School of Law早稲田大学 法学部

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学術院長・学部長 挨拶

ようこそ、早稲田大学法学部に

法学学術院長・法学部長  田村 達久

「法」を学ぶということ

法学部での学修の中心にあるのは、「法」を学ぶということですが、同時に、「法」に関する理論である「法学」もまた学ぶことになります。そもそも、学びの対象となる「法」とは何か、ということは大変難しい問題の一つですので、ここでは、それは、「社会における共通のルール」のことだと捉えておくことにします。通常、法律や地方公共団体の条例、国家間の条約などの成文法がそれを具体的に定めています。そのため、「法」を学ぶということは、それらに定められたルールが何であるかを知る、その「知識」を得ることだと思われるかもしれません。しかし、それにとどまるわけではないのです。もちろん、「知識」の正しい習得は、「法」を学ぶうえで必要であり、欠くべからざるものですが、それだけでは十分ではありません。

「法」とは、「社会における共通のルール」であるのですから、「法」を学ぶということは、同時に、その背景にある社会のありよう、その社会の歴史・文化・思想を正しく知り、理解することでもあります。しかも、それが求められることにもなります。殊に日本の近代以降の「法」にあっては、日本の歴史・文化・思想はもちろんですが、同じく欧米のそれらについても正しく知り、理解しなければならなくなるのです。それは、なぜか。次のことを思い出してみれば、分かってもらえるのではないでしょうか。すなわち、高等学校の日本史の授業において、明治の開国とともに、日本を当時のヨーロッパ先進諸国を範とした近代国家とするべく、西欧近代法を移入、継受してきたことを勉強しましたね。また、第二次世界大戦・太平洋戦争後においてはアメリカ法の強い影響を受けつつ、日本国憲法をはじめとして新しい様々な法律も制定してきたことも、さらに政治・経済の授業なども通じてすでに知っているのではないでしょうか。このように、近代以降の日本においては、明治の開国以来、日本の「法」のあり方、日本の法制度を考え、設計するにあたっては、絶えず外国法、とりわけ、欧米の「法」を参考にしてきたのです。したがって、日本の近代以降の「法」を学ぶことは、ひいては、その源ともいいうる欧米社会の歴史・文化・思想をも学ぶことにもなり、また、その学びのためには、欧米社会の歴史・文化・思想をも正しく理解することも必要となります。

このように、「法」を学ぶとは、社会を制御する技術としての「社会における共通のルール」を「知識」として得るにとどまらず、「法」の背景にあって、それを支える社会の歴史・文化・思想を理解することにもなるのです。

早稲田大学法学部のカリキュラムの特色

それでは、「法」の学び、すなわち、社会を制御する技術としての「社会における共通のルール」を習得してもらうとともに、「法」の背景にあって、それを支える社会の歴史・文化・思想を理解してもらうために、早稲田大学法学部はどのようなカリキュラムを準備しているのかについて、ここではその特色を述べることによって簡潔に申し上げることにします。それは4つにまとめることができます。

その1つ目は、法学教育に関する導入教育の充実を行っていることです。「法」、「法学」を初めて学ぶ者がスムーズにその学修を始められるように、1年次に導入教育として、法の基礎理論などを学習する講義形式の「導入講義」、法律文献の検索・引用方法、小論文・レポートの書き方、ディベートの方法等を訓練する、少人数での演習形式も採り入れた「導入演習」を行っています。2つ目は、外国語を系統的・段階的に学べることです。外国語の習得が「法」の学びにとってとても大切であることは、すでに述べましたことから、お分かりいただけると思います。私たちは、従来から、法律専門科目による法学専門教育と、外国語科目および一般教育科目による語学教養教育とは法学部教育の両輪であると認識し、これを理念として堅持してきたところです。3つ目は、少人数教育の充実です。法学部における法学専門教育の授業は一般に大教室での講義形式で行われてきましたが、私たちは、先に述べた1年次の導入演習に始まり、2年次以降は、法律専門科目に関する主専攻法学演習(ゼミ)と、これに並行して語学教養教育についての教養演習(副専攻ゼミ)を数多く設置して、常に少人数での対面教育を重視しています。そして、4つ目は、特定の統一のテーマあるいは目的をもって「法」の学びを重点的に行う特定履修プログラムを用意していることです。現在、法曹(裁判官・検察官・弁護士)志望者を主な対象者として、その学修を支援するため、早稲田大学法務研究科(法科大学院)と連携した体系的・効果的な一貫した教育を行う「法曹コース」、そして、AI(人工知能)、ブロックチェーンなど科学技術の発展に伴う社会の変化が生じるなかにおいて「法」が果たすべき役割が急速に問われ始めていることに目を向け、科学技術の発展が人間や環境に与える影響を踏まえて、科学技術に関わる多様な法を体系的に学び、かつ、人と自然界の共生のあり方を倫理的な視点から考察することを意図とした「先端科学技術と法コース」(2022年度開始)が設置されています。

高等学校での学習は法学部での学びにどのように活きるのか

ところで、しばしば耳にする、法学部への進学を考える高校生のみなさんからの質問に、高等学校での様々な教科の学習は、法学部での「法」の学びにどのようにつながるのか、どう活きるのか、というものがあります。他の学部であれば、高等学校で学習する教科・科目との連続性や発展のしかたについて比較的容易に推測できるものが多いのですが、「法学」という教科は高等学校にはありませんので、それはしかるべき質問です。ただし、このことについても、いまや、「法」を学ぶことの説明からお分かりいただけるでしょう。国語はもちろんのこととして、外国語や地歴・公民の各教科の学習は、「法」の背景にあって、それを支える社会の歴史・文化・思想を正しく理解するための基礎力となります。また、「法」に関する理論である「法学」を学ぶにあたっては、論理的思考力が求められるのですが、この力を鍛えてくれる教科の一つが理系科目とされる数学です。このように高等学校での各教科の学習は、法学部での「法」の学びのしっかりとした基礎、土台を作ってくれるものだと思い、その学習に真剣に取り組んでくれることを希望いたします。

いざ、来たれ!早稲田大学法学部へ

今申しましたことを別の面から見ますと、大学の法学部で「法」、そして、「法学」を学ぶということは、皆が改めて同じスタートラインに立って、新たな学びを始めること、それができるということです。これまでとかく、文系、理系の仕切りを強く意識する傾向にありましたが、その文理の枠を超えて、日本社会のみならず、国際社会における「法」のあり方、あるべき姿に強い関心を抱き、それを真剣に学びたいと志すみなさんが、わたしたちの早稲田大学法学部の門をたたかれることを心から望みます。

 

法学学術院長・法学部長  田村 達久

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