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「中国美術を読み解く」文学部 濱田瑞美教授(新任教員紹介)

「中国美術を読み解く」文学部 濱田瑞美教授(新任教員紹介)
Posted
Tue, 28 Jul 2026

自己紹介

私の専門は中国美術史です。小学1年のとき、担任の先生が「ずっと昔の時代、日本はあらゆる事を中国から学んだのですよ」とおっしゃって、素直に中国の歴史や文化に憧れを抱いたのですが、それが今なお続いていると感じます。

学部では書道の実技や書道史を学び、石碑に刻まれた文字や石碑や画像石の造形に興味を持っていました。大学院では夏休みの約1か月間、毎年のように指導教授の中国調査に随行し、自身でも北京大学留学時に中国各地の遺跡をめぐるなかで、次第に仏教美術への関心が強くなっていきました。とりわけ、山西省大同の雲岡石窟、河南省洛陽の龍門石窟は壮観で、日本の仏教美術のルーツを確認できるそれらの彫刻を現地で目の当たりにした感動は忘れられません。

雲岡石窟 第20窟

博士後期課程在学中には、朝日新聞社による若手研究員敦煌派遣制度のもと、蘭州大学の留学生として3か月間、甘粛省の敦煌莫高窟を中心に調査・研修を行うという得難い機会にも恵まれました。振り返るとこれが私の研究人生の転機であったと思います。石窟内に描かれた壁画など敦煌美術の素晴らしさに魅せられたということに尽きますが、現地での調査や研究者との交流のなかで、日本にある作品や資料が中国美術を研究するうえで有効な考察材料となることを実感したことも、その後の研究の支えとなっています。

龍門石窟 奉先寺洞

 

私の専門分野、ここが面白い!

美術作品は、当時の美術、歴史、地理、思想、宗教、国際交流など、さまざまな要素が結びついて造形されています。美術史はそれらの複合的な視点による研究が必須です。作品の制作年代の研究も重要ですが、それに加えて、そもそもなぜその作品が造られたのか、なぜそのような形になったのか、あるいは作品を観る者にどのようなメッセージを伝えたのか等、作品をめぐる人びとの営みのありようを造形から読み解いていくのも、美術史の醍醐味です。

石窟美術でいうと、石窟という宗教空間に造形された仏像、浮彫図像、壁画は、単に窟内を荘厳する美術というだけでなく、人びとの祈りや礼拝の対象として仏教儀礼とも密接に関係し、あるいは仏教の内容を理解するための視覚表現として、仏像や壁画が実に有機的に配置され、それぞれに意味をもってそこに形づくられています。その意味を一つずつ読み解いていく過程には、まるで謎解きをしているような面白さがあります。研究では主に文献史料によって論証していきますが、一方で、実際に現場を訪れ、自分の目で観て感覚的に理解できることは少なくありません。時代は違えども、同じ人間が造ったものです。東アジアの文化圏に身を置く者として、中国美術には共感から発する気付きがあるのも事実で、そうした自身のインスピレーションを磨くことも大切だと思っています。

敦煌莫高窟

 

プロフィール

はまだ たまみ。広島県生まれ。東京学芸大学教育学部特別教科書道専攻卒業、同大学大学院教育学研究科美術教育専攻修了、早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)専攻博士後期課程満期退学。博士(文学)。横浜美術大学美術学部准教授、教授を経て、2026年4月より現職。単著『中国石窟美術の研究』(中央公論美術出版、2012年)、『敦煌石窟美術の研究』(中央公論美術出版、2024年)、編著『アジア仏教美術論集 東アジアⅠ(後漢・三国・南北朝)』(中央公論美術出版、2017年)など。

(2026年7月作成)