早大南門通リの一角に、その小さな空間が生まれたのは、学園紛争の嵐が吹き荒れた1966年の秋のことでした。
後に世界的演出家となる鈴木忠志氏が、同じ本学出身の劇作家・別役実氏らと結成した劇団『早稲田小劇場』。彼らが常連だった喫茶店の2階に開かれたその常打ち小屋は、やっと100人入れるほどながら、公演は満員御礼が続きます。以後この場所から、多くの演劇人が輩出し、坪内逍遥や島村抱月にまで遡る『早稲田演劇』の伝統が、また一つ大きな時代の流れを拓いていきました。
1997年からは本学の学生用施設としても大いに活用されますが、建物の耐震強度不足によリ2012年に惜しまれながら閉館。しかし、誕生からほぼ半世紀を経た今春、新たに「早稲田小劇場どらま館」として復活の幕を上げました。
鈴木氏らの息吹を受け継ぎ、世界に演劇文化を発信する一大拠点を目指します。