研究キーワード
研究概要
日本古典籍研究所はこれまで、日本古典籍研究を主軸として、日本の「文」の世界をめぐる研究を国内外の研究者と連携しながら進めてきた。とりわけ 2021 年度以降は、過去から現在に至る人文知の歩みを見つめ直し、 21 世紀の現在における古典学の意義や課題を改めて問い、グローバルな視野から日本古典籍を捉えるべく活動を推進してきた。 2026 年度からは、これまでの活動と成果をふまえつつ、東アジアの立場から人文学の新たな可能性を構想し提言することを目指し、その目的を達成するため、近代以降の人文学研究の成果と課題を検証するとともに、東アジア漢字漢文文化圏が育んできた古典知とその歴史を学際的・国際的視野から再検証していく。そのために、具体的には以下の 5 項目を柱として研究活動を進める。
1.渤海関係文筆資料の研究
これまでの定例研究会を継続し、 9 世紀後半から 10 世紀にかけて日本と渤海の間で取り交わされた文筆資料の精緻な読解と注釈の作成を進め、その成果を『早稲田大学日本古典籍研究所年報』にて公表する。
2.地域モデルとしての東アジア漢字漢文文化圏の人文学の未来を創造する研究コミュニティとプラットホームの構築
MIT のイニシアティブ(Comparative Global Humanities Initiative(MIT))との連携のもと、「外交術」をテーマとする国際ワークショップを開催し、その成果論文集を刊行する。合わせて、関連する資料や情報についてインターネットコンテンツなどを用いて発信していく。
3.中日古典学に関する国際共同研究
北京大学中文系中国古典学研究平台と連携して中日古典学ワークショップを早稲田大学と北京大学にて隔年で開催する。毎回古典学にかかわる個別テーマを設定して、キャリア初期研究者による「青年論壇」の部も設ける。ワークショップの成果は、中国語と日本語の両言語による論集として公刊していく。
4.中日文化交流史に関する国際共同研究
寧波大学浙東文化研究院と連携して中日文化交流史にかかわる出版プロジェクト(『宋文化と日本』(仮題))を実施、完成させる。また、出版プロジェクトの進捗とともに、テーマを拡大深化させつつ、中日文化交流史研究を継続、展開していく。
5.近代人文学草創期における図書館、文庫の形成と蒐書活動の事例研究
高麗大学校 Global 人文学研究院および高麗大学校図書館との連携のもと、高麗大学校図書館に所蔵される崔南善六堂文庫を対象として、調査研究を進める。また、イェール大学や福島県立図書館などに残る朝河貫一関連資料を対象として、調査研究を進める。両者はいずれも 20 世紀初頭に、古典籍資料を含む書籍の蒐集に尽力し、近代アカデミズムの体系構築に携わった人物である。この二者を事例として、近現代における古典学、古典籍研究のあり方について再考することを目的とする。
以上のうち 2, 3, 5 については研究代表者の科研費プロジェクトとも連動するものである。