Graduate School of Public Management早稲田大学 公共経営大学院

その他

その他実習科目

政治学研究科公共経営専攻 川和 一隆

 

2017年度冬季集中科目「市民社会論」体験レポート

 

1. 受講の動機

 

なぜ、若い人たちが積極的に地域活動へ参加しないのか。どうしたら、地域コミュニティの衰退を止め、再構築することができるのであろうか。東日本大震災以降、地域ボランティア活動をきっかけに、この探求心の高まりが、理論と実践を融合するカリキュラムが充実した当大学院で研究を試みようという原動力になりました。

市民社会論とは、「市民参加」と「ガバナンス(協治)」、そして両者を結ぶパートナーシップ(協働)のあり方を研究する学問です。4日間15コマ(22.5時間)の授業は、仕事を持つ私自身にとって極めてハードな内容でした。しかし、参加と協働のあり方を模索している私にとって、まさに適した講義内容であることが、選んだ決め手でした。

 

2. プログラム内容と実施スケジュール

 

 2017年3月6日から9日までの4日間の授業内容とスケジュールは、以下の通りです。

日程 講義内容
1日目

3日目

  1. オリエンテーション
  2. 市民社会、市民参加、ガバナンスの概念整理
  3. 政府観の変化
  4. ガバメントからガバナンスへ
  5. ガバナンス論の展開
  6. ガバナンス論の現在
  7. 市民社会と市民参加
  8. 市民参加の歴史と思想
  9. 参加と民主主義
  10. 市民運動、直接行動
  11. パートナーシップ論
  12. パートナーシップ型ガバナンス
  13. これからの市民参加、市民社会そのガバナンスを考える
4日目 課題の発表および総合討論

【課題】:身近な市民参加の事例。市民参加の「有効性」「効率性」「民主性」を論点とし、成功または失敗事例を調べて報告する。

 

授業は、同志社大学政策学部教授 新川達郎先生のレジュメを中心とした講義です。授業の到達目標は、次の4点の理解を得ることを目指します。

 

  1. ガバナンスが変化する時代の理解
  2. 市民参加とガバナンスの基礎的知識の習得
  3. 両者の関係についての本質的理解
  4. 市民社会の本質とその変化への理解

 

これを理解したうえで、発表レポートを作成します。レポートの発表は、1人当たり20分、討論10分の計30分で行います。

 

3. 参加して得た成果・感想

「市民参加」の意義と、パートナーシップ(協働)の本質を理解できたことです。

まず、前者は、「参加した人の都合の良い方向に物事が動く可能性がある」ので、参加した方がメリットありますよ、ということです。後者は、例えば「夫婦」の様な関係です。元々他人同士の2人が、同じ屋根の下、仲良しごっこでなく、生活していくうえで必要なものを、パートナーと一緒に共同で生み出し、共同で消費をしていくことです。「関心ごと」を明確にし、「目的」が共有され、共に「成果」を出すことを目指すことが、協働の本質であると学びました。

新川先生は、学生がイメージし易い様に、多くの具体的事例を交えて講義を行います。先生の引き出しの多さと、長年の研究に裏打ちされた経験から醸し出される含蓄深い説明は、物事の本質を理解するうえで大変助かりました。

この授業で身につけた理論を、地域活動で実践し、再度研究し直し、また実践を繰り返すことで、地域コミュニティの再構築に役立てることを目指します。

 

4. プログラムのおすすめポイント

おすすめポイントは、やはり最終日の課題発表と総合討論です。

今回の受講生は、5人全員社会人学生でした。実際、現場でコミュニティ形成に汗をかいて取り組んできた事例発表は、臨場感があり、迫力満載でした。そして、活動に苦労してきた者同士だからこそ、互いの気持ちを理解し、有意義な議論を行うことができたのではないかと思います。参加と協働の議論の中で、特に印象に残った言葉を紹介します。『楽しいことじゃないと誰も参加したくないし、楽しくないと続けられない』。

最後に、ご指導をいただきました新川先生、そして共に学んだ学生のみなさまに、この場をお借りして、感謝申し上げます。

 

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