Graduate School of Public Management早稲田大学 公共経営大学院

その他

「ケーススタディ(地方自治行政評価)」体験レポート

公共経営大学院
浦林 李紗

1.プログラムの概要

プログラムの実施日程、参加人数

平成25年8月25日(日) – 29日(木) 15名参加

(野口晴子教授(医療経済学)のご指導の下、北海道伊達市でフィールドスタディを行った。社会人経験を持つ地方公共団体からの学生も含め、20代から50代まで幅広い年齢層の参加者が、地方自治体の実務経験と授業等で学んだ政策理論を融合して、地域産業振興や、医療・福祉政策の課題の把握と対応方策について、忌憚なく意見を出し合い、菊谷伊達市長もご参加いただき、政策決定の現場を体験する機会となった。)

プログラムの内容要約

プログラム参加者は地域振興の方策を検討する「産業班」と主に高齢者対策等を中心にした「医療・福祉班」に分かれ、各班が多岐にわたるフィールドの視察・研修を行った。その中で、伊達市の地場産業や医療・福祉の現場における課題を発見し、その課題にどのように取り組んでいくべきかということを考え、期間中は、伊達市のご協力を得て、各種社会福祉施設などの行政施設や関係者のインタビュー等を行った。

私は、医療・福祉班の一員として、市の第3セクターとして運営されている高齢者の意見交換施設である「いきいき茶ろん」や養護老人ホームでのインタビューを行い、連日、その成果について班員で意見交換を行い、分析を行った。その成果については、研修最終日に菊谷市長にもご参加いただき、市役所において政策提言発表を行った。意見交換は現場の実感を含めて、深夜まで行うこともあり、班員間での様々な知識・認識の共有を図るとともに、学生間の結び付きが一層深まった。

フィールドワーク日程

月日 曜日 福祉・医療班 産業班
8/26 9:00(集合8:45) 伊達市役所挨拶
9:15 視察出発
9:30 歴史の杜
10:00 優良田園住宅「田園せきない」
10:15 いちご農家
11:00 噴火湾文化研究所
13:30 いきいき茶ろん 13:00 北電ソーラー施設
15:00 安心ハウス(G北湘南) 15:00 黄金風力発電
16:00 保健センター
8/27 9:00 いきいき食堂 9:00 シルバー人材センター &
11:00 養護老人ホーム潮香園     アロニア畑
13:00 シルバーハウジング 14:00 シイタケ生産工場(大滝)
16:00 地域包括支援センター & 15:00 ペレットプラント(大滝)
     ボランティアセンター 16:30 (株)伊達観光物産公社 &
    NPOだて観光協会
8/28 10:00 みはらし健明会 9:30 堆肥センター
10:00 ミルキーパーラー
13:00 ほっとサロン 13:00 農務課
15:00 高齢福祉課     商工観光課
    水産林務課

2.プログラムを受けて

取り組んだ課題(福祉・医療班)

我が国の高齢化率(24.1%(平成24年))の上昇は全国的な課題だが、北海道の南部(室蘭から約20km)にある伊達市においては一層高齢化が著しい。伊達市(総人口約3万6000人(平成25年))での65歳以上の人口は、2013年3月現在ですでに31.4%、平成27(2015)年には34.8%と推計されている。また、要介護認定者数も、平成24年では1,829人を見込んでいるなど増加傾向にある。

こうした中で、伊達市では,平成13年に「伊達ウェルシーランド構想」、平成17年に「伊達市地域福祉計画(現在は新・伊達市地域福祉計画)」を策定し、高齢者の福祉政策を計画的に行ってきたが、今回、市の外部から来た我々が、可能な限り中立的・客観的な観点から視察を行っていく中で、これらのプランに掲げられた各種の取組が十分に機能しているとは言えない面が見えてきた。

【把握した課題】

  1. 市が介護予防を必要としている高齢者の状態を把握していない
  2. 高齢者ケア政策において民間活用に余地がある
  3. 医療と介護の連携に関し市役所内の情報共有・人材資源活用が十分でない
  4. 高齢者の介護予防を行うために,介護予防地域住民等支援グループ活動事業への支援が不十分である

 

 

こうした課題について、参加した班員の知恵を出し合って、以下のような政策提言を行い、最終日に菊谷市長にご説明し、政策提言文書をお渡しし、感謝の言葉を頂いた。このような実務経験は、通常の授業では得られないものであり、また、日常の都会での生活実態、研究経験とは全く異なる北海道という地域の実態を経験するいい経験であった。

【医療・福祉班の政策提言】

  1. 地域の高齢者の状況の包括的な把握について
    ・ライフスタイルアドバイザー(LSA,市の委嘱による高齢者向け生活指導員)の専門力強化や業務拡充
    ・地域見守り活動(もしかしてネット)の強化
  2. 高齢者ケアにおける官民連携(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の検討
  3. 保健センター・高齢福祉課での組織間連携
  4. 介護予防地域住民等支援グループ活動事業へ体操プログラム教育等の具体的な運動促進支援及び市と伊達市社会福祉協議会とがボランティアの人材育成に関する連携を行う

参加して得た成果、感想

(1)実務経験のある同級生との意見交換等を通じた知識の深まり

参加した班員には、地方公共団体での実務経験を持っている学生も多く、それぞれの実務経験と、伊達市の実情を比較しながら、政策課題へのより適切な解決方策を模索するプロセスは、将来の就職を視野に入れた際にも、とても有益であった。

特に、医療・福祉政策の課題は、国、地方公共団体に共通する極めて重要な政策課題であるが、なかなか地方の現場の高齢者の声を直接お聞きする機会はなかった。5日間の合宿を通じ、学生間でも相互理解が深まり、今後の職業選択のイメージを検討する上でも、貴重な機会となった。

(2)地方の実情を把握する工夫

医療・福祉の課題には、介護問題など、個人の機微な問題も多く、その実態を把握するためには、高齢者の方々に心を開いていただき、信頼を得て初めて有益な情報を得ることができる。また、菊谷市長を始め、伊達市の方々には、我々の政策提言に真摯に耳を傾けていただき、好意的なコメントを頂くことができた。

こうした取組を行うには、一定の経験や学生としての熱意が必要であるということを痛感し、今後の研究生活においても、一層身を入れて専門的な知識を修得し、信頼が得られるようなよい提案が行えるか、今後の学生生活を充実させる心構えの点でも、大変励みになった。

プログラムのおすすめポイント

視察先である社会福祉施設や、その他の第3セクターの施設などについては、伊達市のご厚意により、学生側の提案を可能な限り受け入れて自由度の高い視察計画を受け入れていただき、インタビュー等も実施させていただける。

夏の北海道のすごしやすい気候の下、伊達市の観光資源であるすばらしい景色等を味わえる。

プログラムの様子

市長の御案内による伊達市視察

市長の御案内による伊達市視察

視察先の様子

視察先の様子

伊達市長、職員の皆様と参加者

伊達市長、職員の皆様と参加者

最後に、私どもを受け入れ、様々な情報提供や研究のサポートを献身的に行ってくださった、菊谷市長をはじめとする伊達市および関係諸団体のスタッフの皆様に心から感謝致します。

(2013年11月12日掲載)

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