三(ともに山陽新聞社編集局報道部)

受賞作品名

「語り継ぐハンセン病 ~瀬戸内3園から~」

発表媒体名

山陽新聞

発表年月日(期間)

2015年1月~2016年3月

授賞理由

らい予防法の廃止から20年になる。私自身取材した経験もあり、ある程度知っているつもりになっていた。マスコミでも語り尽くされているように感じ、今さら何故?という思いで読み始めたが、この連載によって、問題は今なお終わっていないことに気づかされた。裁判での患者同士の分裂や、病が快復した後の社会復帰の難しさなどの事実を紹介し、元患者の心の機微をきめ細かく描くことで、90年近くに及ぶ隔離政策がもたらした問題の根深さを伝えている。さらに私たち自身の偏見や差別意識が、大勢の患者たちに理不尽な人生を強いてきたことへの憤りが「声低く」語られ、読者の共感を呼ぶはずだ。そこには「国や権威を信じやすい」という、日本人の抱える普遍的な問題すら示唆されているのではないだろうか。連載終了後、地元ではハンセン病の歴史を残さねばという機運が高まっているという。(山根基世)

受賞者コメント

ハンセン病問題を「国の政策の誤り」で済まさず、偏見・差別で患者や家族を地域から排除していった私たち自身にも問い直したい。エリアに三つの療養所がある新聞社の記者として、そうした思いで取材に当たりました。元患者の家族が国を相手に損害賠償訴訟を起こすなど、問題は終わっていません。これからも伝え続けたいと思います。

公共奉仕部門 奨励賞

受賞者氏名

新潟日報社原発問題取材班 代表 仲屋 淳(新潟日報社編集局報道部次長)

受賞作品名

長期連載「原発は必要か」を核とする関連ニュース報道

発表媒体名

新潟日報

発表年月日(期間)

2015年12月~2016年6月

授賞理由

全国各地で停止中の原発再稼働を巡る議論が活発になるなかで、新潟日報社の特集は丹念な取材によって、柏崎刈羽原発が地元にもたらす経済効果を再検証し、具体的な数字を挙げつつ原発による地元企業への恩恵の薄さを証明してみせた。福島からの避難者の声とともに、賠償をめぐる訴訟や農業への影響についても論じ、住民の目線に立って原発再稼働の是非を切実かつ多角的に問いかけている点を評価したい。(松永美穂)

受賞者コメント

弊社の報道を高く評価して頂き、心から感謝を申し上げます。政官財界が唱える「原発を再稼働しないと地域経済は持たない」という説は本当か。中越沖地震以降の原発報道の積み重ねの中で生まれた問題意識をもとに、柏崎刈羽原発の立地地域などの経済統計を分析しました。原発立地に伴う地域への経済波及効果は限定的だったことをデータで示したのが企画の特徴です。取材班一同、今回の受賞を励みに今後も取材を続けて参ります。

草の根民主主義部門 奨励賞

受賞者名

菅野 完

受賞作品名

『日本会議の研究』

発表媒体名

書籍(扶桑社)

発表年月日(期間)

2016年5月1日

授賞理由

歴史の流れが非常な勢いで方向を変えようとしている。どんな力が働いているのか。著者は、憲法、教科書、夫婦別姓問題などで草の根の保守系市民運動を続ける「日本会議」に着目する。古い文献を調べ、集会に参加し、関係者にインタビューしていくうちに、この運動を実質的に動かしている一群の人々の存在が浮かび上がってくる。1970年頃の大学紛争で民族派学生運動に青春を捧げた人たちだ。半世紀近くを経た今もなお、強い結びつきを保ち、政治への働きかけを組織的に続けている。ウェブメディアの連載で話題になった作品だが、現代日本の政治の断面を鮮やかに切り取る骨太な調査報道である。(秋山耿太郎)

受賞者コメント

石橋湛山が掲げた「反戦反軍」「小日本」などの諸価値を真っ向から否定するような主張を、長年にわたって「草の根民主主義」で展開し続ける……。そんな人々の活動史を書いた私の作品に、石橋湛山の名を冠する栄えある賞の「草の根民主主義」部門奨励賞を頂戴したことに心より感謝し、今後の執筆活動の励みと致します。

最終候補作品

※応募受付順

【候補者】 ETV特集「”“書きかえられた”沖縄戦 ~国家と戦死者・知られざる記録~」取材班  代表 小川海緒(NHK大型企画開発センター チーフ・ディレクター)
【候補作品】ETV特集「”“書きかえられた”沖縄戦 ~国家と戦死者・知られざる記録~」
【発表媒体】NHK ETV特集

【候補者】  栗原俊雄(毎日新聞学芸部記者)
【候補作品】 『戦後補償裁判 ~民間人たちの終わらない「戦争」~』
【発表媒体】 書籍(NHK出版新書)

【候補者】  子どもの貧困取材班 代表 高江洲洋子
【候補作品】 沖縄の子どもの貧困の実態を伝え、解決策を考える報道キャンペーン~連載「希望この手に」を中心に~
【発表媒体】 琉球新報

【候補者】     琉球新報社文化部 伊佐尚記、大城徹郎
【候補作品】 連載「焦土に咲いた花 ~戦争と沖縄芸能~」
【発表媒体】 琉球新報

【候補者】    「グラバーへの手紙」取材班 代表 手島隆志(下野新聞社編集局地域センター長)
【候補作品】 震災から5年「グラバーへの手紙 ~奥日光を愛した人に~」
【発表媒体】 下野新聞

【候補者】  三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員)
【候補作品】 『五色の虹 ~満州建国大学卒業生たちの戦後~』
【発表媒体】 書籍(集英社)

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