3年次卒業設計 | 2012年度稲門建築会賞
本計画では都市と劇場の二つを対象とし、そこで過ごす人々の活動を介し建築空間を創造した。計画地は東京都新宿区歌舞伎町一丁目、新宿コマ劇場跡地に決定した。最古の劇場であるギリシア劇場は酒と歓楽の神を祝する歌と踊りの場から始まった事から娯楽や風俗は劇場の原点であると考えられる。日本最大の歓楽街である新宿歌舞伎町に劇場の必要性を感じた。新宿を訪れると駅から動脈のように地下道がめぐっている。移動のみを目的とし、時間や方向を失う閉鎖的で決して心地良い場所ではない。そんな地下街から始まるステージを7つ試作した。地下街から計画地を結ぶ地下のステージ、都市に開放された地上のステージ、コアシャフトにより空中に浮くステージ、そこからコアを介し3つのステージにつながる。
現在、新宿歌舞伎町はコマ劇場が閉鎖に伴い文化的な賑わいを失ったが、街を背景に行われるパフォーマンスを建築的な操作により可視化することで街全体が舞台として認識されることを期待する。