早稲田大学大学院法学研究科では長年にわたって、日本の法学を牽引する優れた研究者・実務家を社会に輩出してまいりました。
理論面から法制度を考察し法学を教授することのできる法学研究者と、高度の研究能力を備えた専門職業人の要請に特化した「研究大学院」として、優れた法学研究者の育成に力を注いでおります。
一方で経済のグローバル化のもとで社会は急速に変化し、実務法曹でも法学研究者でもない高度の法的分析能力を持つ人材が国内外で必要とされるようになり、法学研究科では2018年4月より新たな修士課程「先端法学専攻」を設置し、高度の法学分析能力を備えた社会人養成プログラムを開講しています。
優れた法学研究者のみならず、法的分析能力を用いて社会を変革する人材に至るまで、法学を通して我が国を牽引するリーダーの養成を氏名として教育研究を実施してまいります。
四つの専攻のうち、「民事法学専攻」、「公法学専攻」、「基礎法学専攻」については、修士課程入学から博士論文提出までを5年間のコースワークと捉え、継続的に指導する“MD一貫指導体制”を整備しており、論文執筆の計画から提出・審査に至るステップを一つ一つ上がっていくことで、着実に修士論文、博士論文を完成させる体制を整えています。これにより、当研究科は法学研究者を着実に養成、輩出しています。
新たに開講した「先端法学専攻」では、知的財産法LL.M.コースと現代アジア・リージョン法LL.M.コースを設け、行政機関、法曹界、マスコミ、企業の法務部門などで活躍されながらさらに法学の専門知識を身につけキャリアアップを目指す方たちを受け入れております。
英語で行われる授業のみで構成される現代アジア・リージョン法LL.M.コースには、日本人のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、中央アジア、東南アジア、東アジアなど世界各国からの留学生が入学しており、多様な学生と共に切磋琢磨しながら学び研究する環境を提供しています。
このような恵まれた環境のもと、新たな知の発展が期待されます。
民事法学専攻の特長は、研究指導体制の質・量における充実度、および学生の質・量における充実度にあります。
まず、当研究科では、法務研究科の教員も含めた、学術院一体での指導がなされており、これにより、他大学を圧倒する教員陣容の中で、幅広く、質の高い研究指導を受けることができます。
次に当研究科には、早稲田大学に限らず、国内外よりトップレベルの学生が多く入学しており、学生同士での切磋琢磨により、研究のレベルが高められています。
この結果、多数の法学研究者を輩出し、当研究科出身の法学研究者によるネットワークは全国に広がっています。
とりわけ民事法学専攻の学生には、修士課程修了後に企業や公務員等の道に進むものも多く、採用や、採用後のキャリアアップにおいて、専門性やリサーチ能力を生かすことにより、そのアドバンテージを著しく生かしている例が多いことも特徴です。
公法学専攻は、憲法、行政法、刑法、刑事訴訟法、刑事政策、国際関係法(公法)の6つの専修からなります。
公法とは何か、という問いそれ自体が論争的であり、一義的に定めるのは難しいものの、ここは、国家と国家及び私人との関係を規律する法を対象とするもの、つまり法の名宛人が国家であるような領域としておきます。
これら6専修を大括りにすれば、憲法・行政法、刑法・刑事訴訟法・刑事政策、国際関係法(公法)の3つのグループになります。なお国際関係法(公法)はもともと複合的な分野です。グループ内の各分野は相互補完的な関係にあるといってよいことから、研究を深めるためには、少なくとも同じグループの法分野には目配りする必要があるでしょう。
法解釈学が、法令や、判例、法解釈理論といった、人間の観念活動の所産を対象とし、その規範的意味内容の体系的把握を目的として研究するのに対して、基礎法学の特徴は、人間の観念の所産である法と法以外の社会現象との関係を、法学的世界の外側から観察する視座を提供するところにあります。
市場経済のグローバル化が急速に進行する中で、法や政治はその速度に付いて行けず、暴走する市場化が経済・金融危機、格差貧困、テロを生み、暴力の連鎖が世界を覆っています。グローバル市場経済を法的に統御するには、国民国家を超えたレベルでの法の可能性と、その規範的根拠を探求する必要があります。各国における法文化の歴史的コンテクストを正確に理解し、その多様なコンテクストと西欧近代の「市民法」理念の普遍的妥当がいかに折り合えるかを探求しなければなりません。
こうした作業にも、法史学、法思想史・法哲学、比較法学、法社会学など、基礎法学が提供する視座が不可欠です。
経済のグローバル化が進展するとともに、社会は急速な変化を遂げ、実務法曹でもない、法学研究者でもない、高度な法的分析能力を有する人材が求められるようになりました。
これまで日本の法学を牽引する優れた研究者や実務家を数多く輩出してきた早稲田だからこそ、時代の要請に応える学問の府であり続けたい-。
その想いが結実して生まれたのが「先端法学専攻」です。
これまで培った教育研究の実績、幅広い専門性を礎に、次世代が求める信野プロフェッショナルを育成します。
知的財産に関わる法について、理論と実務の両輪から、体系的かつ集中的に学ぶコースです。
知的財産の創出からその活用、さらにはその過程で生じる紛争の防止や、紛争が生起した場合の対応に至るまで、すべての場面で盤石な法律知識に裏付けされた骨太の実務を遂行できるエキスパートを養成します。
確固たる法の専門知識を礎に、アジア、そして世界の未来に貢献できる次世代のリーダーを養成します。
活躍のフィールドは、国際協力、法務、ビジネス、政務、学界など広範にわたり、グローバルな視野と高度な法知識を有する比類なきエキスパートとして、世界に羽ばたくことを期待しています。