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- 「ヘーゲルは「批評家=哲学者」である」文学部 岡﨑佑香講師(新任教員紹介)
「ヘーゲルは「批評家=哲学者」である」文学部 岡﨑佑香講師(新任教員紹介)
- Posted
- Tue, 25 Aug 2026
自己紹介
博士論文では、18・19世紀ドイツの哲学者G・W・F・ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831)の思想を「性(Geschlecht)」の観点から論じました。論理学、自然哲学、精神哲学から成るヘーゲルの哲学体系において、ジェンダーやセクシュアリティがどのように論じられているかを批判的に検討すること、これが博士論文で私が取り組んだ課題でした。
もともと修士課程までは英語圏の文学批評理論を専攻し、英語圏文学の領域のなかでジェンダーやセクシュアリティをめぐる実存的な問いに理論の助けを借りながらとりくんでいました。現在の専門分野である哲学の領域に身を置き、そこで研究活動をおこなうようになったのは博士課程に進学してからです。英語圏文学からドイツ哲学への鞍替えに際しては、ディシプリンのちがいにしばらく圧倒されていました。どちらも原典講読に重きが置かれていたものの、前者においては速読・多読(パラグラフ・リーディング)およびその要約の訓練を受けていたのに対して、後者ではとにかく精読、そしてパラフレーズの技法の習得が求められたからです。私にとってさらなる転機となったのは、ドイツ留学でした。指導教員からの影響で、ヘーゲル哲学のフェミニスト的読解を概念史的なアプローチから試みるようになったのです。最終的にドイツでの博士号取得は断念しましたが、その成果は上記の博士論文として結実し、2026年3月に単著『ヘーゲル哲学と性』を刊行いたしました。

拙著
博士論文を加筆修正したこの本は、上述のとおり、ヘーゲル哲学についての研究書です。しかし同時にこれは、私の「自己紹介」というべき書でもあります。ぜひお手にとっていただければ幸いです。
私の専門分野、ここが面白い!
哲学研究の面白さを私なりに語るとすれば、哲学史的な洞察とともに現代の私たちが直面する問題を捉えなおすことができる点にあります。私自身は思想的変革が現実の変革に先行するという立場をとりませんが、哲学者による分析や構想のなかに問題解決の糸口となるヒントや言説的資源をみつけたとき、面白い!と感じます。
ヘーゲルに限定するならば、その面白さは、彼の「読解」のなかにあると言えるのではないでしょうか。実際に、ヘーゲルが主著『精神現象学』精神章で提示したソフォクレス『アンティゴネー』読解に感銘を受けたことが、私がヘーゲルにはまったきっかけのひとつです。もちろん、ヘーゲルが解釈を披露したのはソフォクレスの悲劇だけでなく、ニュートン『プリンキピア』、カント『純粋理性批判』、スピノザ『エチカ』など多岐にわたります。ヘーゲルはそれらを読むこと、つまり批評ないし批判を通じて哲学を彫琢し、その完成を目指した「批評家=哲学者」なのです。
プロフィール
おかざき ゆか。2023年3月京都大学大学院文学研究科研究指導認定退学。同年9月課程博士(文学)取得。日本学術振興会特別研究員(PD)/立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員、中央大学、立命館大学、京都精華大学、京都大学非常勤講師を経て、2026年4月より現職。単著『ヘーゲル哲学と性』(人文書院、2026年)。特定非営利活動法人WOMEN WOVEN監事。
(2026年8月作成)
- 新任教員紹介は、研究紹介・アウトリーチからご覧いただけます。