芸術学校では夜間開講という特長を活かし、早稲田大学の教授陣と、第一線で活躍する建築家や実務家など各専門領域で活躍する講師陣を招へいし、建築デザインに特化した短期集中型の分野横断的なカリキュラムを実現しました。文系・理系の領域を超え、建築をとりまく様々な分野を融合し、総合力ある新しいプロフェッショナルの育成を実現します。
授業は月曜日から金曜日、前段18:10~19:50、後段19:55~21:35に行われており、春学期(4月1日~9月20日)と秋学期(9月21日~3月31日)との2学期制となっています。
両学科とも1・2年次は共通授業です。授業日・休業日などの年間日程は早稲田大学暦に則して定められています。
建築に必要な知識と技術の基礎を総合的に学ぶことを目標とし、最初の演習科目となる建築設計表現では、図面の描き方、読みとり方等を学びながら、建築を支える基礎知識を習得します。講義系科目も含めて建築をデザイン・構造・設備・環境・材料など、様々な基礎的観点から総合的に捉えつつ、同時に図面を通して「建築とは」という視点を学んでいきます。設計演習の後半では前半で学んだ基礎力をもとに、住宅を題材にしてその応用を学び、最終課題では住宅設計の課題に取り組む中で、設計の基本的な考え方・図面表現・デザインなどを総合的に学びます。
毎回テーマを設定し、授業時間内に各自がテーマに対して考え、スケッチを描き、さらにラフな模型をつくる。思いついたイメージをラフなスケッチに描き留め、ラフな模型をつくる作業を、一定時間内にスピーディーに行う習慣を身につけることが目的である。
1:描きながら考える、2:思いつく、3:スケッチを描く、4:模型をつくるという4段階のプロセスを何回も経験する中で、自分なりの創造的構想感覚を養うことを目標とする。スケッチには、コメントも書き添える癖をつけるようにする。学期前半はラフなスケッチを描くところまで行い、学期後半はラフなスケッチを描き、さらにラフな模型をつくるところまで行う。
建築計画にとって必要な知識を事例紹介をとおして、その計画理論の基礎的内容を習得する。建築デザイン概論Ⅰは、住居・インテリアデザイン論と題し、有史以来の居住空間を歴史及び地域に層別しその特徴を概観する。近現代建築の居住空間(宿泊施設を含む)を中心に作品事例を分析し、空間と身体の関わりについて考える。
建築デザイン概論Ⅱは、独立住宅、集合住宅を中心に、構想段階から設計、現場監理に至るまでの住宅設計を進めるにあたっての必要な基礎知識を段階的にわかりやすく解説する。
建築に使用される主要な構造材料、仕上材料および機能性材料について、その種類と特徴、原料・製造方法、ならびに、材料選択の条件となる化学的性質・物理的性質・力学的性質および変質現象について説明する。また、設計・施工・維持管理の面で注意すべき要点を述べる。
構造力学の基本的な概念を理解させ、応用力を養うことを目的とする。春学期は静定梁の反力、応力計算、静定ラーメン、静定トラス等を講義し、演習問題を解説する。秋学期は、応力度、歪み度、断面の定数、モールの定理、構造物の変形、圧縮材の座屈、たわみ角法等を講義し、演習問題を解説する。また、構造模型実験を行い、力の流れを学習する。
建築を学び理解するため、また建築に携わるために必要な構造の基本知識を学習する。建築構造の意味や仕組みをわかりやすく概説すると共に、空間の形を表現する数学的方法や力学に多用される初歩的な数学の概念を習得できるようにする。
1年次で学んだ総合的基礎力をもとに、デザイン論、都市論、歴史、構造、生産、法規などの各分野で、より高度で実践的な建築の理論や技術を総合的に学び、展開することを目標とします。総合演習としての建築設計計画では、1年次に習得した図面の表現力を前提に、美術館、集合住宅、宿泊施設など、実際の敷地を想定した課題に取り組みます。敷地の読み取りや考え方を敷地模型の制作等を通して学習し、その上で建物のプログラムを検討しながら空間の構成やデザインをエスキスして、最終的に図面や模型によって総合的に表現する方法を学びます。
※エスキス(仏):手を使ってスケッチしながら案を推考すること
建築は意匠(デザイン)・構造・設備の複合体で成り立っており、その基本的な仕組みを講義と手描きによる製図を通して学ぶ。設計の基本、技術的裏付けや解法などについて講義と建築詳細図、構造図、設備図などの実例のトレースを行うことによって具体的に相互関係を理解する。
現代建築を捉え直し、解明するために、日本と世界の主導的な現代建築の作品を事例に取り上げ、西洋と日本の古典まで自由にさかのぼり、具体的で実践的な解釈を歴史家ではなく“作家”の独自の視点で、多くの図面や資料を配布し、スライドを中心に講義する。
建築設計の実習だけでは十分とは言えない建築計画にとって必要な知識、方法・概念・世界観から図面やディテールに至るまでを具体的に習得するため、建築の名作を幾つか取り上げ、なるべく多くの図面や資料を配布し、それらの読み方や学ぶべきことについて、スライドを見ながら習得する。
日本近代建築の先駆的な巨匠を列挙し、その作品と背景となる設計思想と表現について、スライドやDVDによる講義を中心にして詳細な解説と分析を行い、作家達の具体的設計手法を学ぶことで、実践的な設計能力と、理論形成へ向けての言語化表現能力も習得する。
ヨーロッパ建築史を概観することで、偉大な建築遺産にみられる計画の理念と実践を理解すると共に、現代における都市・建築との関係を読み解く力を習得する。古代ギリシャ、ローマのオーダーがルネッサンス期以降に再び力強く継承され、古典建築の言語体系が再構築されていく過程をバロック期まで見届ける。
前近代日本建築史の通史から縦横無尽に歴史的過去を参照し、それを現在に活かす歴史的な視座を獲得する。先史時代から近世にいたる日本建築の歴史を具体的な事例を通してたどり、建築を成り立たせていた都市的な場や社会背景などの歴史的コンテクストにも目を向け、日本建築が造形してきた空間の特質に迫る。
構造力学・構造材料など構造設計に必要な基礎的知識を学び、さらに事例を通してその発展した内容を理解し、構造デザインの働きを体得することを目的とする。
ランドスケープを多様な角度から取り上げることで、都市空間形成を目指す学生にとって必須となるランドスケープの基礎知識および手法についての理解を深める。
建築物を造る過程における建築産業の現状、建築工事の進め方、施工方法について学び、建築現場での基本的な考え方を身につける。建築産業の仕組み、総合工事業、専門工事業の役割や産業構造のほか、施工計画と工程計画の要点を講義し、施工各論については設計内容を具現化していく施工管理の要点を示す。
都市デザインの領域は広く、社会、経済、法制度、歴史、技術、意匠などに及ぶが、基本は「人が快適に過ごせる公共的空間」を造り持続発展させることにある。事例解説、小演習課題などを通し、ソフト・ハードの両面から都市デザインについての理解を深め、その基本的手法を習得する。
建築基準法・都市計画法を中心として、建築士法、建設業法、品確法、景観法などを学習する。また法の基礎では権利・義務・契約を中心に社会人として、本来身につけるべき法的思考と契約論を、民法の基礎を中心に学ぶことを目的とする。
構造計画、構造設計、構造計算の考え方を講義する。材料の力学的性質、外力、応力の算定法等について述べる。鉄筋コンクリート造の構造設計及び部材の断面設計手法について講義する。
鉄骨造の構造設計及び部材の断面設計手法について許容応力度設計法を中心に講義する。鋼材の性質、許容応力度、組み合わせ応力の考え方、高力ボルト、溶接等の接合方法、その他の耐震設計法について述べる。
連続的に与えられるテーマ課題の設計実技が集中的に行われ、 最終的には自主テーマである卒業設計をもって卒業となります。このユニット制は、曜日ごとに決められた担当教員と、そこへ配属される学生によって構成されるユニット内での多様な指導を基本とし、計画、デザインに関するマンツーマン的な少数精鋭の集中的で濃密な個別指導を行い、1年間という短期ながら各個人に潜在する能力を発掘し、実践的に通用する高度な専門能力を養います。
デザインを中心とした高度な専門性を目指し、各ユニットでは少数精鋭指導をもとに、それぞれのフォルムデザインをもって演習課題が独自に展開される。各演習課題の途中には、計画理論、建築作品の事例解説などの講義を行い、中間発表を経て全体の講評会を行う。最終的には演習課題で身に付けた理論と実践力をもとに、卒業設計に臨む。
様々な試みを行っている著名な講師が講義を各1〜3回づつ担当する。毎回、授業後半でレポートを作成し提出する。現在、一線でつくりだされている作家作品に触れる中から、学生自身がデザインと技術の関係性について考察し、より深い建築的視野と洞察力を身につけることを目標とする。
建築を取り巻く多様な社会・芸術分野(空間マネジメント、アート、グラフィック、エディトリアル等)で活躍する第一人者やデザイナー、批評家、研究者の作品や理論に触れる中から、社会や時代に対する総合的視点について考察し、より深い視野と洞察力を身につけることを目標とする。
(最終更新日:2023年6月29日)