2023年度 早稲田大学法学部横川敏雄記念公開講座
「メタバースに係る先端技術と
法学からの問い」
日程:2023年9月30日~10月28日 毎週土曜日開催 全5回
開催方法:早稲田大学早稲田キャンパス8号館B-107教室(予定)+オンラインによるハイフレックス開催
先端科学技術が発展し社会に実装化されて、それによる恩恵を多くに人々が享受することは、閉塞感のあるこんにち、先端科学技術の活用は人々の希望となり社会に活力を与えることにつながる。そのような先端科学技術の一例がメタバースである。
メタバース空間においては、その活用次第で「人」の有する潜在能力を最大限発揮し得る可能性が秘められており、メタバース空間を有効に活用することの重要性が各界において認識されている。そのため、一部の企業は、巨額の研究開発費を投じており、既にメタバースの活用に取り組んでいる。将来は、社会インフラとして活用される可能性が大きい。ところが、仮想空間におけるルールはいまだ明らかではなく、仮想空間におけるリスクも十分に解明されていない。加えて、現実空間のルールと仮想空間のルールの相互の関係も明らかではない。このような状況下において、メタバースにおける新たなルールを創造しメタバースの社会への実装化が推進されることが求められている。
本講座は、このような認識から、いくつかのメタバースの代表的な活用事例を紹介し、そこにおける法的課題があればそれを抽出し仮想空間における「あるべきルール」を考察して、メタバース空間に対する法的関心を深め、広く権利意識を醸成させることを趣旨とする。
法学部においては2022年度に「先端科学技術と法」コースが設置され、2023年度秋学期から寄附講座「メタバースと法」が開講される予定である。本公開講座の開講に当たっては、理工学術院及び人間科学学術院の先生方のご指導とご協力も仰き分野横断的な色彩のあるものとし、学生の関心も高め、寄附講座「メタバースと法」に対する助成の効果も導きたい。さらに、一般市民にも本講座を公開することで、社会への貢献の一助とする。
予 定 時間は5回とも13:10~14:50(3限)
9月30日(土) 1.メタバースとは何か? アバターをどのように法的に位置づけるべきか?
メタバースの仕組み、定義、現在における活用事例について紹介し、世界的に利用されているメタバースプラットフォームなどを事例に統計的データから見るアバター文化や経済圏について論じ、メタバースの利用が社会に普及しアバターの活用に伴い生じ得る法的社会的課題について考える。
株式会社VLEAP代表取締役CEO 新保 正悟
早稲田大学法学学術院教授 肥塚 肇雄
10月7日(土) 2.メタバースと知的財産法
メタバースをめぐっては、知的財産法上の課題も多い。本講義では、著作権法、商標法、意匠法、不正競争防止法を中心とする知的財産法が、メタバースとどのように関わるかについて、最新の動向を踏まえつつ解説する。
早稲田大学法学学術院教授 上野 達弘
10月14日(土) 3.メタバースとまちづくり――「バーチャル早稲田」の構築を目指して
仮想空間のみならず、実空間と連動する都市連動型メタバースについて紹介し、地域活性化や観光、教育等様々な分野におけるメタバースの活用方法について触れ、「都の西北・早稲田大学とその周辺」をメタバース化することへの期待と可能性について論じる。
株式会社VLEAP代表取締役CEO 新保 正悟
コメンテーター 早稲田大学法学学術院教授 肥塚 肇雄
10月 21日(土) 4.ここまで来たフォトリアル3Dアバターおよびメタバース映像生成技術
直接的にフォトリアルアバターの生成技術開発に長年関わってきた立場から、この30年の技術変遷を振り返り、実際の技術進歩の現状を目の当たりにして頂きます。デモ映像を交えながら、我々が取り組んできた1枚画像からのインスタント3Dアバターの生成技術、および複数視点の画像から任意視点映像を生成できるニューラルフィールド技術について解説します。
早稲田大学理工学術院教授 森島 繁生
コメンテーター 早稲田大学法学学術院教授 肥塚 肇雄
10月 28日(土) 5.リアルアバターとメタバース体験から感じるVR感覚(ファントム・センス)
メタバースでは、3Dスキャナを用いて本人そっくりに生成されたリアルアバターを介し、多様な活動が行われている。また、その過程で本来感じないはずのVR感覚(ファントム・センス)が生じる。ここでは、リアルアバターを介した活動の現状や、VR感覚の生じる事例や仕組みについて、人間工学の観点から考える。
早稲田大学理工学術院教授 河合 隆史
コメンテーター 早稲田大学法学学術院講師 平井 光貴
- 会場参加の場合は事前予約不要です。どなたでもご参加いただけます。オンライン参加をご希望の方は、こちらからあらかじめお申し込みください。
- オンライン参加の場合、一回の申込みで毎回聴講できますが、参加者への連絡のため、各回の前日17時でいったん申込みを締め切り参加案内をいたします。
- 問合せ:早稲田大学法学部 [email protected]
【主催】早稲田大学法学部
【共催】早稲田大学比較法研究所 早稲田大学先端技術の法・倫理研究所
(2023年9月1日作成)