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【図書館ボランティアスタッフLIVS 地下書庫探検隊!】第4回 クイズで分かる流行語 -この言葉、「神ってる」!-

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皆さま、こんにちは。早稲田大学図書館ボランティアスタッフLIVS、BBN班の富樫です。
突然ですが、問題です。
「BBN」は何の略でしょうか?

 

さて、答えは……


We have a Basement stack.
We have a Back-Number stack.
Ummm……
Basement & Back-Number stacks!

……はい。という訳で、B・B・Nです。PPAP風を目指したのですが、いかんせん語呂が悪い。ピコ太郎さんはさすがですね。

そんなわけで、今回のテーマは「流行語」です。昨年は、「PPAP」のほかにも、「神ってる」、「トランプ現象」、「ポケモンGO」などの言葉が話題になりました。 時代とともに移り変わっていく流行語は、「流行」であるがためにその時代の様子をよく表しています。図書館の資料を使って、流行語の歴史に迫っていきましょう!
今回はいつもと趣向を変えて、時代ごとに流行語に関するクイズを出題していきます。クイズは全部で10問。あなたは何問正解できますか?

まずは「流行語大賞」を探る

  「流行語」というとまず思い出されるのは、「ユーキャン新語・流行語大賞」です。まずはホームページから、この賞の概要を確認します。

この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。
1984年に創始。毎年12月上旬に発表。『現代用語の基礎知識』読者アンケートを参考に、選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる。
選考委員会は、姜尚中(東京大学名誉教授)、俵万智(歌人)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)で構成される。

※授賞が「トップテン=大賞」の方式になったのは第11回から。それ以前は、【新語部門】【流行語部門】【表現部門】等を設け、それぞれに授賞語を選定した。

(「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞 全受賞記録http://singo.jiyu.co.jp/ 2016年12月28日閲覧)

なるほど。流行語大賞は、現代用語の基礎知識という本の読者アンケートが参考となっているのですね。早速、この資料の早稲田での所蔵を調べます。

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発見。新しいものは2階と3階に、過去のものは地下書庫に所蔵されているようです。

まずは新しいものから。今回は3階の小型辞書コーナーに行ってみます。

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小型辞書コーナーは、その名の通り小型の辞書類が配架されています。2階の小型辞書コーナーと重複する資料もありますが、法律関係の辞書など、こちらにしかない資料もあります。

そんな小型辞書コーナーに配架された2016年版『現代用語の基礎知識』。くまモンの表紙が特徴的です(権利の関係で写真は掲載できません。ごめんなさい)。

113ものジャンルで、2017年に話題に上った様々な用語や事柄について解説されています。また、辞書的な単語の説明だけでなく、ニュースをまとめた記事や対談、やくみつるさんによる漫画など、バリエーションに富んだ内容となっています。

さて、まずは小手調べ。今年話題になった2つの言葉から出題です。

Q1. 流行語大賞にもなった「神ってる」。流行のきっかけはある野球選手がこの言葉で称賛されたためでした。その選手とは誰でしょう?

Q2. 大ヒット映画「君の名は。」の監督は誰でしょう?

 

 

 

 

 

 

それでは、答え合わせです。

Q1.「神ってる」 →広島東洋カープの鈴木誠也外野手。

もともとはネット用語でしたが、緒方孝市監督が使用したことで注目を集めました。

Q2.「君の名は。」 →新海誠監督。

2016年は庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」も話題になりましたね。

さすがに簡単だったでしょうか?

ちなみに、『現代用語の基礎知識』の最新号は「学術情報検索」のジャパンナレッジからも利用できます。

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第1回の流行語大賞は?

  さて、今度は過去の資料を見てみましょう。いざ地下へ。

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流行語大賞の創設された、1984年のものを見てみます。
手に取ってまずびっくり。お、大きい……。サイズは今以上、ジャンル数は126。このころからすでに、カラーの特集記事や図表などは多くありました。

1984年は、ロサンゼルスオリンピックの開催されたオリンピックイヤー。華やかな話題が多いのかな?と思いきや、
「核凍結」「いじめ社会の子供たち」「異常気象と食糧問題」……等々、30年以上経った今もなお、「現代」の問題であるものも少なくありません。

さて、流行語大賞について。
この年の流行語大賞は今とは形式が違い、「新語部門」「流行語部門」に分かれていました。それぞれに、金賞・銀賞・銅賞・特別賞があり、さらに流行語部門には「大衆賞」という項目が加えられていました。1984年の受賞語は以下の通り。

【新語部門】
金賞 「オシンドローム」
銀賞 「鈴虫発言」
銅賞 「スキゾ・パラノ」
特別賞 「特殊浴場」

【流行語部門】
金賞 「まるきん まるび」
銀賞 「くれない族」
銅賞 「疑惑」
特別賞 「千円パック」
大衆賞 「す・ご・い・で・す・ネッ」、「教官!」

今ではあまり聞きなれない言葉が多いかもしれません。「オシンドローム」、「くれない族」、「教官!」など、当時流行していたドラマに関連する言葉が多いのも特徴です。

それではクイズ。次の流行語の「受賞者」は誰でしょう?やや難しいので、今回はヒント付きです。

Q3. 「鈴虫発言」

ヒント:当時の内閣総理大臣です。

Q4. 「す・ご・い・で・す・ネッ」

ヒント:現在も多くの番組に出演し、司会も務めるエンターティナー。経口補水液のCMにも出演しています。

 

 

 

 

 

 

答え合わせ。

Q3. 「鈴虫発言」 →中曽根康弘元首相。

ロッキード事件を機に政界では政治倫理問題が争点となりました が、当時の中曽根首相はこの状況を「『倫理、リンリ』とまるで鈴虫が鳴いているよう だ」と揶揄しました。

Q4. 「す・ご・い・で・す・ネッ」 →所ジョージさん。

フジテレビの人気番組「笑っていいとも」で所さんが流行らせたギャグで、大したことでもないことで大袈裟に人を誉めるときに使われました。

そのほかの語の意味・背景・受賞者などは、ぜひ自分で調べてみてください!「新語・流行語大賞」のホームページや『現代用語の基礎知識』のほかに、以下のような資料も参考になります。

 

まだまだ奥が深い『現代用語の基礎知識』

さて、流行語大賞の創設は1984年ですが、『現代用語の基礎知識』の創刊は1948年までさかのぼります。
早稲田にある最も古い号はその翌年、1949年のもの。こちらも見てみます。

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左から4番目の資料が、1949年版『現代用語の基礎知識』です。

1992年版と比べると、その大きさの違いは一目瞭然。
当初は新書サイズでジャンルも13のみと、とても簡素なものでした。内容も辞書的で、特集などはまだありません。
「民主主義」「アルバイト」「プラカード」など、現在ではほとんど説明不要となっている語が、「現代用語」として紹介されていました。

さて、今度は戦後を中心としたクイズになります。次の2語はどのような意味の言葉でしょうか?

Q5.「スリラー料理」

ヒント:スリリングな料理ということですが、一体何が怖いのか?

Q6.「ハバハバ」

ヒント:呼びかけの言葉です。待ち合わせで「おーい、ハバハバ!」とか。

 

 

 

 

 

 

そろそろ、当てさせる気はなくなってきています(笑)。答え合わせです。

 

Q5.「スリラー料理」 →裏口営業(非合法な営業)のお店で食べる料理のこと。

裏口営業は店員だけでなく客も罰せられたので、食べている最中も警察の目を警戒する必要がありました。そうしたスリルを料理とともに味わうことからこのような呼び方が生まれたとされます。

Q6.「ハバハバ」 →「早く早く」という意味。

パプアニューギニア土着の言葉を、進駐軍の兵士が持ち込んだものと言われています。今ではまず聞かれませんが、当時は「現在日本の一風俗を語るにはなくてはならぬ言葉といえる」(『現代用語の基礎知識』1949年版)と言われるほど流行した言葉だったようです。

どちらも戦後の状況を色濃く反映した流行語であるといえるでしょう。

戦前の流行語は?

  『現代用語の基礎知識』によって主に戦後以降の流行語を知ることができました。 それでは、戦前にはどのようなことが話題になり、どのような言葉が流行していたのでしょうか? 今度は「流行語」でWINEをキーワード検索してみます。

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多くの資料がヒットしました。今回は、この資料に当ってみます。

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2階の『現代用語の基礎知識』の隣にありました。
1868年の「御一新」(明治維新のこと)に始まり、1989年の「二四時間たたかえますか」(ドリンク剤CMのキャッチフレーズ)まで、明治・大正・昭和の流行語をわかりやすく解説しています。
「自転車」「郵便」「あんぱん」など、今では生活の一部になった語から、耳慣れない語まで様々です。とても全ては載せられませんが、今回は2つだけ紹介してみようと思います。もちろん、クイズで!

次の流行語はどのような意味でしょう?

Q7. 「アイス」(1897年)

ヒント:アイスクリームのこと……ではありません。ある職業の俗称です。

Q8. 「電髪」(1939年)

ヒント:ヘアスタイルの一つ。字からイメージしやすいかも……

 

 

 

 

 

 

それでは、答え合わせ!

Q7.「アイス」 →高利貸しのこと。

アイスクリームの訳語「氷菓子(こおりがし)」と音が近いのでこう呼ばれるようになりました。尾崎紅葉『金色夜叉』の中でも「高利貸(アイス)」という表現で使われ広まりました。

Q8.「電髪」 →パーマのこと。

電熱を用いて整髪するためこのような呼び方をされました。もともとは日本でも「パーマネント」と呼んでいたのですが、戦時中のパーマネント廃止運動を受け、「大日本電髪自粛連盟」なる組織が結成され、そこから新聞の報道によって「電髪」の呼び名が(いくぶん差別的な意味を含んで)広まったようです。

ちなみに、本書が配架されている書架には、日本十進分類表(NDC)に基づき813.7という番号が振られています。

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これは、「流行語辞典」を表す番号ですから、WINEでヒットした資料以外にも、流行語を調べるために活用できそうな資料が多く配架されています(今回は紙面の都合上割愛します)。こうした資料をブラウジングで発見できるところも、図書館の強みです。

(ブラウジングについては第2回の記事をご覧ください)

どうせなら当時の資料も

 さて、せっかくなので当時の資料にもあたってみましょう!

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1930年、「婦人公論」の付録であったモダン流行語辞典を見てみます。

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雑誌の付録と侮るなかれ、これがなかなか面白い。エイプリルフールを「天下御免の嘘つきデー」と紹介するなど、遊び心のある文章で当時の流行語をわかりやすく解説しています。

やはり、今は日常化した語も多くありますが、中には今と語の意味が変わっているものもあります。前に少し触れた「アルバイト」は、戦前には、「論文」を指す語としても使われていたそうです。また、「ヤンキー」という言葉は、もともとアメリカ人を指す言葉だったとか。
雑誌の付録という形式ゆえか、掲載されている言葉もより身近で、ユーモアに富んでいる印象を受けます。
さて、最後のクイズです。次の言葉はどんな意味でしょう?

Q9. オールド・オス

ヒント:「オールド・ミス」……ではないです。「オス」です。

Q10. 寄生聴

ヒント:何かを聞く行為です。何を、どんな状況で聞くのか?

 

 

 

 

 

 

それでは、答え合わせ!

Q9. オールド・オス →「独身で生活苦にあえぎながら年老いてゆく男性のこと」。

見ての通り、「オールド・ミス」に引っ掛けた言葉なのですが、「生活苦にあえぎながら」というところが何とも。現代の男性もギクリとするような言葉ではないでしょうか、ブルブル。

Q10. 寄生聴 →「ラジオを持たない人が、隣家のラジオをただ聴きすること」。

「寄生虫」に引っ掛けた洒落です。当時まだテレビもなく、ラジオも高級品だった時代。聞きたい、でも持っていないという人は多くいたことでしょう。今でいうと、近所のWi-Fiをただで拾っている、という感じでしょうか。

どちらの言葉も現代に通じる発想で、人の考えることは昔からそんなに変わっていないんだなぁ……と痛感します。

 

さて、皆さんは何問正解できたでしょうか。全部知ってたよ、という方は流行語のスペシャリストです。大いに友達に自慢しましょう!

 

流行は歴史へ、日常へ

  今回は明治時代までの流行語について紹介しましたが、さらに流行語の歴史をさかのぼっていくこともできます。例えば、日本史の教科書にも載っていた「文明開化」「ええじゃないか」なども流行語ということができますし、今も残る多くの外来語・和製英語などは流行が定着した例といえるでしょう。
流行語にも歴史があり、そこに現代の日常のルーツが見えることもあります。今年話題になったあの言葉が、未来の歴史になり、常識になっていくのかもしれません。

今回はここまで。次回をお楽しみに!

 

今回使った検索ツール

今回の「お宝」(参考文献)

参考リンク

  • 「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞 全受賞記録http://singo.jiyu.co.jp/ 2016年12月28日閲覧

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