法学部には、法学の体系的な理解を深めるとともに、教養科目を熱心に履修している学生が多くいます。英語圏、ドイツ語圏、フランス語圏、中国語圏、スペイン語圏、スラヴ語圏といった地域研究や、歴史・思想、言語情報、表象文化などの学問分野において、多様な視点から専門的に学ぶ場が提供され、それぞれ指定された科目群を履修する副専攻制度も用意されています。
ここでは、教養演習(歴史・思想)に参加している3名の学生に、法学部を選んだ理由と法学部生にとっての教養について話してもらいました。
副専攻によって自分の常識を問い直す経験を積む
4年 前澤 望クレア
私は、商学部と法学部に合格し、どちらに行こうか迷いましたが、法学部には副専攻で「商学研究」をとることができると知り、法学部に決めました。実際、入学してみると、商学よりも、歴史・思想の科目群に興味をもつようになりました。今は、ヨーロッパの「野蛮」表象の言説史という授業などをとっています。国際取引法という法律専攻を修めるだけでなく、副専攻によって自分の常識を問い直す経験を積むことができていると思います。
法の背景には、その社会の歴史、文化、慣行などが存在している
4年 志村 恵子
国際公務員を目指して法学部に入りました。国際法を専攻しています。法の背景には、その社会の歴史、文化、慣行などが存在していると感じます。たとえば、憲法21条2項の検閲の禁止は、日本の歴史を理解していないとその語の重みを体感することはできません。また、ジェンダーの視点から人権思想の問題点を考察するといった学びも必要だと思います。フランス人権宣言の「人 lʼhomme」という概念が「男」という意味をもつことは重要です。
法理論にとどまらない引き出しを増やす
3年 鈴木 健太
規範的、論理的に物事を考えることが好きであったこともあり、法学部を選びました。以前エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』を読み、ナチス下で自由を放棄し権力に服従する大衆心理が分析されていた点が印象に残りました。ところが、法学部の「哲学」の授業で、ドストエフスキーがそのような大衆心理について、ナチスよりもずっと前に文学として考察していたと聞かされます。先見の明に驚くとともに、自分の知っていることと知らなかったことが繋がる瞬間がとても楽しいです。専攻は憲法ですが、「SNS」や「ブラック校則」などの社会制度を検討します。そのため、法理論にとどまらない引き出しを増やすことを意識しています。
※この記事は、2021年7月時点での情報に基づいています。