3年次卒業設計
茨城県水戸市に残る江戸時代の堀跡の1 つを対象地とした。南北500m 先に磯崎新氏設計の水戸芸術館と周囲3km の千波湖が存在する。地方経済の低迷に影響され、活気を失いかけた街で、独自の手法で事業展開を続けてきた芸術館の活動を、芸術、産業両方の側面から支えるという設定で、映像に関わる建物用途を選んだ。
劇場、映画館、アーカイブの利用に加え、千波湖から敷地を通って街へ人が戻り、活気を取り戻して欲しいと考えた。
建築と音楽という異なる芸術領域の間に、思考方法や各々の芸術領域の在り方に対する意識、構成の技法に関する共通性を見出す試みがなされてきたが、建築を学び出してからそれらに強い関心を抱いていた。今回は、ハンガリーの作曲家BélaBartók が作曲に引用した円の黄金比分割、フィボナッチ数列という数学的要素を自身も構成に引用し、深さ20m の谷と芸術館の100m タワーのnegative-positive の関係を意識しながら、内部空間の構成や水辺のデザインを展開する。