11月26日(木)、西早稲田キャンパスにおいて「SUBARU DAY」が開催され、富士重工業株式会社の吉永泰之社長による講演のほか、さまざまな企画が行われました。
この催しは、一般社団法人日本自動車工業会が若者の「クルマへの関心醸成」「自動車産業、ものづくりへの理解促進」に向けて実施している「大学キャンパス出張授業」の一環として行われたものです。
吉永社長はスバルらしさを生かした事業戦略で業績を上げ、国内外においてスバルの評価を高めている注目の経営者。「個性を活かして生きようよ」と題して行われた講演は大きな関心を集め、約620人の学生が会場に詰めかけました。会場の57号館2階教室は満員となり、急遽別教室で中継放送を行うことになるほどの盛況でした。
その他、スバル車の展示や同社の技術紹介展示、運転支援システム「アイサイト」の試乗体験会などが行われ、多くの学生がクルマの魅力に触れる一日となりました。
また11月16日から27日まで、同社のご支援により理工カフェテリアにて「SUBARU BREAKFAST」(100円朝食)が提供され、こちらも学生に大好評でした。
富士重工業株式会社 代表取締役社長 吉永泰之氏講演(以下意訳)
世界の自動車産業の常識は、世界シェア1%で経営資源が限られるスバルにとって正解でしょうか。
自動車産業の常識は、成長産業であることと、需要が伸びるのは新興国で、主に売れるのはコンパクトカーであるということです。
我々は、自動車業界の常識である量や価格の競争には入らずに、お客様にとって意味がある価値を提供し続けなければならない。そんなときに社員みんなで議論したのが「スバルとはなんぞや?個性ってなんだろう?」でした。「個性を活かして生きようよ」といっているけれど、「個性って何だろう」「どう活かせばよいのか」中々分からない。我々は「スバルって何だろう」という問いに、社員みんなで「こうなんじゃないかな」といろいろな議論をしながらやってきました。
何年もの議論をして得た我々が提供する価値の答えは、「安心と愉しさ」。スバルは飛行機を作ってきたので、エンジニアにとって安全が何より大事。安全じゃない飛行機を作ったらお終いですから。またスバルの特徴である水平対向エンジンや左右対称の四輪駆動は、運転する愉しさにつながるものだと思います。「DNAに根ざした安全へのこだわり」と「技術に根ざした運転の愉しさ」これが自分たちでは気が付いていなかったかもしれないけれど、スバルがこれまでお客様に提供してきた、そしてこれからも提供していきたい価値であることに数年前にたどり着きました。
次に、それらを踏まえて、どういう事業戦略を展開するかです。経営資源が豊かではない我々は「選択と集中」をしなければなりません。事業領域を自動車と飛行機に集中、世界でスバルが生き残っていく為に、日本国内専用商品である軽自動車の生産開発を止め、小型車に経営資源を集中させ、新型車の開発を行ってきました。また、要素技術においても、アイサイトや衝突安全性能に集中しました。アイサイトについてはマーケティングにおいても、スバルのテレビCMは全てこの「ぶつからないクルマ」に集中してアピールしました。そして「差別化と付加価値」。差別化が付加価値につながっていくことが大事です。つまり価格競争に入っていかないことです。「安全性能が高い」ということは「機能」ですが、それが何をもたらすかが大切です。スバルは今アメリカで「LOVE」というキーワードですべてのマーケティング活動を行っています。「あなたの大切な人を守りたい」「大切な人との楽しい時を守りたい」「そのお手伝いをしたい」それがスバルだということです。
そして、これからは、「スバルってすっごくいいよね」と言ってもらえる、皆さんの欲求を満たす会社になりたいと思います。
本当に価値のある個性には意外と自分では気付いていないということが、会社でも個人でも結構あるんじゃないでしょうか。なぜなら、自分たちにとっては当たり前のことだから。皆さんぜひ、まだ気が付いていないかもしれないけど、自分の個性を大事にし、磨いていってほしいなと思います。
日本人や日本の会社には横並びになりがちな体質があると感じますが、隣と同じことをやっているからいいという考えは、ある意味では一番危ないかもしれない。百花繚乱、みなさんがそれぞれの花を咲かせてください。