住宅特集2026年7月号に、手嶋 保先生が主宰を務める手嶋保建築事務所による「川崎のアトリエ」が掲載されました。

手嶋 保先生 コメント
この住宅は、ゆとりある敷地の一角に建てられた小さな住まいである。建主は絵本作家であり、ここは住居であると同時に創作の場でもある。
私はこれまで、陶芸家や画家、デザイナーなど創作に携わる人々の住宅を手掛けてきた。創作の場には機能性だけでなく、作家を刺激し、その活動を静かに支える環境が求められる。
しかし理想的な創作空間に定まったかたちはない。私はまず、落ち着いて暮らせる住まいをつくることを考えた。
創作と生活が地続きにあるからこそ、余計な煩わしさから離れ、集中できる場所が大切だと考えたのである。
建主は私の仕事に親和性を感じてくださったというが、私自身もまた、その人柄と作品に漂う静謐で温かな空気に惹かれ、この仕事を引き受けた。
建物は敷地形状から導かれた五角形平面とし、基本的にワンルームで構成している。1階には二層分の高さを持つアトリエ兼リビングダイニング、キッチン、水廻りを配置し、2階には寝室を兼ねた小さな居場所を設けた。西側コーナーには天井いっぱいの高窓を設け、光と風を取り込むとともに空間の特徴としている。内部の壁には「鮎のはみあと」をモチーフとした塗装を施し、アルミホイルを貼った袖壁によって光を柔らかく反射させた。外壁はモルタル木鏝押さえとし、匿名性のある佇まいを目指した。
手嶋 保先生 TESHIMA Tamotsu プロフィール
1963年福岡生まれ。1986年東和大学工学部建設工学科卒業。1990〜1997年吉村順三設計事務所。1998年手嶋保建築事務所設立。2020年〜東京理科大学非常勤講師。2022年〜日本女子大学非常勤講師。
主な作品
主な作品として、「川越の家」(第12回かわごえ都市景観デザイン賞)、「伊部の家」(2014年日本建築士会連合会賞優秀賞)、「牟礼の家」(2018年日本建築学会作品選集)、「三秋ホール」(2019年日本建築学会作品選集)、「桜台の家」(2020年日本建築学会作品選集)、「船橋の家」(2022年日本建築学会作品選集)、「井の頭の家」(2022年日本建築学会作品選集)など。著書として「伊部の家」原図集(オーム社)、住宅設計詳細図集「伊部の家」(オーム社)/書籍「MIAKI」(millegraph)。
ウェブサイト
https://www.tteshima.com/




