Art and Architecture School早稲田大学 芸術学校

「War Is Not Over – NAGASAKI GROUND ZERO MEMORIAL –」竹内孝明 Takaaki TAKEUCHI

2023年度卒業設計 校長賞

いま、世界中で争いごとが増しつつある。核兵器の使用まで話に上る。世界唯一の被爆国である日本。ナガサキの発する非核メッセージが、ヒロシマに比べて今一つ弱いように感じ、建築での解決を考えた。

ナガサキでは、雲に遮られて旧市街地への原爆投下は免れたが、山に囲まれた浦上地区が被爆し、壊滅的被害を被った。浦上地区は、狭隘な地形的特徴に加えて、過去に潜伏キリシタンや被差別部落住民などが多く居住していた複雑な歴史を抱える地域でもあり、様々な歴史的背景が重なって全体感をもった復興都市計画を整えることが難しかった模様。現在も被爆関連施設は複数エリアにバラバラと点在。この状況が、ナガサキ発の非核メッセージが弱く感じられる一因と感じた。ナガサキから学べることは、国であれ、地域であれ、「多様性を認め合う」ことと「全体感を持つ」ことの大切さではないか。

そこで、

① 「多様性」を象徴する被爆建造物群の標高と位置関係を列柱でモデル化
② モデルを反転させて、爆心地に、被爆当時の浦上地区を体感できる場を「地下空間/VOID」として構築
③ その「地下空間/VOID」を位相転位して「塔/MASS」として立ち上げ、「全体感」を感じ得る高さのある場を構築
④ 被爆の因果関係、現在・将来のナガサキを意識した軸線を基に、既存の原爆関連施設や周辺環境との関係を整理
⑤ 高層建造物を建てるにあたり、煙突効果を活用した自然空調や小型風力発電、薄膜太陽光発電によるゼロエナジー施設にして、炭素排出量削減に貢献

という設計を提案する。

皆が多様性を認め合い、争いごとが無くなること、そしてナガサキが世界最後の核被爆地であり続けることを、心から願う。

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