Research Theme 研究テーマ
Research Director 所長

Member メンバー
- 赤尾 健一 社会科学総合学術院社会科学部教授
- 君塚 弘恭 社会科学総合学術院社会科学部教授
- 小原 隆治 政治経済学術院政治経済学部教授
- 野澤 丈二 教育・総合科学学術院教育学部教授
- 福田 育弘 教育・総合科学学術院教育学部教授
- 礒貝 日月 県立広島大学経営管理研究科専任講師
- 蜂須賀 紀子 株式会社マリアージュ
- 三村 一郎 株式会社三國屋代表取締役社長、早稲田大学教育学部非常勤講師
Food and Agriculture Research Institute
食 飲食 農 農業 環境 有機
食と農は、人を環境としての自然につなぐ行為である。しかし、食の多くをもたらす農が工業化するとともに、食の生産と流通が高度に複雑化したため、現代において、人と食、人と農の距離は大きくなり、その結果、人と自然のつながりは希薄になりつつある。当研究所の研究の主たる目的は、この人と自然とのつながりを回復し、日々の生活のなかで人が自然とのつながりを感じられるようにする方法やシステムを明確にすることにある。そして、そのような人と自然とのつながりを再度濃密にすることは、自然とのつながりを通して、人と人とがより深いかたちでつながることにもなるだろう。
それは言葉を変えていえば、わたしたちの生活を食を中心に「再自然化」することでもある。ここでいう「再自然化」とは、工業的なテクノロジーや流通手段の限られていた近代以前の状態、いわば人が自然に依拠しつつ、自然のなかで、自然なかたちで暮らしていた、かつての自然な状態(「自然化」)に立ち返ることではない。近代以降、次第に高度化する科学技術によって人間による人間のための自然の開発と利用が推し進められてきた(「脱自然化」)。しかし、その結果もたらされたのは、地球規模での環境破壊(異常気象や温暖化、土壌汚染や土壌流出など)であり、南北問題に典型的にみられる人と人のつながりの破壊であった。そうした近代的な環境開発を可能にしたのは、人が自然環境の外に立って、自然をコントロールできるという、デカルト的主客二元論に立つ近代的自然観であったことは、現代において次第に明瞭になりつつある。そのような歴史的過程を振り返り、そこから未来を志向する時期に、わたしたちは立たされている。したがって、わたしたちの求める「再自然化」とは、人間の自然における立ち位置を自覚し、科学技術を選択的に活用することである。
当研究所は、このような地球的視野に立ちつつ、このような「再自然化」を可能にする具体的な試み、ローカルな試みを取りあげ、その有効性を学際的な見地から領域横断的に分析し、それらの利点を多くの人に知らしめる活動を展開する。そのために、当研究所は、それぞれ専門を異にする研究所員のほか、多様な客員研究員、招聘研究員の参加を歓迎する。