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プレーするだけでは、サッカーは成り立たない。 競技経験の先に見えてきた、法学とスポーツをつなぐ学び

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Wed 22 Apr 26

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Wed 22 Apr 26

INTRODUCTION
  • 秋山 虎之亮さん(法学部3年生 ア式蹴球部所属)

    小学校1年生からサッカーを始め、中学・高校ではJリーグクラブ(湘南ベルマーレ)の下部組織でプレー。世代別日本代表にも選ばれ、現在は早稲田大学法学部で学びながら、ア式蹴球部で競技を続けている。

    目指しているのは、プロサッカー選手になること。
    そしてその先には、契約や移籍の面から選手を支える「代理人」という将来像もあるという。

    なぜ、サッカーに打ち込んできた中で、法学部を選んだのか。
    競技者としての経験と、法学の学びはどう結びついているのか。

高いレベルの環境で感じた、サッカーの厳しさと面白さ

サッカーを始めたのは、小学校1年生のときです。父がサッカーをやっていたこともあって、幼いころから自然とボールに触れる環境がありました。最初は地元の少年団でプレーしていて、そこからもっと高いレベルでやりたいと思うようになり、地元のJリーグクラブのスクールに通い始めました。中学からはセレクションを受けて、同じJリーグクラブの下部組織に入りました。

下部組織に入って感じたことは競争の厳しさです。小学生のころは、自分が出て当たり前という感覚もあったのですが、そこでは本当に巧い選手が集まっていて、ポジション争いも激しかったです。しかも、学年に関係なく競争しなければいけない。中学なら中1から中3まで、高校なら高1から高3までの中で勝たないといけないので、非常に厳しかったです。

でも、その環境でプレーできること自体が、自分にとってはとても楽しかったです。Jリーグクラブの下部組織なので、サッカーに集中できる環境が整っていましたし、海外遠征に行かせてもらって、バルセロナやレアル・マドリードと試合をする機会もありました。世界のレベルを知れたことは本当に大きかったです。

特に印象に残っているのは、相手のフィジカルや技術の高さに衝撃を受けたことです。「こんなに違うのか」と初めて感じました。でも、そのときに「まだ自分には伸びしろがあるな」と思えたんです。そこは今の自分にも大きく影響していると思います。

世代別日本代表の経験が、自分の積み重ねを実感させてくれた

高校時代には、世代別日本代表に選ばれる経験もしました。あのときは本当に驚きました。所属するクラブの監督から急に電話がかかってきて、ちょうど自分は高校のテスト勉強をしていたのですが、そこで召集の話を聞いて、一気に緊張したのを覚えています。

でも同時に、自分がやってきたことがしっかり評価されたんだなと思えて、とても嬉しかったことを覚えています。家族も本当に喜んでくれました。
こういう経験を通して、自分の中では「高いレベルの環境で戦い続けたい」という思いが強くなりました。だからこそ、大学でもサッカーを続けることは自然な選択でした。

大学進学は、プロへの遠回りではないと思った

もともと一番の目標は、高校卒業後にそのままプロになることでした。

ただ、それが叶わなかったとしても、大学を経てプロになる選手はたくさんいます。「日本代表で活躍している選手の中にも、大学を経由してプロになった人がいる。」そう考えたときに、大学進学は決して後ろ向きな選択ではないと思えました。むしろ4年間で成長してからプロに行くことで、即戦力として活躍できる可能性もある。自分はそういう前向きな気持ちで大学進学を決めました。

その中で早稲田大学を選んだのは、サッカーも勉強も、どちらも高いレベルでやりたいと思ったからです。高校時代、勉強も頑張っていたので、「競技だけではなく、学びの面でも妥協したくない。」、そう考えたとき、早稲田大学は非常に魅力的でした。

それから早稲田のサッカーには、愚直に、泥臭く戦うスタイルがあると思い、それが自分のプレースタイルやサッカー観にも合っていると感じ、早稲田大学に進学を決めました。

法学部を選んだのは、サッカーがプレーだけではないと感じていたから

法学部を選んだ理由は、自分の中では、はっきりしています。それは、サッカーはプレーだけで成り立っているものではないと考えていたからです。契約や移籍など、プレーの外側にある仕組みも、選手にとっては大事なことであると感じていました。そう考えたときに、それを学問として考えられるのは法学なんじゃないかと思ったんです。

高校時代は理系だったので、最初から法学部を目指していたわけではありませんでした。理系の分野も学んでいましたが、自分が将来サッカーに関わっていくことを考えたときに、それをどのように活かすかというイメージがあまり持てなかったんです。

また、法学は高校までに専門的に学んでいる人が多いわけではないので、大学からでもしっかり挑戦できるのではないかと思えました。理系出身でも、同じスタートラインから始められる感覚がありました。

契約や移籍に関心を持ったのは、選手のキャリアが左右される現実を知ったから

契約や移籍に関心を持つようになったきっかけの一つは、高校3年生くらいのときに読んだ記事です。選手が移籍をめぐってうまくいかず、プレーに集中できない時期があったという内容だったんです。その記事を読んで、「サッカーって、ただプレーしていればいいわけじゃないんだな」と強く思いました。

サッカー以外の部分で不安があると、プレーにも影響が出てしまう。そういう世界なんだと知ったことは、自分の中ではとても大きかったです。それに、高校時代には自分自身もスポーツメーカーから用具提供を受ける機会があって、契約とまでは言わなくても、サッカーを取り巻く仕組みを身近に感じることがありました。プレーだけではなくて、身に着けるものやサポートの在り方にも、ちゃんとルールや関係性があるんだなと考えるようになりました。

法学を学んで、契約が「遠いもの」ではなくなった

法学部に入る前は、契約というと難しくて、特別で、複雑なものだと思っていました。でも実際に学んでみると、契約って身近なものだとわかりました。ものを買うのも契約ですし、自分の意思表示だけで成立することもある。生活の中にこんなにたくさん契約があると知って、見方がかなり変わりました。

その一方で、身近だからこそ、軽く考えると大きな問題にもつながる。そういう意味で、契約に対して以前よりずっと慎重に考えるようになったと思います。スポーツの世界でも、契約や移籍だけではなく、人権の問題があります。今はSNSも発達していて、選手に対する誹謗中傷や差別的な発言が簡単に広がってしまう時代です。そういうものも含めて、法律とスポーツは本当に深くつながっていると感じています。

将来は、選手を支える代理人という立場にも関心がある

将来については、まず自分自身がプロサッカー選手になることを目指しています。
その上で、引退後には代理人として選手を支える仕事にも関心があります。そう思うようになったのは、移籍や契約が選手のキャリアに与える影響の大きさを知ったからです。移籍のタイミングや移籍先が少し違うだけで、選手人生が大きく変わってしまうこともある。だからこそ、そこで選手を支えられる仕事には、すごく大きな意義があると思っています。

代理人の仕事に魅力を感じるのは、プレーそのものではなく、その選手の成長や価値を高めることにつながるからです。自分がサポートした契約や移籍によって、選手がよりよい環境でプレーできるようになる。そのことが、その選手の人生やキャリアを前に進めることにつながるとしたら、すごくやりがいのある仕事だと思います。

選手としての経験は、将来代理人になるときにも生きるはずです。選手がどんな不安を抱えるのか、どういうタイミングで迷うのか、競技者としての実感を持っているからこそ、寄り添える部分があると思います。

法学部で身につくのは、「ただ伝える」のではなく、筋道立てて伝える力

代理人に必要な力として、自分が大事だと思っているのは、コミュニケーション能力と言語能力です。選手の移籍は国内だけでなく海外にも広がるので、言葉の力はすごく大事だと思います。選手の意向をしっかり守りながら、それを相手に納得してもらえる形で伝えること。ただ「こうしたいです」と言うだけではなくて、なぜその意向があるのか、その理由や過程をきちんと説明できないといけない。その点は、法学部で学ぶ中で鍛えられている感覚があります。

法学は結論だけを出す学問ではなく、なぜその考え方を取るのか、別の考え方ではなぜだめなのか、そこまで含めて説明する学問なんです。そういう思考の積み重ねは、将来スポーツの世界で誰かを支える立場になったときにも、必ず生きてくると思います。

実際、現在、自分はア式蹴球部で学年リーダーを務めていて、約30人の部員をまとめる立場にあります。さまざまな考え方を持った仲間がいる中で、自分の意見を一方的に伝えるだけでは、なかなか相手には届かないと感じています。だからこそ、まずは相手の考え方を受け止めたうえで、「その考え方もあるけれど、こういう理由でこちらのほうがいいと思う」と順序立てて伝えることを意識しています。そうした伝え方は、法学部で学んでいる「自分の考えを理由とともに示す姿勢」と重なる部分が大きいですし、実際に日常の中で活きていると感じています。

また、法学部では語学の授業も充実しており、世界で活躍するために必要な言語能力も磨くことができています。将来、選手を支える立場になったときにも、こうした学びは大きな土台になると思っています。

早稲田大学法学部で感じているのは、「多様性」の大きさ

実際に法学部に入学して感じたことは、想像していた以上に学びの幅が広いということです。
入学前は、六法全書をずっと読んで、条文を覚えていくような学びをイメージしていました。でも実際は、そうではなく、考え方のプロセスを重視する学問でしたし、履修できる授業の幅も広い。法学だけでなく、語学・教養をはじめ、金融論や物理学、スポーツビジネスなど、自分の関心に応じていろいろな学び方ができるのは、早稲田大学法学部の大きな魅力だと思います。

自分は、早稲田大学法学部の魅力を一言で表すなら、「多様性」だと思っています。法曹を目指す人にとっても環境は整っていますし、まだ将来がはっきり決まっていない人にとっても、いろいろな可能性を広げられる学部だと思います。

競技と学業の両立は、「大変さ」より「工夫」の積み重ね

ア式蹴球部と学業の両立については、周りから「大変そう」と言われることもあります。
でも、自分の中では、そこまで特別なことをしている感覚はないんです。サッカーも勉強も、自分がやりたくて選んでいることなので、「好きなことをやっている」という感覚の方が強いです。

普段は、朝起きて朝食をとって、筋トレをしてから授業に行きます。午後は部の練習があるので、授業は主に3限まで。その後は夕方から夜まで練習して、食事やケアを済ませて、残った時間で課題や勉強をするという生活です。かなりサッカーと勉強中心の毎日ですが、その中で大事にしているのは隙間時間の使い方です。移動時間を活用したり、自分が集中しやすい時間帯に勉強を置いたりしながら、生活のリズムを組み立てています。

両立を通して成長したと思うのは、時間の使い方です。限られた時間の中で何をするかを考えるようになって、無駄な時間はかなり減ったと同時に、時間の使い方の質も向上したと思います。そこは、自分の中でも成長した部分だと感じています。

理系出身でも、法学部での学びは十分に活かせる

高校時代に理系だったことについて、不安がなかったわけではありません。
でも実際に学んでみると、理系で身につけた力は法学部でも十分活きると感じています。理系の問題って、答えがすぐに見えないものに対して、どう考えて解くかを粘り強く追っていくことが多いと思うんです。法学も、一つの問題に対して、どう考え、その考え方をどう正当化するかが大事なので、その意味では似ている部分があると思います。

法学部の試験は最初かなり驚きました。高校までのように短く答えるものではなく、しっかり文章で書かなければいけないからです。でも、実際に書いてみて、模範的な答案と見比べながら慣れていくうちに、少しずつ書き方や考え方がつかめてきました。だから、理系だから法学部は難しい、と決めつけなくていいと思います。むしろ、考える力や粘り強さは大きな強みになるはずです。

スポーツを続けながら、学びも追究したい人へ

スポーツを続けながら大学進学を考えている高校生には、「難しく考えすぎなくて大丈夫」と伝えたいです。大学は本当に自由度が高いので、自分次第で時間の使い方も組み立てられます。競技を続けながら学ぶことは、十分に可能です。だから、スポーツが好きなら、大学でやめるという選択だけではなくて、続けながら学問も追究する道もあるんだということを、ぜひ知ってほしいです。

進路に迷っている高校生に対しても、文系か理系か、あるいはどの学部に進むかということを、一直線に考えすぎなくていいと思います。自分自身、理系から法学部に進んで、入学後に大きくイメージが変わりました。早稲田大学法学部は、将来がまだ明確でなくても、自分の興味を広げながら学べる場所です。だからこそ、自信を持って進路を選んでほしいと思います。

自分で考える力を育てながら、将来の可能性を広げていける場所

保護者の方に対して伝えたいのは、早稲田大学法学部は「自分で考える力」を育てられる場所だということです。法学部というと、堅い、難しいというイメージを持たれるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。自分の関心を広げながら、やりたいことを追求できる環境があります。学業面も学生生活も、過度に心配しなくていいと思います。

今後の目標――プロを目指しながら、学びの幅も広げていきたい

今後の目標は、個人としてはプロサッカー選手になることです。そして、ア式蹴球部としては日本一を獲ることです。プロになるために一日一日をどれだけ大切にできるかが大事だと思っています。日々の積み重ねが、そのまま将来につながっていくと思うので、自分の成長に対して貪欲に向き合っていきたいです。

学業の面では、まだ自分の知らないことが本当にたくさんあると感じています。だからこそ、自分の興味がある分野を深めるのはもちろん、それ以外のことにも積極的に触れて、できるだけ多くのことを吸収していきたいと思っています。

3年生より環境法を学ぶゼミに所属しています。環境問題は、地球温暖化やごみの問題など、日々の生活にも大きく関わっているテーマだと感じています。そうした課題に対して、単に身近な工夫として考えるだけではなく、法律の観点からどのような解決があり得るのかを学びたいという思いから、この分野を選びました。スポーツや契約に関わる学びだけでなく、社会全体に関わる課題にも目を向けながら、自分の視野を広げていきたいと考えています。

競技者として成長すること、そして一人の学生として学びを深めること。
その両方に本気で向き合いながら、これからの学生生活、そしてその先につながる土台をしっかり築いていきたいです。

OUTRODUCTION
  • まずはプロサッカー選手になることを目指して、日々の積み重ねを大切にしていく。
    その先には、選手を支える立場としてスポーツ界に関わる未来も見据えている。

    プレーするだけでは見えなかったサッカーの世界を、法学という学びを通して捉え直していく。
    その歩みは、競技と学びの両方に本気で向き合う、早稲田大学法学部での学生生活そのものと言えそうだ。