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【図書館ボランティアスタッフLIVS 地下書庫探検隊!】第11回 妖怪を学ぶ ―人間と妖怪の繫がり―

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LIVSの清水です。
みなさん、ここ最近で子供たちの大ブームになったアニメは一体何でしょう。

はい。妖怪ウォッチです。LIVSでもブームに肖り、学部ごとの学生読書室を案内する学読ウォッチというイベントを過去に行いました。

妖怪といえば妖怪ウォッチに登場するような「かわいい」イメージ。一方で、日本昔話の「うりこひめとあまのじゃく」に登場する天邪鬼のように「怖い」イメージ。アニメや昔話でよく見聞きする妖怪ですが、いったいどういう存在なのでしょうか。

ところで、明日4月1日といえば、エイプリルフールです。エイプリルフールはうそをついていい日。ついたうそは本当のことになるとか、ならないとか。今回は私たちにとって近いようで遠い、まるでエイプリルフールのうそのような存在の妖怪について調べていきたいと思います。

妖怪に関する本を探す

では、さっそくWINEで妖怪に関する本を探していきます。
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キーワード検索で「妖怪」と入れ、気になった資料を見ていきます。
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さすがにたくさんの資料がヒットしてきます。その中で、妖怪について学び始めるのに丁度よさそうな本を見つけました。
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その名も『妖怪学入門』です!実際に読んでみると、妖怪、幽霊とは何か、どんな歴史があるのか説明されています。少し引用しますと・・・

一口に「おばけ」という、その名詞に含まれている観念を常識的に大別すると、
幽霊
妖怪
変化(へんげ)
の三種類になると見てよかろう。
幽霊はいうまでもなく人間の肉体の死後、霊魂が現世に残って働くもの、妖怪変化は習慣的にひとつかみに扱われているが、はっきりいえば、妖怪とは魔力を持った正体の知れぬ怪物で、たとえば「ももんがあ」とか、「海坊主」とかいう類、へんげ、とは人間以外の生物、主として動物が魔力によってその姿を変え、人間をだまし脅かすもの(阿部主計『妖怪学入門』1971, p.3-4より引用)

といった具合です。

さてこの説明文の中に「ももんがあ」「海坊主」が妖怪の例として登場していますが、どこかで聞いたことあるような、ないような・・・。

何か、妖怪を網羅的に調べることができる事典はないのでしょうか。探してみましょう。
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キーワード検索で「妖怪 and 事典」で検索してみます。すると数多く妖怪に関係しそうな事典類がヒットしてきました。
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その中でも、中央2F参考図書コーナーにある『日本妖怪大事典』や『日本怪異妖怪大事典』などが気になりました。

請求記号はどちらも「R388」。さっそく参考図書コーナーに探しに行ってみましょう。
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参考図書コーナーには事典や辞書がたくさん並んでいます。「R388」が含まれる「380」の分類は「風俗習慣.民俗学.民族学」。妖怪は民俗、風俗に分類されるものなのですね。
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R388の棚にまで来てみました。「388」の分類は「伝説.民話[昔話]」・・・。なるほど、という感じですね。

この棚には 妖怪に関する事典だけではなく、妖精、未確認生物、吸血鬼、地獄…伝説や民話に分類される様々な事項に関する事典が並んでいます。全部読んでみたいところではありますが、お目当ての妖怪事典のうち、『日本怪異妖怪大事典』を見て、「ももんがあ」と「海坊主」を調べてみます。

ももんが(類 ももっか、ももむささび、ももんがー)
妖怪の類を総じて「モモンガ」と呼んだ。この呼び方は、子どもへの脅し文句に使うことが多かった。夜になると山から子どもを攫いにくるといい、遅くまで遊んでいると「モモンガが出るぞ」と言って怒られたという。(『日本怪異妖怪大事典』「ももんが」の項目より引用)

うみぼうず【海坊主】(類 うみにゅうどう【海入道】)
海中から現れる怪物で、坊主や入道のような姿に見えることからその名がある。江戸時代から多くの文献に記されており、正徳三年成立の『和漢三才図会』には、海坊主は坊主頭の人の顔とスッポンの体を持つ怪物で、大きなものは五,六尺(約一五〇~一八〇センチ)に及ぶとある。(『日本怪異妖怪大事典』「うみぼうず」の項目より引用)

絵とともに、日本の昔話や民話に登場する妖怪たちがひとつひとつ丁寧に解説されていました。また、その妖怪が登場する民俗調査報告、近世随筆などから抜粋された事例がそれぞれに掲載されているのが、とても興味深いです。

さて、個別の妖怪について事典で把握したところで、さらに詳細な「妖怪」に関する資料を見つけるために、先ほどのWINEのキーワード検索「妖怪」の結果を見ていくことにしました。 すると「古典籍」と表示されている妖怪に関する資料を見つけました。
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その名も『妖怪図』。出版事項を見ると「築地(江戸) : [大黒屋金之助], 慶応元[1865]」とあります。まだ江戸時代であった1865年に、築地の大黒屋金之助によって刷られたもの・・・ということのようです。本来は貴重書庫にあり、手に取ることはできない資料ですが、画像情報があるためPCなどの画面上で実際に見ることが出来ます。詳細は下のリンクからご覧ください。

カラフルな怖そうで怖くない妖怪たちが描かれています。

ところで先ほど参考図書コーナーでは、妖怪に関する本は388に分類されていました。ということは地下書庫でも同じ分類番号に妖怪の本があるはずなので388周辺をブラウジングしてみましょう。

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さあ、地下2階の388の書架にまでやってきました。果たしてどんな本があるのでしょうか。
妖怪事典』、『妖怪図卷(京極夏彦 文)』、『妖怪画談(水木しげる 著)』…
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座敷わらしを見た人びと』、『河童』、『桃太郎の運命』…
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このように妖怪に関する資料がずらりと並んでいます。昔話に妖怪が登場することは多いと言われますが、こういった妖怪に関する研究書の数からも、やはり妖怪は人間にとってとても身近な存在なんだということがうかがえました。

妖怪に関する新聞記事を探してみる

さて、冒頭でも触れましたが明日はエイプリルフールです。最近では、妖怪の存在はエイプリルフールのネタのような扱いをされているように思います・・・。

日本では、東京新聞は大々的に4月1日にうその記事を掲載することで知られているように、エイプリルフールの日にとても盛り上がるのが、新聞です。過去には、1980年の4月1日にイギリスのBBCが「ロンドンのビッグベンがデジタル化する」と冗談の放送をしたことは有名ですが、そのことが後日になって読売新聞で取り上げられたり(「いずみ」『読売新聞』1980.4.7 朝刊 23面)、最近では東京新聞で「東京タワーが傾く」(『東京新聞』2006.4.1)といったうその記事がまことしやかに掲載されるといった塩梅。

他にも東京新聞では「味はクロマグロ、姿はモグラの新生物モグロの発見」(『東京新聞』2010.4.1)といった、まさに妖怪らしきものを扱った何とも騙されそうな記事を掲載しています。

ここで、エイプリルフール以外にも、新聞記事には妖怪に関して書かれたものがあるのではないか?と疑問に。ということで、次は妖怪に関する新聞記事を探してみます!

まずは図書の形でまとめられている資料を探してみると、さっそく面白そうな本を見つけました。
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その名も『明治期怪異妖怪記事資料集成』。これは怪異や妖怪を取り扱った記事が集められたものと、期待ができます!

請求記号は「147 00058」。地下2階に探しに行ってみましょう。
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先ほどの「388」は「民俗・風俗」の分類でしたが、今回は哲学の分類になるようです。その中でも「147」「超心理学. 心霊研究」を意味する分類のよう。同じ妖怪や怪異を扱った資料でも、かたや「民俗学」、かたや「超心理学」なんですね・・・。どういう基準で分けられているのか、なんとも興味深いです。

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それはそれとして、この『明治期怪異妖怪記事資料集成』は、他に大正と昭和のものも出版されている「怪異妖怪記事資料集成シリーズ」のひとつです。明治時代の妖怪に関する新聞記事を集めて一つにまとめられたもので、中を開くと実際の新聞のコピーがずらっと並んでいます。

例えばどんな記事が載っているのでしょうか。記事の一部を抜粋してみました。

「上半身獣、下半身魚」 上半身獣、下半身魚の怪獣現れる(『東京日日新聞』明治5年7月6日)
「妖怪黒坊主」     毎夜、女房のもとに黒坊主が通ってくる(『郵便報知新聞』明治8年5月9日)
「金魚が化ける」    金魚が雀に化けて飛んでいく(『東京日日新聞』明治10年1月11日)
「怪物捕獲」      河童のような妖怪を捕獲(『紫溟新報』明治18年5月6日)

突っ込みどころ満載ですね。ほかにも「人面獣体」「コンと鳴いて自殺」「猫頭の児」など、怪談話のような新聞記事が並んでいます。どうにも信じがたい話のような気がしますが、これらに載っている記事はすべて本当に新聞に掲載された記事です。現代においては「妖怪が現れた!」というような新聞記事はそうそう見かけませんが、実は私たちが知らないだけで、昔は当たり前のようにそこらへんに妖怪がいたということなのでしょうか。

新聞記事データベースを使ってさらに調べてみる

さて、この『明治期怪異妖怪記事資料集成』には「妖怪」についての記事がたくさん、網羅的に載っています。しかしWINEの画面にも大きさが表示されているように、この資料は非常に大きく、分厚いうえに、かなりの重さときています。なかなか読みづらい。網羅的ではありますが、ピンポイントに探していくことは難しくなっています。そこで、妖怪に関する記事についてもっと手軽に検索できる新聞記事データベースで調べていきたいと思います。

学術情報検索のおすすめデータベースから、今回は「朝日新聞 記事データベース 聞蔵IIビジュアル」を選び、朝日新聞の記事を探してみます。

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キーワードに「妖怪」を入力して検索実行をクリックします。
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*朝日新聞記事データベース「聞蔵IIビジュアル」利用画面より
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*朝日新聞記事データベース「聞蔵IIビジュアル」利用画面より

1879年から1999年の記事の中から「妖怪」をキーワードに含んでいる記事が表示されました。全部で305件もあります。一番上に表示されている、1879年4月12日の「妖怪出没?」の記事が気になります。詳細を見てみるとこのような内容でした。

此頃北の新地の奥座敷とも覚しき處で草木も眠る丑三つ頃になると金毛九尾やら白面叉尾やらの妖怪が集りて(以下略)(『朝日新聞』明治12年4月12日朝刊 2頁 大阪より引用)

大阪の北新地に金毛九尾などの妖怪が集まっている?ということを紹介する記事です。現代の新聞記事のイメージからは少し考えられないような内容ですね・・・。このように詳細を開いて書誌情報を確認し、さらに紙面イメージを表示すると、新聞記事の画像を見ることが出来ます。実際に記事を集めたり、重い本や、新聞の縮刷版を手に取らなくても、インターネット上で古い新聞記事を見ることが出来るのは便利です。

さて、ただ「妖怪」とキーワードを打っただけではつまらない!ということで、先ほどの妖怪事典から探し出した妖怪の名前でキーワード検索してみようと思います。

まず最初のキーワードは「海坊主」。ヒットした記事を古い方から見てみると・・・

海坊主然たる男遊女を驚かす 昨夜十一時二十分頃内藤新宿元一丁目の貸座敷不二閣楼の格子先へ何やらん異体の知れざる海坊主然とした者が(以下略)(「海坊主然たる男遊女を驚かす」『朝日新聞』明治30年7月3日朝刊 7頁 東京 より引用)

内藤新宿のあたりに、いたんですね、海坊主・・・。このように、戦前期は各地で妖怪が目撃されたという新聞記事が多数見つかります。そんな海坊主は古典籍総合データベースからも見ることが出来ます。

大隈重信を大熊、岩崎弥太郎を海坊主と見立てて、両者が自由党壮士に退治されている様子を描いた絵です。明治当時の自由党と改進党の対立を描いた絵だったということですが、このようなたとえにも使われるほど、やはり海坊主は人間にとって身近な妖怪だったのかもしれません。

さて、身近な妖怪といえば「河童」も思い浮かびますが、ここ早稲田にも河童はいたのでしょうか?今度は、なるべく現代の記事を探してみようということで、1985年以降の記事で「早稲田&河童」で検索をしてみると気になる記事を見つけました。

世界最古のスッポン化石だった 石川・白山で発見の2点
石川県白山市桑島の地層「手取層群」(白亜紀前期・約1億3千万年前)で1994年に見つかったカメ類の化石2点が、新属新種のスッポン科と確認されたと、同市教委が28日、発表した。これまで最古とされたスッポン科の化石を約2千万年さかのぼり、世界最古になるという。(中略)学名は「カッパケリス・オオクライ」と命名された。「カッパケリス」はスッポンなどをモデルにしたとされる妖怪「河童(かっぱ)」にちなんだ「カッパ亀」の意味。(「世界最古のスッポン化石だった 石川・白山で発見の2点」『朝日新聞』平成23年7月29日朝刊 37頁 より引用)

早稲田大学の平山廉教授が調べた化石に関する記事です。さすがに現代になると、新聞記事に妖怪出没に関係するような記事は出てこないのでしょうか。それでも、河童にちなんだ名前が発見された新種の亀の学名になるなど、現代においても人間と妖怪の関係の深さを感じることが出来る記事ですね。

さて、エイプリルフールのネタと言えば「ネッシー」もよく登場しますね。同じように現代の記事で「ネッシー&早稲田」と検索してみます。すると直接ネッシーについてではないのですが、1987年の記事に次のような面白い記事が見つかりました。

幻の恐竜求めてコンゴへ 早大生2人、夢の探検へあす出発
アフリカ中部の秘境に生息すると伝承されているコンゴ・ドラゴン。冒険野郎の世界では「いま、ネス湖のネッシーよりナウい」といわれる“幻の恐竜”を求めて、早稲田大学探検部の若者2人がこの夏、現地コンゴの熱帯ジャングルに入る。「出合えるかどうかは、わからない。でも、未知のものは、やっぱり素晴らしい」。2人は10日、大型ザックを肩に、成田を飛び立つ。(以下略)(「幻の恐竜求めてコンゴへ 早大生2人、夢の探検へあす出発」『朝日新聞』昭和62年8月9日 朝刊 27頁より引用)

「ナウい」という言葉に時代を感じるこの記事は、早大生がコンゴ・ドラゴンを探しにジャングルへと冒険に旅立ったという記事です。果たして彼らは、コンゴ・ドラゴンを見つけることが出来たのでしょうか・・・。

最後に、もう一度現代の新聞で「妖怪」の記事を探していると、冒頭で触れた「妖怪ウォッチ」にも関係した、興味深い記事を見つけました。

(声)若い世代 妖怪のせいにする困った妹 【大阪】
(中略)アニメでは、物が無くなったとか、親しい人が普段しない行動をしているとかが全部、妖怪のせいになっている。でも、日常では忘れ物などは自分の不注意のせいで、「全部妖怪のせい」と言ってごまかすのは良くないと思う。こんなことに困っている家庭はうちだけではないと私は考えている。(「(声)若い世代 妖怪のせいにする困った妹 【大阪】」『朝日新聞』平成26年12月22日朝刊 8頁より引用)

投稿者の小学校3年生の妹が、物がなくなったり失敗をしたりすると妖怪のせいにしてしまう、ということに対する苦言を呈したオピニオンです。物がなくなったり、失敗をしたりすると妖怪のせいにしてしまう人、確かにいるかもしれません。妖怪は昔から人間のそばでともに生活し、人間にとって切っても切れない縁で結ばれているけれども、何でもかんでも妖怪のせいにするわけにはいきませんよね。

「寝坊してしまった!」
「レポートが終わらない!」

妖怪のせいだと思いたくなるそんな失敗は、間違いなく彼らのせいではなく、あなた自身のせいですよ。

今回使った検索ツール

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