Graduate School of Law早稲田大学 大学院法学研究科

About the School

研究科について

法学研究科の社会人教育

概要

早稲田大学法学研究科では、社会人教育を実践しています。当研究科の教育プログラムは、他大学にはない特色として、「研究課題」形式を採り入れています。それぞれの課題には、講座責任者(指導教員)と関連科目担当教員が配置されており、新しい法学領域の開拓を実現した、わが国で最初の「プロジェクト研究」方式の大学院修士課程となっています。

研究課題紹介教員氏名クリックで、各教員のプロフィールへとびます。

講座責任者 大塚 直河野 真理子楜澤 能生

 環境問題は,一国内の地域レベルから,国内的,国際的,地球規模にまで及ぶ広がりを持つにいたっております。しかも,これらのレベルにおける諸問題は相互依存の関係に立っているので,対応策も国内的側面と国際的側面を視野に入れて実行されることが求められています。

環境問題における対応策は,法的手段を用いて実行されるので,この研究課題は法学的観点からの考察を中心においています。しかし既存の法理論と法制度を通して解決可能な問題領域と,新たな法的手段をつくりだすことによって解決が可能となる広範囲の問題領域が並存しています。新たな法的手段の選択は,環境問題の性格上,自然科学的知見や経済学的法則を考慮に入れた政策的意思決定によって行われるので,この研究課題は単なる法理論や法制度の解説を超えた学際的な観点からの考察が必要となります。そのような観点を基礎におく法的手段の選択肢の提示を目指したいと考えています。

環境問題の解決を担うのは,市民・企業・国内的/国際的な非政府組織(NGOs)・地方公共団体・国・国連その他の政府間組織です。それぞれの関心と担うべき課題が,地域レベルから地球規模に及ぶ諸問題との関わりで様々な形で生じてきます。国内問題と国際問題という枠組のどちらに重点をおくか科目間に差異は生じますが,これらの多様な関心と課題に対応したいと思います。

環境問題の領域は広範囲に及び,必要な知識も法律学を超えて多数の専門的学問分野にわたっています。したがって,完成されたといいうる環境法の専門家は存在しえないと言うことができます。この研究課題に関与する,それぞれの専門分野を異にする私たち複数の研究者と,さまざまな関心・経験と知識をもつ社会人・大学院生とによって構成される知的共同体の中から,多様な議論を経た創造的な研究が生みだされてきています。

個別の環境問題に直面する社会人の方々にとって,さまざまな専門領域・法政策の理論と知的交流を持ち,環境問題の現象面での多様性,法理論面での多面性を理解することは,現場の問題に対して新たな視角を得るために有用であると確信しています。

講座責任者 高林 龍上野 達弘ラーデマッハ クリストフ

 現代の経済活動において知的財産権の重要性は、国際化の進展やインターネットの普及などもあって、ますます増大しており、国としても知的財産の活用を巡る毎年の政策の方針を知的財産推進計画として取りまとめて発表している。特許の分野では近時、特許権の保護の強化の行き過ぎがいわゆるパテント・トロールの活躍の場を提供しているのではないかという反省から、イノベーションの進展と知的財産保護の在り方を巡る議論が活発化しているし、著作権の分野でも保護強化と著作物を利用する側の権利や利益とのバランスをいかに図るかといった議論が活発化している。そのほか、商標の分野でも音や色の商標登録が認められたものの、その権利行使の際に生ずるだろう問題など、喫緊に解決を迫られる問題が山積みされている。いずれも権利の保護と利用とのバランスをいかに取るかといった法的な観点からの検討が欠かせない問題ということができる。

研究課題「知的財産紛争と法」は、このような世界的な規模で展開する知的財産法を巡る紛争に対して、これを予防しあるいは解決していくための方策を理論的側面と実務的側面から検討していくことを目的としている。大学院で知的財産権法を研究しようとする者である以上、特許法と著作権法は学修済みであることが好ましいが、入学後の研究テーマとしては、これに止まらず、商標法、意匠法、不正競争防止法など、何を選択してもかまわない。2年間の学修期間を活用して、社会経験を踏まえつつ、腰の据わった、知的財産権法分野に貢献できる研究をし、これを論文化することを目指して欲しい。

講座責任者 渡辺 徹也田村 達久

 人や財が動く所には,必ず租税の問題が発生する。それゆえ,経済取引や投資などの契約形式やそれらの受皿となる器(=組織)を考える場合にも,租税負担に関する検討が不可欠となる。さらに,国境を越えての人や商品・資本の移動が増大するなか,国際租税の検討を欠く移動の選択には大きな経済的リスクが伴わざるをえない。加えて,日本国民の 資産蓄積が増大するなかで,贈与や相続をめぐる紛争も増大してきているが,その紛争の 解決には租税負担の考慮が不可欠である。このように,あらゆる社会領域において,特に私法秩序の検討は租税制度との関連に留意することなしには完結しない。

以上のことを前提にすると,大学院に租税法に関する研究課題のコースを設置する意義は,まず租税に関する実体法についての専門的知識を,法律系の大学院において法的観点から深化させる機会を持つという点にあることはもちろんであるが,それとならんで民法や行政法,さらには商法や民事訴訟法、国際法等の隣接法領域に関する知識を高度化させながら,租税法の諸問題を法秩序全体のなかで見直すという点にも,大学院に「租税紛争と法」というテーマでの研究課題を設定する意義があると考えている(このような総合的学習の中で、特に税務訴訟に対応できるための基礎知識は確実に獲得していただきたい)。

租税法に関する専門的能力,さらには法的思考能力を高めたいと考えている社会人の方 に,多様な生活環境や職場環境に適応した各人の研究計画をもって,この研究課題のコー スに参加していただきたい。このコースには,租税に関して異なる立場にある社会人の方々が参加することになると思われるが,大学院という学問の場で,それぞれの実際に活動している立場から少し距離を置いて,共に租税法を学ぶ者同志としてフェアーで真摯な議論を展開していただきたいと考えている。

最後に,このコースでは修了要件として修士論文を書くことが義務付けられるので,こ の点にも留意していただきたい。修士論文の作成という,長く蓄積された従来の研究成果 に何ものかを付け足そうとする作業は,それほど容易なものではない。

講座責任者 菊池 馨実岡田 正則橋本 有生

 経済のグローバル化と非正規雇用の拡大,世界に類をみない少子高齢社会・人口減少社会の到来,深刻な財政危機などを背景として,社会保障制度の見直しが喫緊の政策課題となっています。当研究課題は,こうした大変革期にある社会保障・社会福祉・成年後見法制を分析対象とし,法的視座から,わが国が抱える今日的諸課題にアプローチしていくことをねらいとしています。

本研究課題の特色としては,変転極まりない社会保障法制等の特質を踏まえ,社会保障法・行政法・成年後見法(民法)の各分野で実績をあげてきた研究者教員による授業・論文指導が受けられるほか,政策立案に長年携わり教育経験も豊かな実務家教員による幅広い授業が展開される点が挙げられます。

なかでも,社会保障法担当教員による指導のみならず,社会保障行政に詳しい行政法担当教員による指導が受けられることは,とくに国・自治体職員等にとっては大きなメリットとなることが期待されます。また成年後見法(民法)を社会保障・社会福祉法制とともに詳しく学ぶことができる点でも,本プログラムは他に類をみないプログラムであると言えるでしょう。

各院生には,各人がとくに関心をもつ分野の研究テーマを指導教員の下で探求する一方,社会保障法・行政法・成年後見法(民法)の諸分野の授業を幅広く受講する機会が提供されます。

授業は,基本的に平日夜間及び土曜日に開講され,国家公務員・地方公務員,社会福祉協議会・健康保険組合など団体職員・NPO職員,弁護士,司法書士,社会保険労務士,社会福祉士等の専門職など,社会保障・社会福祉・成年後見に関連した各職種の社会人の方々に,質・量ともに十分満足していただける内容のメニューを揃えているものと自負しています。

様々な関心・経験をもつ社会人大学院生と,研究者・実務家教員,研究者志望大学院生らによる知的共同体から,知的資源を社会に還元していきたいと考えています。関心ある社会人の方々が奮って出願されることを期待しています。

講座責任者 箱井 崇史河野 真理子

 わが国は世界有数の海洋国であり,航海,海運,港湾,海事産業などにかかわる重要な法律的課題に直面しています。ところで,海法を総合的にとらえる研究活動は欧米では一般に行われていますが,わが国ではこれまで各法分野に分散した形で扱われてきました。そこで,私たち講座責任者は,総合海法研究を目的とするプロジェクト研究所として発足した海法研究所の支援を受けながら,わが国における海法教育,とりわけ社会人に対する海法の法理論教育を実現するために当講座を開設しました。もとより,海法は実務に密接に関連する法領域であり,またすぐれて国際的な法領域でもあります。研究課題を「国際海事問題の実務と法」としているのは,現代的かつ実践的な諸問題に関する法理論を研究していきたいと考えたことによります。

そのため,この講座は早稲田大学において海法領域の研究・教育にあたる教員を中心としながら,わが国の代表的な海事弁護士・実務家,関係官庁(国土交通省海事局)の政策担当者等を講師に迎え,海法の主要領域について最高水準の理論教育を行うことができるように設計しています。

研究指導では,受講者がそれぞれの関心に応じて海法に関する理論的な研究を進め,修士学位論文を作成します。修士論文の作成指導は,指導教授のほか,論文のテーマに応じて各担当教員の指導を受けることもできます。講義については,関連科目として設置されている海法科目を中心に履修することになりますが,指導教授と相談の上,受講生の関心に応じて海法科目以外からも選択することができます。さらに,海法研究所の開催する国際シンポジウムへの参加や,各種研究会とも協調しながら,幅広い研究機会を提供していきたいと考えています(http://www.wiml.jp/をご覧ください)。

受講者の業種などは不問ですので,海法を総合的に学びつつ,一つのテーマについて研究論文を作成してみようという意欲のある方々の応募をお待ちしています。

 

指導体制

研究課題の指導では、受講者がそれぞれの関心に応じて理論的な研究を進め、修士学位論文を作成します。修士論文の作成指導は、指導教授のほか、論文のテーマに応じて各担当教員の指導を受けることもできます。講義については、関連科目として設置されている科目を中心に履修することになりますが、指導教授と相談の上、受講生の関心に応じて関連科目以外からも選択することができます。

早稲田大学法学研究科を選ぶ理由

平日夜間・土曜日の授業開講

早稲田大学法学研究科は、社会人入学者を対象に平日夜間・土曜日開講の授業を設けております。また、修了の要件である修士論文の作成・審査についても、社会人学生のことを考え、土曜日を含めた日程で実施しています。

各研究課題の科目実施曜日時限はこちら(2022年度開講科目)

指導教員による丁寧な指導

当法学研究科では、毎年、多くの方が企業等に勤めながら学位を取得しています。優秀な成績を収めた方には1年修了の制度もあり、例年数名の方が当制度にて修了されています。

2008年度入学者  17名中16人が修了(うち1年修了者2名)
2009年度入学者  28名中25名が修了(うち1年修了者2名)
2010年度入学者  20名中16名が修了(うち1年修了者3名)
2011年度入学者  13名中11名が修了(うち1年修了者3名)
2012年度入学者  13名中11名が修了(うち1年修了者2名)
2013年度 入学者  15名中12名が修了(うち1年修了者2名)
2014年度 入学者  13名中13名が修了(うち1年修了者3名)
2015年度 入学者  12名中10名が修了(うち1年修了者2名)
2016年度 入学者  15名中14名が修了(うち1年修了3名)
2017年度 入学者  12名中10名が修了(うち1年修了3名)
2018年度 入学者  16名中14名が修了(うち1年修了2名)
2019年度 入学者  20名中18名が修了(うち1年修了2名)
2020年度入学者  16名中12名が修了(うち1年修了2名)
2021年度入学者  10名中8名が修了(うち1年修了2名)
2022年度入学者  16名中9名が修了(うち1年修了2名)

教育訓練給付金制度

早稲田大学大学院法学研究科の社会人コースでは、社会人研究課題による募集(環境問題と法を除く)と知的財産法LL.M.コースは現在教育訓練給付金対象講座に指定されています。(2022年3月時点)
教育訓練給付金制度とは、労働者や離職者が、自ら費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人がその教育訓練施設に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。

当研究科の場合、給付対象者には、社会人研究課題による募集では上限10万円、知的財産法LL.M.コースでは上限40万円が給付されます。

最新の指定講座については、厚生労働省のWebサイトをご確認ください。
https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/

※本制度には指定期間が定められており、期限を迎える講座は再指定申請を予定しますが、必ずしも継続されない場合がございます。

法学研究科入試案内

入学試験のスケジュール

法学研究科修士(社会人)入学試験は、例年以下のスケジュールで実施されています。

  • 出願期間
    7月末頃 (国内からの出願の場合)
  • 試験日
    9月中旬頃
  • 合格発表
    9月下旬頃

出願資格

出願資格としては、次の二つをいずれも満たすことが求められます。

  1. 大学卒業ないしそれと同等の資格を得てから満5年以上経過した者
  2. 所定の実務経験が3年以上の者

※研究課題毎に定められています。詳細は入試要項をご確認ください。
※出願資格を満たしているかどうかの判断がつかない方は個別の出願資格審査についてをご確認ください。

試験科目

法学研究科修士(社会人)入学試験の試験科目は小論文試験と口述試験です。
いずれも同日(例年土曜日)に実施され、試験は一日で終了します。

入学試験詳細

詳細については、入試要項をご確認ください。

修士入試(一般・国内/社会人)要項

過去問題と過去の入学試験結果はこちら

教員・受講生インタビュー

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