2015年度卒業設計/ W unit / 稲門建築会賞受賞
近年の精神医療においては、入院治療から地域での治療へと向かう傾向がみられる。それに伴い、新しい医療スタイルに対応するビルディングタイプが求められていると考え、癒しの場と地域住民が集まれる場を掛け合わせた治療の場を構想した。
高層部ではキューブの外皮に守られた浮遊するボリュームを肉体- 精神として原型と定め、そこに内的・外的な契機が貫入して徐々に開かれていくさまを、3 つのボリュームの形態操作にて象徴した。低層部は自然環境を受けて内部へ人を誘うような回廊を浮遊させ、患者が距離の制限なく自由に歩き回れるようにした。また、中庭を憩いの場として地域に開放した。これら組成の異なる空間がぶつかり合う結節点には、患者と地域住民の動線が重なる複合施設と、キューブがほどけたことで生じる半屋外空間を多く設けている。
回復と社会復帰のプロセスを具象化した概念的・抽象的な形態操作が新たな地形となって、人々が自由に場所を選んで回遊できるような、様々なふところを持つ空間を目指した。