- 研究番号:24P53
- 研究分野:science
- 研究種別:プロジェクト研究
- 研究期間:2024年10月〜2027年09月
代表研究者

高島 克幸 教授
TAKASHIMA Katsuyuki Professor
教育学部 数学科
Department of Mathematics
URL:https://ktakashima.w.waseda.jp/
研究概要
暗号技術は、1990年代にRSA暗号や楕円曲線暗号がインターネットにおいて広く普及し、その後、情報技術の進歩により、IoT機器やクラウド環境での利用など幅広い場面で利活用されるようになった。2000年代には双線形ペアリングや格子といった数理的性質を用いて、従来は効率的な構成が難しいとされたIDベース暗号などの優れた機能を持った高機能暗号が実現されるようになった。
高機能暗号には、他にIDベース暗号を拡張した属性ベース暗号や関数型暗号などがあるが、2010年頃に本PJ研究の研究代表者である高島とNTT岡本氏によって、適応的安全性という高い安全性を有した関数型暗号方式が世界に先駆けて提案された。それ以後も、高機能暗号の理論的な安全性研究は高度な数理に基づいて発展し続けており、本研究課題では、その分野に貢献する成果の創出を目指して、高機能暗号の安全性評価に、2つの理論的アプローチで取り組む。
1つ目の計算理論に基づく安全性評価では、従来採られてきた計算量評価による安全性証明に加えて、形式検証ツールを用いた安全性証明にも取り組み、誤ることのない安全性証明の確立を目指す。
2つ目の数理アルゴリズムに基づく安全性評価では、量子計算機に対する理論的な安全性評価とともに離散数理に基づいた安全性解析にも取り組み、高機能暗号の数理に確実な理論的基盤を与えることを目指す。