実践的貯留層評価および貯留層シミュレーションに関する研修

実践的貯留層評価および貯留層シミュレーションに関する研修
Posted
Thu, 04 Apr 2024
  • 研究番号:24P02
  • 研究分野:technology
  • 研究種別:プロジェクト研究
  • 研究期間:2024年04月〜2027年03月

代表研究者

大内 久尚 教授
OUCHI Hisanao Professor

創造理工学部 環境資源工学科
Department of Resources and Environmental Engineering

研究概要

株式会社INPEX(INPEX)は、現在アゼルバイジャン共和国において石油開発の権益を保有している。INPEXは、同国との友好関係を深め、同国における日本の石油開発技術に対する信頼感を増幅させ、今後権益を確保・拡大することを目的に、2015年より、同国の国営石油会社SOCAR社の若手技術者に対し、包括的スキル向上を目指した人材育成研修を実施してきている。
この研修はINPEXが経済産業省より受託し、研修生の受け入れ、技術教育、現場見学、日本文化見学、等を実施するものであるが、早稲田大学はその主たる技術教育部分を、今回申請するプロジェクトの前プロジェクト「実践的油層評価および最適開発計画策定に関する研修」という名称で2015年より3期9年間にわたり受託してきた。2015年には、研修計画の立案、SOCAR社への説明、アゼルバイジャン共和国における短期模擬講義、長期(3か月間)研修の準備を行い、2016年、2017年には、早稲田大学での長期研修を実施した。
さらに2017年には、SOCAR傘下の大学(Baku Higher Oil School)を対象に、EOR(Enhanced Oil Recovery:石
油増進回収法)の特別講義も実施した。これらの研修はSOCAR社に高く評価され、同国のマスメディアでの紹介、SOCAR社総裁からの感謝状の送付、日本の経済産業大臣や駐在大使への感謝のメッセージの発信、等を受けてきている。INPEXは2017年に同国における石油開発の権益の延長に成功したが、これらの研修もINPEXの権益延長に大きく寄与したものと自負している。
当初の計画では、この権益延長の成功を機に前プロジェクトを終了する予定であったが、SOCAR社、アゼルバイジャン共和国政府から本研修継続の強い要請があったことから、経済産業省が研修の延長を積極的に支援し、INPEXは研修継続を決定した。早稲田大学は、上記と同様に、この研修の技術教育部分を前プロジェクト研究の第2期としてINPEXから受託し、2018年にはSOCAR社において、同社の技術者・研究者および大学の教員を対象にEORシミュレーションのセミナーを実施し、2019年には早稲田大学での長期研修を実施した。2020年も同様の研修を計画し、INPEXとの契約締結の準備を行っていたが、COVID-19の影響、さらにはアゼルバイジャン共和国と隣国のアルメニア共和国との紛争のため、研修を中止せざるを得なかった。
このように、第2期の研修が消化不良に終わったため、SOCAR社、アゼルバイジャン共和国政府から再度本研修継続の強い要請があり、また、経済産業省からの要請もあったことから、早稲田大学は、この研修の技術教育部分を前プロジェクト研究の第3期として2021年度~2023年度にINPEXから受託した。COVID-19の影響等も鑑み、この第3期の研修では、包括的な長期(3か月間)の研修とするのではなく、2週間アゼルバイジャン共和国において、SOCAR社のニーズに応じて、SOCAR社の若手技術者が直面している実際のデータ解析や油層モデリング等の問題解決演習に重点を置いたワークショップ形式のセミナーを開催した。いわゆるカスタマイズした研修の実施であるが、この2週間の現地でのセミナーが、1)現地研修であるため、比較的多くの研修生が参加できる、2)SOCAR若手技術者が直面している技術的な問題に対して議論できるため、即効性がある、3)現地の大学教員も研修生として参加できるため、大学間交流が可能となる、等の理由で好評であり、アゼルバイジャン共和国政府から本研修継続の強い要請があり、INPEX・経済産業省共に研修の継続に前向きであり、前プロジェクトの第3期が終了する2024年度にも研修を実施することを決定した。
残念ながら、研究代表者の栗原が2024年度に退任するため、前プロジェクトを第3期で終了したのちに後継研究を申請することを断念したが、INPEXと経済産業省から研修継続の強い要請があったことと、栗原の後任教授(大内 久尚)の2024年度からの大学赴任(先取り)が理工学術院の運営委員会で承認されたことから、前プロジェクトの第3期と同様の手法によるセミナー(2週間@アゼルバイジャン共和国)を2024年度以降に実施する新規プロジェクトとして申請することにした次第である。
アゼルバイジャン共和国では、今や早稲田大学が日本で最も有名な大学となっている。本プロジェクトを通じて同国との友好関係をさらに深めることは、早稲田大学の存在を示すのみならず、今後の日本の石油開発の権益拡大等に繋がり、ひいては日本のエネルギー安全保障の一翼を担うと期待される。

年次報告